井上芳雄:2年ぶりトニー賞は「演劇人にうれしいニュース」 コロナ禍で観客への感謝を痛感

WOWOWでライブ配信・生中継される「第74回トニー賞授賞式」のナビゲーターを務める井上芳雄さん=WOWOW提供
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WOWOWでライブ配信・生中継される「第74回トニー賞授賞式」のナビゲーターを務める井上芳雄さん=WOWOW提供

 9月27日(日本時間)にWOWOWでライブ配信・生中継される「第74回トニー賞授賞式」で、番組ナビゲーターを務める俳優の井上芳雄さん。井上さんは2014年から同授賞式の番組ナビゲーターを担当している。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、約2年ぶりの開催となった授賞式への思いや、観客への感謝を語った。

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 第74回の授賞式は2部構成で開催。第1部では、2019~2020シーズンで興行中止になるまでに開幕、上演された作品から、「ミュージカル作品賞」「演劇作品賞」「演劇リバイバル作品賞」の主要3部門以外の受賞者を発表。第2部では、主要3部門の発表と、ミュージカル作品賞にノミネートされている「ジャグド・リトル・ピル」「ムーラン・ルージュ」「ティナ/ザ・ティナ・ターナー・ミュージカル」のパフォーマンスが披露される。さらに、ブロードウェーのスターや過去の同賞受賞者たちがパフォーマンスするコンサートも行われる。

 --「トニー賞授賞式」が約2年ぶりに開催されますが、その思いを聞かせてください。

 率直にトニー賞が復活すると聞いてうれしかったですね。世界中が苦しい中、僕たちは何とか舞台の幕を閉じまいと必死に続けさせていただいているのですが、アメリカはロックダウンを強いられ、劇場は完全に閉じてしまい、ブロードウェーは僕たちの想像を超える苦労をしているなと感じ、すごく胸が痛かったです。なので、ブロードウェーやトニー賞が復活するというニュースは僕たち含め、演劇人にとっては本当にうれしいニュースだと思います。

 --過去にもWOWOWの生中継に出演されている井上芳雄さんが「トニー賞授賞式」で最も印象に残っているシーンについて教えてください。

 鮮明に覚えているのは、2014年にヒュー・ジャックマンがジャンプをしながら入ってくるシーンですね。「トニー賞」に関わらせていただいて思うのが、司会者によってその年の「トニー賞」の印象がとても違うことです。もちろんその時々で行われるショーや作品は毎年違ったものではありますが、司会者によって見え方が変わりますね。特に2014年に「トニー賞」の司会者であったヒュー・ジャックマンは誰が見ても幸せな気持ちになったし、彼が全力のパフォーマンスをやるというね。それがあの後少しはやりましたよね。

 --今回は宮澤エマさんと2人でナビゲーターをされますが、井上さんは大阪サテライトスタジオからの出演で、宮澤さんは東京のメインスタジオからの出演です。宮澤さんへの期待などを聞かせてください。

 エマちゃんは他のイベントでも一緒にトークをしたり、MCをやったりしているのを見たことがあるので、すごくしっかりしている印象です。とても頭が良くスマートな方で、MCも臨機応変に素晴らしかったのでまったく心配してないですね。自分だけが司会のときは、「しっかり進行しないと!」と思いますが、エマちゃんがいてくれたらすごく安心ですし、多少脱線しても叱って戻してくれるので(笑い)。

 大阪と東京と少し離れているので、やりとりの難しさはあるとは思いますが、僕がミュージカル「ナイツ・テイルー騎士物語ー」の公演中で、授賞式当日も公演があるので、舞台に立ち続けているリアルな臨場感というものも視聴者の方々に見てもらえれば、と思います。そういう意味でも今までにない番組になるのではないかとワクワクしています。

 --日本でも、トニー賞のようなゴージャスな授賞式があればいいなと思いますか?

 アワードじゃなくとも、エンターテインメントを称賛するようなショーがあってもいいなとは思いますね。日本はすみ分けがはっきりしているので難しいかとは思いますが、宝塚や劇団四季などのミュージカルも、全てが一緒になって盛り上げられたらいいですよね。コロナ禍を機に、舞台芸術ネットワーク(緊急事態舞台芸術ネットワーク)などができて、横のつながりは前より格段に強くなっている気がしますので、前よりもそういった祭典ができる可能性はあるかと思います。

 ーーコロナ禍において、何とか日本ではミュージカル上演を続けられていますが、ご自身の体験から、観客に対して思うことはありますか?

 もちろん日本でも中止を余儀なくされた公演が数多くあり、たくさんの人が苦しい思いをしてきました。その状況でも何とか劇場の灯を消すまいと努力をし続け、お客さまが厳しい状況の中来てくださることへの感謝はものすごくあります。

 それと同時に、元の状況には戻れていないのが現実です。3回見ていたものを、1回にしようという方もたくさんいるだろうし、まだまだ見に来づらいと思います。もちろんそれぞれの事情があるし、急がなくていいと思います。新型コロナウイルス感染症の状況が収まったころにまた劇場に戻ってきていただきたいです。僕たちはいつまでも待っています。そして僕たちは向上心を絶やさず、新作に挑戦したり、チャレンジ精神を持ってやっていきます。少し余裕が出てきたら、今までのようにぜひ見に来てほしいなと思っています。

 --最後に視聴者の方々にメッセージをお願いします。

 本当に待ちに待った「ブロードウェー」と「トニー賞」の復活なので、それをみんなで喜び、分かち合いたいと思います。この1年間上演がなかったので、今までとは違う、イレギュラーな形でのセレモニーを存分に楽しみたいです。

 番組では、なんと言っても東京と大阪の二元中継ですのでワクワク、ドキドキしています。喜びを分かち合いつつも、上演ができなかった演目も数多くあるので、そういう作品や人々に思いをはせつつ、これからの原動力となる番組にしたいと思います。

 *……WOWOWでは、「第74回トニー賞授賞式」の模様を生中継・ライブ配信する。授賞式の第1部は「ライブ配信!第74回トニー賞授賞式 事前受賞の部」と題し、9月27日午前8時からWOWOWオンデマンドでライブ配信。第2部は「生中継!第74回トニー賞授賞式」と題して同日午前9時からWOWOWプライムで放送される。第2部はWOWOWオンデマンドでもライブ配信される。

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