細田守監督:「竜とそばかすの姫」で描いた未来への希望 「アニメを作る者として若い人を勇気づけたい」

「竜とそばかすの姫」の舞台あいさつに登場した細田守監督
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「竜とそばかすの姫」の舞台あいさつに登場した細田守監督

 「時をかける少女」(2006年)、「サマーウォーズ」(2009年)などで知られる細田守監督の劇場版アニメ最新作「竜とそばかすの姫」のヒットを記念した舞台あいさつが9月11日、TOHO シネマズ日比谷(東京都千代田区)で開催され、細田監督が登場した。同作は、インターネット上の仮想世界<U>(ユー)を舞台にしており、「インターネットが広がって自由になった反面、現実世界の抑圧感も強くなっている。自由でいられない人が増えているのではないか。アニメを作る者としては、抑圧されている若い人を勇気づけたい、可能性に向けて進んでいってもらえるようなことをしたい。そんな気持ちでこの作品を作りました。未来に対して希望が持てるように」と思いを語った。

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 「竜とそばかすの姫」は「美女と野獣」がモチーフになっているといい、「すごく好きな作品で、いつか自分なりの『美女と野獣』を作りたいと思っていた。現代でどう描くかと考えた時にインターネットの世界で『美女と野獣』を作ればいいのかもしれないと思った」と制作の経緯を説明。

 同作には、主人公のすずと、<U>に登録したすずのアバターのベルが登場する。細田監督は「18世紀に描かれた『美女と野獣』は、野獣に二面性があって変化する。『竜とそばかすの姫』では、美女にも二面性を持たせて変化したらいいかなと思いました。それがベルとすずです。インターネットでベルが活躍することがすず自身に影響を与えて、りりしく、たくましく、優しくなっていく。変化した姿が美しい、すてきだというふうになればいいなと思って作りました」と話した。

 舞台あいさつでは、同作が7月16日の公開から57日間で、興行収入が58億7000万円を突破し、2015年7月に公開され、興行収入が約58億5000万円を記録した「バケモノの子」を超えて、細田監督作品の最高興行収入を更新したことが発表された。細田監督作品の「おおかみこどもの雨と雪」(2012年)、「バケモノの子」で声優を務めた女優の宮崎あおいさんがサプライズ登場した。

 「竜とそばかすの姫」は、過疎化が進む高知の田舎町で父と暮らすすずが、“もう一つの現実”と呼ばれる仮想世界<U>と出会い、成長していく姿を描く。幼い頃に母を事故で亡くし、心に大きな傷を抱えていたすずはある日、<U>と出会い、ベルとして心に秘めてきた歌を歌うことで、あっという間に世界に注目される存在となっていく。そんなベル(すず)の前に、竜の姿をした謎の存在が現れる。

 ミュージシャンの中村佳穂さんが主人公・すず(ベル)、俳優の佐藤健さんが謎の存在・竜の声優を務めたことも話題になっている。声優として、成田凌さん、染谷将太さん、玉城ティナさん、音楽ユニット「YOASOBI」のボーカル・ikuraさん、森川智之さん、津田健次郎さん、小山茉美さん、宮野真守さんらも出演した。

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