ドラゴンボールDAIMA
第10話 ウナバラ
12月16日(月)放送分
人気グループ「Snow Man」主演での実写映画化が報じられた人気アニメ「おそ松さん」。アニメの実写化はファンの間で賛否両論別れるケースが多いが、今回は少し異なっているようだ。アニメコラムニストの小新井涼さんが分析する。
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人気アニメ「おそ松さん」が、これまた人気グループの「Snow Man」主演で実写映画化されることが発表され、注目を集めました。こうした実写化へのニュースにはただでさえ賛否両論な声がつきものですが、今回はそれぞれに熱心なファンが多いおそ松さんとSnow Manだけあり、喜びから戸惑いまで、かなり大きな反響が起きています。
加えてその中に、他の実写化発表ではあまり見ない珍しい反応が起きていて、そちらも話題になりました。おそ松さん、Snow Man双方のファンが、互いに互いのファンに対して「申し訳ない」と謝り合っていたのです。一体どうして、このようなリアクションが起きたのでしょうか。
まず、Snow Manファンが謝った理由ですが、それはおそ松さんファンの持つ作品イメージを気にしてのことのようでした。
グループにアニメ好きとしても有名な佐久間大介さんを擁することもあってか、自身がアニメ好きではなくても、アニメファンの心情を知る人も多いSnow Manファン。それもあって今回、見る人によっては知名度優先にも思えてしまうオリジナル要素の強いキャスティングが、言い方は悪いですが、アニメファンにとっては“地雷臭”も強い発表であることを、それとなく察してしまったのでしょう。そのためおそ松さんファンに対して、「うちの推しが作品イメージを壊したら申し訳ない」と、謝っていたようです。
一方おそ松さんファンが謝った理由ですが、なんとこちらも、Snow Manファンの持つグループへのイメージを気にしてのことでした。
ご存じおそ松さんといえば、ブラックなジョークやギリギリのワード、六つ子たちの“あらぬ姿”といったとがった描写も、作品には欠かせない要素として存在します。そんな、そもそもいろいろな意味で「実写化できるの?」という作品に、果たしてアイドルが主演をして大丈夫なのかと、思わず心配になってしまったのでしょう。結果「うちの推し作品が推しのイメージを壊したら申し訳ない」と、Snow Manファンに謝っていたようです。
世にも珍しい“謝り合い”の背景には、こうしたそれぞれのファンの心境がありました。どちらのファンも、恐らく実写化に際して複雑な想いもあるのでしょうが、それでも頭ごなしに相手を否定するのではなく、むしろ相手の推しへの気遣いをしていたのです。これは今回の実写化が、自分の推しを大事に想うからこそ相手の推しへの想いも理解できる、そんな熱心なファンの多いおそ松さんとSnow Man同士だったからこそ起きた出来事に他ならないと思います。
そんな両ファンの推しをいわば預かり、期待と不安を一身に受ける本作は、ただでさえ厳しくみられがちなアニメの実写化作品の中でも、特にハードルが高くなることは間違いありません。ただ、このおそ松さんという作品は、以前「銀魂」でも言われていたのと同様に、実写化がどう転んでも、それを後でイジったりネタにできるだけの包容力としたたかさのある作品でもあると思うので、作品的に完全なマイナスになることだけはないと、いちアニメファンとしては前向きに捉えています。
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。明治大学大学院情報コミュニケーション研究科で、修士論文「ネットワークとしての〈アニメ〉」で修士学位を取得。ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)の全アニメを視聴して、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続中。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、現在は北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程に在籍し、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。
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