吉沢亮:憧れの「ヒロアカ」声優に 新たな発見 “純粋な悪”への憧れ 理想のヒーロー像

「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション」でロディ・ソウルを演じる吉沢亮さん
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「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション」でロディ・ソウルを演じる吉沢亮さん

 「週刊少年ジャンプ」(集英社)で堀越耕平さんが連載中のマンガが原作のアニメ「僕のヒーローアカデミア(ヒロアカ)」の新作劇場版「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション」(長崎健司監督)が8月6日に公開される。劇場版のオリジナルキャラクターのロディ・ソウルを演じるのが、俳優の吉沢亮さんだ。「ヒロアカ」の大ファンという吉沢さんは、声優としての出演を「夢がかなった」と喜び、「三枚目の声が出るな」という発見もあったという。気合を入れて臨んだというアフレコの様子、理想のヒーロー像を聞いた。

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 ◇ロディは観客に一番近いキャラクター 収録で落ち込むことも

 「ヒロアカ」は、「週刊少年ジャンプ」で2014年7月に連載をスタート。人口の約8割が超常能力“個性”を持つ世界を舞台に、デクこと緑谷出久が、最高のヒーローを目指す姿を描いている。コミックスの全世界累計発行部数は5000万部以上。テレビアニメ第1期が2016年4月にスタート。第5期が読売テレビ・日本テレビ系で毎週土曜午後5時半に放送されている。

 新作は、堀越さんが総監修、キャラクター原案を手掛けたオリジナルストーリー。世界中の“個性”保持者のせん滅をもくろむ謎の集団・ヒューマライズから世界を救うため、全世界からヒーローが集結する。吉沢さんが演じるロディは、主人公のデクこと緑谷出久たちが任務で訪れた<オセオン>のトレーラーハウスで暮らす少年。育った環境のせいでヒーローに不信感を抱いているが、とあるトラブルからデクと行動を共にすることになる。

 吉沢さんは、劇場版アニメ「空の青さを知る人よ」(2019年)で長編アニメの声優に初挑戦した。「ヒロアカ」への出演に「過去に一度声優をやらせていただいて、難しさももちろんあるんですけど、またやってみたいという思いがすごく強かった。それを普段から見ているヒロアカの世界でやれるというのは、素直にうれしかったです」と話す。演じるロディは、「感情移入できるキャラクター」という。

 「ヒーローという、見られている人たちを見ている目線というか、もしかしたらこの映画を見る人たちの目線に一番近いキャラクターなのかなと。しかも、登場シーンも多く、物語にとってものすごく重要な人物だったので、プレッシャーも感じました。思った以上に責任重大だな、気合を入れてやらなきゃなと思いました」

 収録では、バトルものの「ヒロアカ」ならではの難しさもあった。

 「ある意味、誇張されたお芝居というか。攻撃を受けている時のリアクションは、なかなか普段経験できるものではないので、とくに丁寧にやらなきゃなと思いながらやっていたんですけど、難しかったですね。『うわぁ!』という叫び声やアクションの息づかいのバリエーションが少なくて、全部同じ声になっちゃう。結構落ち込みながらやっていましたね」

 ◇「声が三枚目だな」 声優ならではの開放する喜び

 収録では、デク役の山下大輝さんと一緒になることが多かったといい、「山下さんの喉が強すぎて、ずっと叫んでいるのに全く声が変わらない。すごいなって純粋に感動しました」と振り返る。「ヒロアカ」ファンとして、デクらキャラクターと共演する喜びも大きかった。

 「ロディが、デクと爆豪(勝己)、轟(焦凍)の会話に入っている感じとか、ずうずうしいなと思いましたけど(笑い)、やっぱりうれしかったです。彼らの仕事現場にちゃっかり入っちゃって、やり取りとか見ちゃったりしながら、感動ですよね。夢がかないました」

 収録で苦戦し、落ち込みながらも“発見”もあったという。

 「声が三枚目だなと。ロディは三枚目と二枚目の間の2.5枚目ぐらいのキャラクターなんですけど、敵にやられている時の声とか、わめき散らしている時の声とか『三枚目もやれるな』というのがうれしかったですね。普段お芝居していると出さないような声をいっぱい出しながらやっていたので、『俺、こんな声出るんだ』という発見も多かったです」

 吉沢さんは、実写の芝居と声の芝居では「感情の持っていき方が全然違う」と話す。

 「映像は感情の乗り方で間が変わるけど、声優は感情を作っておいて、言わなきゃいけないタイミングでその感情をバッと絞り出すというか。やり方が違うとは思いつつ、根本にあるのは一緒という気もしました。ただ、声優だからこそ、自分の表情とか見え方とか何も気にせずに『うわー!』とやれていたので、なかなか気持ちいいなと。普段絶対あり得ないような声を出せる、開放する喜びもありました。アニメ好きだからこそ、こういう世界観、声の出し方には憧れはあったので、そこを全力でやれる楽しさがありました」

 今回の出演を経て「改めて敵<ヴィラン>をやりたい」とも感じたという。

 「敵<ヴィラン>の中でも、死柄木弔(しがらき・とむら)はめっちゃ格好いいなと思います。どの作品でも敵役はバックボーンをすごく語るし、そこには正義があるという描かれた方をするけど、死柄木の場合はマジで純粋な悪だから。その純粋さがものすごく憧れるというか。こういう役やりたいなと思います」

 ◇努力している姿は見たくない 理想のヒーローとは?

 「ヒロアカ」は、ヒーローたちの成長の物語だ。吉沢さんは「いきなりバカみたいに強くなったりしないし、自分の与えられた“個性”をどう使うかを試行錯誤しながら、ちょっとずつ成長していく。そうした過程をちゃんと描いているからこそ、見ていて熱くなるし、すごく青春を感じられる」と魅力を語る。吉沢さんにとっての理想のヒーロー像とは?

 「僕は、ヒーローのプライベートな感じは見たくないですね。あまり身近に感じたくないというか、ヒーローはヒーローであってほしい。僕もヒーローではないですが、表に出る人間として、プライベートは見せたくないなと思います。ヒーローであったり、スターであったり、絶対努力しているんだろうなというのは分かるけど、そういう部分を見せてほしくない。さらっと笑顔で人を助けてほしい。それで、こっちが勝手に『絶対裏で努力してるな』と想像するような距離感がちょうどいいなと」

 「ヒロアカ」に登場するヒーローたちに対しても「共感という目線では見ていない。憧れ、格好いいなという目線です」と話す。

 新作もデクたち雄英高校の生徒たち、プロヒーローが世界の危機を救うべく、奮闘する。そんなヒーローたちをさまざまな思いで見つめるのが、吉沢さん演じるロディだ。「ロディがどうヒーローたちと絡んでいくのか、最強の能力を持つ敵<ヴィラン>をヒーローたちがどう攻略していくのか、楽しみにしていただきたいです」と話すように、ロディ、ヒーローたちの活躍に注目したい。

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