明石家サンタ:長寿番組の秘訣は「予定不調和が生む期待感」 総合演出・三宅恵介が語るこだわり 明石家さんまは「貴重な仕事仲間」

1990年から放送されている「明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー」で演出を手がける三宅恵介さん
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1990年から放送されている「明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー」で演出を手がける三宅恵介さん

 クリスマスの夜恒例、フジテレビで生放送される、明石家さんまさんと八木亜希子アナウンサーが司会の特番「明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー」。1990年のスタート当時から演出を手がける三宅恵介さんは、長寿番組となった秘訣(ひけつ)について「予定不調和」というキーワードを挙げる。ハガキと電話というツールにこだわる理由など番組作りへの思いや、「さんまさんにも読んでもらう」と明かすハガキの選定方法、自身にとって「貴重な仕事仲間」だと話すさんまさんのすごみについて聞いた。

 ◇“SNS時代”でも「ハガキ」「電話」を続けるワケ

 「明石家サンタ」は「クリスマスを一人寂しく過ごす人たちの味方になろう」というコンセプトのもと、1990年にスタート。視聴者から“今年一年間で起こった不幸話”を募集し、採用者に“明石家サンタ”が生電話。エピソードを聞いた“明石家サンタ”が合格か不合格かをジャッジし、合格者には豪華プレゼントが贈られる。

 “不幸話”を打ち明けやすいようにと放送時間は深夜帯に設定され、顔を出さずに直接やり取りができる生電話の形式が採用された。三宅さんは「生放送で素人の方と電話でやり取りするのがポイント。素人さんにさんまさんが手取り足取りフリを仕掛けていくのがうまくハマった」と語る。

 一般の視聴者との軽妙なトークもさんまさんならでは。三宅さんは「さんまさんは『あっぱれさんま大先生』のころからそうですが、とにかく皆さんに対等。子供でも社長さんでも、そんたくなく、同等の目線で接することができる。そしてツッコミで打ち消してしまうのではなく、その人の持ち味を拾って料理する。人の魅力を引き出すのは世界一だろうなと思います」と、手腕を絶賛した。

 番組では、当初から変わらずに「ハガキ」「電話」というツールが用いられている。三宅さんにはSNSが普及した現在も、これらにこだわる理由があるのだという。

 「恐らくメールやSNSのほうが、簡単にうそをつけてしまう。ハガキを書くという一手間があることで、罪の意識が減るような気がしています。もちろんハガキでも『これはさすがにネタじゃないか』と思うものもありますが、例えうそであっても生放送で電話で話すのは本人。結果的に本人が“償える”んですよね。30年以上同じ方法を続けてきて、特に不具合もなく、面白く続けられているので、変える必要がなかったといったところでしょうか」

 ◇「どうなるか分からない」生放送の醍醐味 ハガキ選びにはさんまも参加

 一方、視聴者の間では「ハガキを選んでもらうコツ」も話題となっている。一体どのように選定しているのか。三宅さんは「僕と放送作家、ディレクターの3人で送られてきたハガキを全て読んで、まずは50枚ほどに絞ります。そこから、さんまさんに見てもらって20枚前後に選び、その方に生放送中に電話に出られるか、当日番組を見ていられるかなど、確認の連絡をして、条件の合わない方を除いていきます」と裏側を明かす。

 また「当日は電話で伝えるため、なるべく簡潔で起承転結がはっきりしているのが好ましい」といい、「ここ2年くらいはコロナ禍の状況も鑑みて、“不幸だけど笑える”エピソードというのも意識しています」と、世の中の動きにも目を向けている。

 三宅さんによると、選ぶ基準は「ネタ3割、本人のキャラクター7割」。事前の確認電話の際に、「明るい」「ハキハキしている」といった応募者のキャラクターを確認しているという。

 「いざ生放送での電話となると、うまく会話が進められなかったりもするのですが、むしろそれがいい。どうなるか分からない面白さが、生放送の醍醐味(だいごみ)だと思っているので。その点、さんまさんはどんなキャラクターの方に対しても受け皿がありますし、笑いにつなげてくれるので安心感があります」

 番組では、合格となった視聴者が番号を選び、そのパネルに書かれた豪華なプレゼントが贈られるが、過去の放送回では一発目から目玉商品を引き当てる、ハズレを引いて特別に選び直したところ、再びハズレを引いてしまうなど、“偶然の産物”が生まれることもしばしば。

 三宅さんは「1回目に大きな商品が当たるという流れは、絶対に台本では書けないこと。こうした“予定不調和”によって、『この後どうなるんだろう』という期待感が増しますし、余計な部分を除いてきれいにまとまったVTR映像とは違った面白さが出てくるんですよね。それが、番組が年に1度、クリスマスの恒例行事になってきた要因なんじゃないかと思います」と語った。

 ◇良い番組を作るには「正直でいること」 さんまは同じ思いを持つ「貴重な仕事仲間」

 三宅さんはこれまで「欽ちゃんのドンとやってみよう!」「オレたちひょうきん族」といった伝説の番組を多数手がけ、現在も「明石家サンタ」と同じく長寿番組の「はやく起きた朝は…」を担当している。さまざまな番組に携わってきた三宅さんが、いつの時代も変わらずに番組作りで大切にしていることは何だろうか。

 「これは番組作りの基本ですが、単純に『うそをつかない』こと。僕はテレビでうそがつけるのはドラマだけだと思っていて。僕らが視聴者に対して正直じゃないと、やはり皆さんに笑っていただくのは難しいんですよね」

 そういった三宅さんの“正直さ”にかける思いは、「明石家サンタ」でタッグを組むさんまさんとも一致しているようだ。「さんまさんとは番組について、これがいいんじゃないか、こっちのほうがいいんじゃないかと、よく話し合いをするんです。もちろんぶつかることもありましたし、はたから見たら『そこまで言い合うんですか』と驚かれたこともあります(笑い)。でも僕は、良い番組にするにはぶつかりがないとダメだと思うんですよね。さんまさんもいろいろな“材料”を持っているから言い合えるし、番組に対して正直でいてくれるからこそ起きること。そうやって番組を作れるのがさんまさん。僕にとって貴重な仕事仲間です」と信頼を寄せる。

 「さんまさんは仕事に対する姿勢がずっと変わらず、努力を惜しまずに勝負し続けている。『成長しないのが成長』なのかな。演者もスタッフも対等でいられると本当にクリエーティブになる。だから、さんまさんとは一緒に仕事をしていてすごく楽しいんです」

 移りゆく時代の中でも「面白さ」の根源は変わらない。さんまさんと三宅さんのタッグが、それを証明しているのだろう。「明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー」は、12月24日深夜1時15分~3時15分に生放送。

 <プロフィル>

 みやけ・けいすけ。1949年2月5日生まれ。テレビディレクター、テレビプロデューサー。「欽ちゃんのドンとやってみよう!」「オレたちひょうきん族」「ライオンのごきげんよう」など、フジテレビの人気番組を手がけた。現在も「明石家サンタ」「はやく起きた朝は…」などを担当している。

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