乃木坂46:きょう生誕10周年 “王道回帰”と“絶妙な距離感”でスターダムへ AKB48の“アンチテーゼ”から無二の存在に

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 アイドルグループ「乃木坂46」が8月21日、2011年の誕生から10周年を迎えた。「AKB48」の公式ライバルとして世に出た乃木坂46は、今や日本を代表するアイドルグループに進化。“アイドル戦国時代”と呼ばれて久しい昨今、乃木坂46はいかにしてスターダムの座に上り詰めたのか。答えの一つは、「会いに行けるアイドル」の親近感と、総選挙やじゃんけん大会などによる青春の共同体験を売りにしたAKB48の“アンチテーゼ”として、乃木坂46がアイドルの“王道”に回帰した点にあるといえるだろう。無二の存在となった乃木坂46の魅力を今、振り返る。

 ◇“高嶺の花”的イメージを逆手に…

 2011年、AKB48と似て非なるグループ、乃木坂46が産声を上げる。“公式ライバル”の乃木坂46は、握手会をはじめ、「会いに行けるアイドル」としてのシステムの一部はAKB48を踏襲した。しかしコンセプトはほぼ真逆で、乃木坂46には総選挙もじゃんけん大会もなく、二つのグループは全く別の方向へと進む。

 乃木坂46のイメージとして、「清楚(せいそ)さ」を挙げる声は多い。AKB48が、本音を隠さず、パワフルで情熱的な「体育会系」だとすれば、乃木坂46は、引っ込み思案だが、どこか芯の強さを感じさせる「文化系」に例えることができるだろう。しばしば、ファンの間では両者の違いをクラスメートの中での立ち位置に例えられるが、乃木坂46の方が、どちらかというと“高嶺(たかね)の花”的で、なかなか声をかけられない同級生の雰囲気を感じさせる。

 AKB48の“ファンとの近さ”を考えると、高嶺の花的イメージは、不利な点に思えるかもしれない。だが、乃木坂46はこれを逆手に取った。むしろ、ファンとの一定の“距離感”がグループの個性につながる。往年のアイドルほど神格化された存在に戻ったわけではないが、この動きは“王道”への回帰を感じさせる。そして乃木坂46は、この“高嶺の花”のイメージを武器にしていく。

 ◇“アーティスト”としても魅了 アイドルらしさも失わず

 乃木坂46には、総選挙もじゃんけん大会もないが、さまざまな独自路線を追求。その一つがアーティスト性であり、“高嶺の花”のイメージはここで生かされる。

 乃木坂46の音楽は、AKB48の「ヘビーローテーション」「会いたかった」のような、“ザ・アイドルソング”とは一線を画す。メロディーラインやミュージックビデオをとっても、アイドルとしてだけではなく、“アーティスト性”も前面に出されていることがうかがえる。「みんなでカラオケで盛り上がる曲」というよりは、(大げさに言えば)アートとして、見る者を楽しませる曲作りに重きを置いた。

 代表例が、16枚目のシングル「サヨナラの意味」。感情の起伏によって体にトゲが出てくる、少数派の「棘人(しじん)」とそうでない人々という、異なる“種族”の関わりが描かれ、さまざまな考察がなされた作品だ。“会いたかった的”なアイドルらしさではなく、どこか神々しく、別世界の雰囲気を感じさせ、「手の届かない学園のマドンナ」の雰囲気を放つ乃木坂46だからこそ、作品の世界観と調和。これは、「ぐるぐるカーテン」「シンクロニシティ」「インフルエンサー」といった他の楽曲にも当てはまり、清楚感にあふれ、“高嶺の花”的なメンバーの雰囲気と、アーティスティックな楽曲がマッチした。

 ただし、あくまでもアーティスト性の高い“アイドル”であり続けている点も特徴だ。アーティスト性が高くなると同時に、アイドル性を否定したことでファンが離れ、つまずいてきたアイドルも数多く存在した。しかし、乃木坂46はアイドルの一面を捨てることはない。ここでもファンとの絶妙な距離感を保ち続けているのだ。

 ◇ファッションアイコンとして頭角 性別超えて支持

 乃木坂46が次々と爪痕を残していった領域といえば、モデル業。従来のアイドルもファッション誌で活躍することはもちろんあったが、乃木坂46によるファッション誌の席巻ぶりは圧倒的だった。ここでもまた、“高嶺の花”としての魅力が存分に発揮され、数々のファッション誌を華やかに彩っていった。

 グループの礎を築いた面々でいえば、白石麻衣さんが「Ray(レイ)」(主婦の友社)、「LARME(ラルム)」(徳間書店)、西野七瀬さんが「non-no(ノンノ)」(集英社)、齋藤飛鳥さんが「sweet(スウィート)」(宝島社)、松村沙友理さんが「CanCam(キャンキャン)」(小学館)、堀未央奈さんが「ar(アール)」(主婦と生活社)、衛藤美彩さんが「美人百花」(角川春樹事務所)、川後陽菜さんが「Popteen(ポップティーン)」(角川春樹事務所)で、それぞれ専属、レギュラーモデルに抜てきされた。

 こうして乃木坂46は、男子の憧れにとどまらず、性別を超えて女性からも「可愛い」「クール」と評価され、ファッションアイコンとしても頭角を現した。かつてAKB48が、水着姿でグラビア界を席巻したのに対し、乃木坂46はファッションの世界で存在感を示したのだ。

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 AKB48のファンは、夢に向かうメンバーの“青春”を共同体験できた。だが、乃木坂46の“売り”は共同体験というよりは、“手の届かない存在”のきらびやかな姿を見せて、楽しませること。それはアイドルとしては復古的ともいえるが、AKB48の流れをくむ握手会に、モデル業での活躍で、“絶妙な距離感”と新しさも生み出した。そしてこうした“乃木坂イズム”が別の形に派生して、後に櫻坂46、日向坂46が誕生。また、草創期を支えたメンバーの多くが卒業する一方、新しい世代も存在感を発揮しており、5期生の募集も始まった。次の10年の歩みにも注目していきたい。

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