宇宙戦艦ヤマト2205:ヤマトはどこが変わった? グレート・プレアデスも 玉盛順一朗、明貴美加に聞くメカデザイン秘話

「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」の宇宙戦艦ヤマトのデザイン(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2205製作委員会
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「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」の宇宙戦艦ヤマトのデザイン(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2205製作委員会

 人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」シリーズの最新作「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」の「前章 -TAKE OFF-」が、10月8日から上映されている。「2205」のヤマトを見ると、これまでのヤマトと少し違う……と気付くはず。グレート・プレアデスなどの新メカも登場し、原作とは印象が変わった。実は、これまでもヤマトは作品によってデザインが変化してきた。「2205」は、どこが変わったのだろうか? ヤマトなどのデザインを手がけた玉盛順一朗さん、グレート・プレアデスなどのデザインを手がけた明貴美加さんに聞いた。

 ◇ヤマトは「2199」と「2202」の中間 アスカ、ヒュウガも


 「宇宙戦艦ヤマト」は1974年にテレビアニメ第1作が放送され、「宇宙戦艦ヤマト2」「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」なども制作されてきた。第1作をリメークした「宇宙戦艦ヤマト2199」が2012~14年、「2199」の続編「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」が2017~19年に劇場上映、テレビ放送された。「2205」は、安田賢司さんが監督を務め、福井晴敏さんがシリーズ構成、脚本を担当。サテライトが制作する。全2章。

 「2205」では、ヤマトの印象が変わったようにも見える。「2199」「2202」でもヤマトのデザインを手がけた玉盛さんによると「2199」と「2202」の「中間くらい」のデザインを目指したという。

 「メインエンジンのノズル、波動砲の形が変わっています。波動砲は、横から見たら『2199』『2202』の中間くらいの傾きになっています。『2202』と比べると少し傾いていて、前方に伸びています。その分、後部のノズルを少し短くしているので、全長333メートルというのは一緒です。ノズルは『2199』は絞り込んでいましたが、『2202』では大きくしました。今回はその中間くらいですね。『2202』は『さらば宇宙戦艦ヤマト』のビジュアルの後ろから見たヤマトのイメージが強いこともあり、大きめにしました。強化型という意味もありました。『2199』のイメージに少し戻しています。ほかにも、側面の格納庫の扉が大きくなっています」

 微妙な違いではあるが、全体を見ると大きく印象が変わった。フォルムも変わったようにも見える。

 「主砲の砲塔の形も少し違います。これまでは多面体でしたが、滑らかにしています。第1艦橋、第2艦橋の幅、窓枠を少し削っていて、正面から見た時に、少しスリムに見える。筋彫り、分割線を増やすことで、メリハリもつけています。魚雷発射口に掛かる細い分割線、ロケットアンカーの真下に伸びている太い分割線を増やしつつ、うるさくならないようにしました。面を整理できましたし、立体感を把握しやすくなったかもしれません」

 玉盛さんは、森雪が艦長の補給母艦アスカ、真田志郎が艦長の戦闘空母ヒュウガのデザインも手がけた。2隻は似ているようだが、それぞれの艦長の個性も見えてくる。

 「ヤマトは個性が強いですが、アンテナ翼などほかの地球の艦と共通のパーツを使い、世界観を合わせています。アスカ、ヒュウガは、最初はドレッドノートを改造した同じ空母を2隻作るという話もありましたが、守り、攻めの役割に分けました。アスカ、ヒュウガは、細かく見れば見るほど違う。ヒュウガは装甲車のようなイメージ。リメークシリーズでは中の構造を先に考えていて、ヒュウガは中に艦載機が収まらないと意味がない。アスカは一つ、ヒュウガは二つの格納庫があります。ヒュウガは格納庫を横倒しの“8”の形にしています」

 ◇デザリアムは警戒色を効果的に ボラーは…

 明貴さんは「機動戦艦ナデシコ」「機動戦士ガンダムZZ」「銀河お嬢様伝説ユナ」などで知られる人気デザイナー。玩具「アーマーガールズプロジェクト ヤマトアーマー×森雪」を手がけたことはあるが、「宇宙戦艦ヤマト」のアニメ本編のデザインを手がけるのは初めてだった。「2205」では、新キャラクターのデザリアムのデーダーが操る戦艦グレート・プレアデス、プレアデスなどをデザインした。

 グレート・プレアデス、プレアデスは原作のシルエットを踏襲しつつも、イメージが変わった。

 「基本は原作のままですが、赤い縁取りを入れて少し派手にしています。原作もそうですが、クモなどの捕食生物の警戒色をイメージしています。全体は黒いけど、赤、黄色が入っている。それをより強調する形にしました。ディテールを増やしたかったのですが、全体が黒いので、ディテールが見えにくい。多少、凹凸を入れ、表面に、流れるような薄いグレーのテクスチャーを張っています。個人的には護衛艦のヒアデス級も気に入っています。ヒアデス級はオレンジにして、スズメバチのような攻撃性をイメージしました」

 デザリアムの兵器デザリアム・ハンマーもインパクトが大きい。東京スカイツリーほどの大きさの兵器が多数、降ってくるシーンには恐怖を感じる。「デザリアム・ハンマーは、設定考証の小倉信也さんのデザインが原型にあり、表面に、デザリアムをイメージした筋状のテクスチャーを足しました」と世界観を統一した。

 明貴さんは、ボラー連邦の戦艦、空母のデザインも手がけた。

 「『宇宙戦艦ヤマトIII』にも出てきましたが、ボラーの戦艦、空母は種類が多いんです。それぞれ艦長も違います。『2199』以降のリメークに合うような形でデザインしています。『III』は、板橋克己さん、サブマリンがデザインしています。サブマリンさんは『伝説巨神イデオン』をやっていた時期ですね。今回、気付いたのですが『III』は、ヤマト以外は、艦橋が配置されているものが多いんです。特徴の一つかな? 地球側の艦船はボラ-の残骸を発見して、それを基に作ったという設定もあるので、つながりも見せています。冒頭のガルマンに出てくる戦車の原画も僕です。『ヤマト』の戦車は砲身が複数あるタイプが多いので、そこを踏襲してみました」

 明貴さんの言葉からは“ヤマト愛”を感じる。「宇宙戦艦ヤマト」に参加して「大変でした」というが「やりがいがありました。玉盛さんのお仕事を見て、石津泰志さんにアドバイスをしていただいて、『ヤマト』の世界観に合わせていきました」とも語る。

 玉盛さんは、明貴さんのデザインを「流れるような線が美しく、印象的。まとまり感がありますし、一貫性があります」と絶賛し、明貴さんは「手癖なんですね。3Dになる時に大変で、多少パースが変わる。今回の『ヤマト』のモデラーさんが素晴らしくて、違和感がありません」と話す。

 玉盛さん、明貴さんが手がけた「2205」のメカデザインは、丁寧かつ繊細で、元のイメージを守りつつ、時には大胆にアレンジした。まさに職人技と言えるだろう。劇場の大画面で見ると、その職人技をより堪能できるはずだ。

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