板垣李光人:“苦しさ”こそが楽しさ 失声症の厩務員役で「言葉が持つ力」再確認

ドラマ「風の向こうへ駆け抜けろ」で失声症の厩務員・木崎誠を演じる板垣李光人さん 
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ドラマ「風の向こうへ駆け抜けろ」で失声症の厩務員・木崎誠を演じる板垣李光人さん 

 平手友梨奈さん主演のNHK土曜ドラマ「風の向こうへ駆け抜けろ」(総合)に出演している俳優の板垣李光人さん。今年1月期の同局の連続ドラマ「ここは今から倫理です。」を皮切りにドラマ出演が相次いだ2021年、その締めくくりとして、失声症の厩務(きゅうむ)員という新たな難役に挑んだ。「今年は本当にいろいろとやらせていただいたなって思っています。僕が役者をやっていて『楽しい』と感じるのが、役として『苦しむこと』だったりするので、そういった意味で毎回毎回、その苦しみはあったので、本当に楽しかったです」と充実感をにじませる板垣さんに話を聞いた。

 ◇別れが寂しくなるくらい、馬が身近な存在に

 ドラマは古内一絵さんの同名小説(小学館)が原作。平手さん演じる主人公の女性騎手・芦原瑞穂のひたむきな情熱が、人生を諦めていた人々の心に火をつけ、廃業寸前の厩舎が桜花賞に挑んでいく物語。同局の連続テレビ小説(朝ドラ)「なつぞら」などで知られる大森寿美男さんが脚本を手掛けた。

 原作も読んだという板垣さんは、「競馬やジョッキーをテーマにしている作品を自分はあまり目にしてこなかったので、まずはそこが新鮮でした。競馬の知識は浅いのですが、そんな僕でもジョッキーは男性が多いというイメージを持っていて。いわゆる男性社会の中で生き抜いていく女性の姿を描いていて、いろいろなところに当てはめることもできる、社会の一つの縮図を表したような作品にも思えました」と印象を明かす。

 板垣さん演じる木崎誠(通称:アンちゃん)は、主人公の女性騎手・芦原瑞穂(平手さん)、ダメな連中ばかりが集まる緑川厩舎の調教師・緑川光司(中村蒼さん)とともに物語には欠かせない人物の一人だ。端正な顔立ちの美青年で、究極に愛想が悪く無口。誰よりも熱心に馬の面倒を見ていて、そのおかげで馬の不調を見抜くことも。瑞穂の出現で次第に自信と声を取り戻していく……。

 「ここは今から倫理です。」では、愛着障害の男子生徒・都幾川幸人、大河ドラマ「青天を衝(つ)け」では、「プリンス・トクガワ」の名で知られる徳川昭武、「24時間テレビ」(日本テレビ系)内スペシャルドラマ「生徒が人生をやり直せる学校」では、母の代わりに3人の弟妹を世話するヤングケアラー・乃木翔と、どこか一筋縄ではいかない役に扮(ふん)してきた板垣さんにとって、新たな挑戦となった。

 「まずは、やりがいのありそうな役で、勉強になりそうだなってことを思いました。難しそうだなとは思わなくて、楽しみな気持ちの方がずっと大きかったです」

 役作りへの第一歩は、「誠が常日ごろしていることを肌で感じるところから始めました」という板垣さん。すなわち厩務員として馬と心を通わせることだ。

 「本物の馬と接してみたり、実際に厩務員の仕事がどういったものなのか知る機会をもうけていただいて。大河ドラマで馬には乗りましたが、ここまでずっと密に馬と接することはなかったので、とても(馬が)可愛くて。歩調や息遣いで、こっちのことを信頼してくれているなって思うときが何回かはありましたし、最後の撮影では別れが寂しくなるくらい、兄弟とか子供とかのように、身近な存在に感じました」と振り返った。

 ◇普段のように声が出そうになる瞬間があって…

 一方で、声を出せない大変さも身をもって体験した。

 「オフの日とか、プライベートで出かけるときにしゃべらないことを心がけたり、そこで声を出さないというところの大変さを体験しておきたいなって思ってやってみたら、やっぱり大変でした。あと芝居って、スポーツ的なものでもあって、考えるより先に体が反応する、みたいな瞬発力が大事だったりするので、どうしても普段のように声が出そうになる瞬間があって……」

 声が出せない役どころかつ、言葉が通じない(とされる)馬との芝居を経験し、再確認したこともあったという。

 「言葉を発せない役を自分が演じて感じたのは、言葉を使うことの良さ、悪さを含めて、言葉が持っている力。劇中で誠はメモ帳を使って、筆談するのですが、本当に伝えたい大切なことしか書かないので、言葉が持つ力を、この役で再確認した感じはあります」

 演じた誠という一人の青年に対しては、「過去にいろいろなことがあって、声が出せなくなってしまったのですが、決して人間嫌いなわけじゃない」との印象を抱き、「自分と重ねやすくはなくて、完全に役を作らないといけなかったのですが、好きなものに対して、真っすぐになれるという部分は一緒なのかな」と共感を寄せる板垣さん。

 ドラマ出演が相次いだ2021年を終え、年が明ければ、早々に20歳の誕生日(1月28日)を迎えるが、「あまり年齢で物事を考えたりはしないのですが」と前置きした上で、「20歳という節目みたいなものは、人生で一回しかないわけで。役者をやり、それとは別ジャンルのことにも関わらせていただいてきて、表現者として今まで以上に自分というものを出せる、そういった年にしたいなと思っています」と語った。

 ドラマはNHK総合で12月18、25日午後9時~同10時13分に放送される。

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