海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
俳優の吉沢亮さん主演の大河ドラマ「青天を衝(つ)け」(NHK総合、日曜午後8時ほか)。いよいよドラマは残り2回となり、12月26日放送の最終回に向けて、物語はクライマックスを迎えようとしているが、ここに来て改めて、その存在の大きさを感じさせてくれているのが、“もう一人の主人公”徳川慶喜(草なぎ剛さん)だ。12日放送の第39回「栄一と戦争」の終盤では、静かで重い「告白」にも視聴者の注目が集まった。
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第39回では、栄一(吉沢さん)がホワイトハウスでルーズベルト大統領と会談。日本の軍事面のみが注目され、経済への評価がまだまだ低いことを痛感する。やがて、日露戦争が勃発。財界の代表として戦争への協力を求められた栄一は、公債購入を呼びかける演説をするが、その直後に倒れてしまう。
見舞いに訪れた慶喜は、病床に伏す栄一の手を握りしめると、「そなただけは、どうか、尽未来際……生きてくれ。生きてくれたら、何でも話そう。何でも話す。そなたともっと話がしたいのだ。だから死なないでくれ」と勇気づける。
その後、栄一はみるみる回復。慶喜の功績を後世に伝えようと、伝記の編纂(へんさん)を始める。慶喜もまた栄一との約束を守り、皆の前で幕末を静かに振り返る。そこで語られたのは、幕臣たちの「薩摩を討つべし」の思いを止められず、戊辰戦争へと突入せざるを得なかったことへの自責と後悔の念だった……。
「今でも、あの時の皆の顔を夢に見る。人は誰が何を言おうと、戦争をしたくなれば必ずするのだ。欲望は、道徳や倫理よりずっと強い。ひとたび敵と思えば、いくらでも憎み、残酷にもなれる。人は好むと好まざるとにかかわらず、その力に引かれ、栄光か破滅か、運命の導くままに引きずられていく。私は抵抗することができなかった。ついに『どうにでも勝手にせよ』と言い放った。それで鳥羽伏見の戦が始まった。失策であった……。後悔している。戦いを収めねばと思った。しかし、そのあとも言葉が足りず、いくつも失策を重ねた。ずっと前からどこか間違えていたのかもしれぬ。多くの命が失われ、この先は何としても、己が戦の種になることは避けたいと思い、光を消して余生を送ってきた」と。
その上で慶喜は「人には生まれついての役割がある。隠遁(いんとん)は私の最後の役割だったのかもしれない」と告白。横で話に耳を傾けていた栄一は「役割……」とつぶやくと、今の自分の役割を果たすため、実業家引退を決意する……。
慶喜の静かで重い「告白」は視聴者の心も捉え、「ずっと抑え、ずっとため込んで、ずっと後悔してきた慶喜」「いちいち言うことが深いし重いし説得力半端ない」「昨今の人生訓にもなりそうな慶喜のお言葉」「草なぎ慶喜の苦しみながら紡ぎ出す言葉、独白に引き込まれた」などの声のほか、「今日は、慶喜様の肉声を聞いたような気がしました」「個人的に徳川慶喜役は、すっかり草なぎ君のイメージになりました」「徳川慶喜役を草なぎ剛さんがやってくれてよかった。間違いなくドラマ史上最高の慶喜」といった意見もあった。
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