ドラゴンボールDAIMA
第10話 ウナバラ
12月16日(月)放送分
人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」シリーズの最新作「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」のエンディング主題歌「愛は今も光」を歌う歌手の平原綾香さん。「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」のエンディング主題歌「Great Harmony ~for yamato2199」を歌うなど同シリーズとの関わりが深い。平原さんが「宇宙戦艦ヤマト」シリーズへの思いを語った。
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(『宇宙戦艦ヤマト』の音楽を手がけた)宮川泰さんのバンド「名匠・宮川組」で私の父(平原まことさん)がサックスを吹いていたので、まず音楽から入りました。後にこれがあの音楽のアニメなのかと認識しました。父の演奏を聴く前から「ヤマト」の主題歌は有名なのでずっと知っていました。宇宙を舞台にしたここまで壮大なアニメはあの当時ほとんどなかったと思います。そこにさらに人間ドラマを盛り込んで深く描いているのは、この作品だけだろうなと思いながら小さい頃は見ていました。ただ、内容が難しいのでよく理解はできていませんでしたが「ヤマト」が頼れる存在だという漠然とした感覚は昔からありました。
宮川彬良さんとは父を通してデビュー前からお会いしていたので、親戚のようなつながりを感じます。彬良さんの才能、素晴らしさは幼少期の頃から実感していました。「宇宙戦艦ヤマト」はお話と作画と音楽、一番重要な3点がきっちり整っているからこそ不朽の名作として愛されているのだろうなと。それくらい音楽にも重要な役割を感じました。
レコーディング前に父が、「女神が優しく語りかけるような歌になったらいいね」とアドバイスをしてくれました。その言葉を聞いて、これを歌うのは決して“私”ではないと思いました。平原綾香ではなく「ヤマト」の宇宙を見守っている女神のような存在。「ヤマト」はすごく先の未来の人たちのお話なので、その未来の人たちが現代に生きる私たちへ宛てたメッセージのように歌うのが合っているのかなと思いました。父には本当だったらいつものようにスタジオにも来てもらいたかったのですが、病気もあったので母と家にいました。スタジオの音をリモートで聴けるようセッティングしていただき、父と母にも家でずっと聴いてもらっていました。父はこの間、亡くなってしまったのですが、父との思い出のレコーディングになったなと思います。宮川泰さんと父、父と彬良さん、そして彬良さんと私もつながっている。「例え血のつながりはなくても、時代を超えて音楽でつながっていることがうれしいよね」と彬良さんと話しました。「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章 -SATASHA-」でも「血のつながりはなくても家族だ」というせりふが出てきて、それはまさに私が今感じていることそのものでした。
「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章 -TAKE OFF-」は劇場で見させていただききましたが、主題歌がドンッと大きな音で流れていました。映画の主題歌は本編とはまた違うベクトルで作られているものが多い中で、本作は本編の音楽を手掛けている音楽家が主題歌も担当しているのが魅力だと思います。この曲を最後に持ってくることで話が本当に締まる。本編で言いたいことをあえて言わずに主題歌で感じてもらうような作り方に思えて、隅々まで神経を張り巡らして音楽も作られているなと感じました。また、偉大な父親である泰さんの跡を継いで、これまた偉大な音楽家である彬良さんが父親へのリスペクトも感じさせる音を紡ぎ出している。きっと父親の魂と一緒に作っていたんじゃないかなと思わせるようなメロディーを今回は特に感じました。
「壊れゆく世界 火も希望も凍る でも涙だけは温かい」ですね。どんな時代になっても命ある限り人間であること、生きていることを忘れるなというメッセージに聞こえて、とてもグッときました。つらくて何も感じられないような日々が続いても、涙にぬくもりを感じる。悲しみというものが決して冷たいものだけじゃないことを教えてもらった気がしました。昔の自分は悲しみがあると前に進みにくいと思っていましたが、実際は悲しくても前に進めるんですよね。父を失ってそのことを強く感じました。去年から今年にかけて、「たった一度きりの人生だから好きなものは好きと後悔なきように生きること」が自分の心の目標です。そしたら「後章 -SATASHA-」の最後に同じようなせりふを言い出すものだから「あれ、私のための物語かも?」と思ってしまうくらいでした(笑い)。今回、また主題歌を歌わせてもらったことは、大切な父を失っても歩いて行けるように、ある意味プレゼントのようなものなのかなと。あの時苦しかったことが未来から振り返って見るとこれがあったから今があるんだと納得できる。それは歩んでみないと分からないことですが、決して意味のないものはないんだなと思いました。この作品を通してより背中を押してもらえました。「ヤマト」はとにかくせりふがとてもよいですね。アニメという枠では語り切れない魅力があって、大人も子供も魅了される作品。「ヤマト」を守り抜いているスタッフ陣の熱い意気込みを感じます。そして前からずっと言い続けていますが、頭が良くないと絶対に作れない。時々付いていけない時もありますが(笑い)、私にとっては生きる指針となる作品です。何回も見て、一つずつページをめくって、後から「あぁ、こういうことだったのか」と理解していく作品なのかなと思います。
めちゃくちゃ感情移入しますね。幼少時代はすぐに観たキャラクターになりきっていました。
いろいろな立場のキャラクターが登場しますが、皆に感情移入できました。土門(竜介)君の気持ちもすごくよく分かります。だけど、それを受け止めてあげる古代(進)さんも、デスラーやスターシャの気持ちも分かります。口だけでは伝わらないことがあるので、愛は行動だと思います。古代さんの男気も、おきてを破って動いちゃう土門君も格好良い。愛は行動なんだと男たちが示してくれるアニメだなと感じました。
「愛は今も光」はこの年齢だからこそ歌えた曲だと思っています。あの時は父のアドバイスを元に歌い、愛に見守られた本当に奇跡のような瞬間がたくさん訪れるレコーディングでした。彬良さん、雪之丞さん、家から父と母、天国から泰さんも見守ってくれていて、そしてスタジオの人たちの「良い声を録(と)るぞ」という想(おも)い。そういう皆の力がないと成立しない楽曲だったと思います。何十年も前から続いている「ヤマト」シリーズを胸に抱いて制作されているので、新曲なのに歴史があるんですよね。こういう歌は「ヤマト」シリーズでしか経験したことがないです。以前の「Great Harmony~for yamato2199」(「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」エンディング主題歌)もそうでした。「愛は今も光」はコロナも含めた今の情勢に響く曲です。「壊れゆく世界 火も希望も凍る でも涙だけは温かい」。それはすなわち心の豊かさを決して忘れてはいけないということを未来の人たちが教えてくれている。必ず幸せが待っていることを信じる。そのことを胸に刻みながら歌っていました。この曲を聴いていると、私がこの曲を歌ったのかなという気がしてくるんですよね。自分の声じゃないような、そんな気がする。平原綾香だけではなく、いろいろな人たちの想いを胸に歌ったから人情の厚い曲になったんだと思います。そこには「ヤマト」を愛するファンの皆さんへの愛情も入っているので、今までシリーズを愛してくれた人へのラブソングでもあります。そして、これから「ヤマト」を好きになっていただく方への愛の告白のような曲でもあるので、たくさんの人たちに愛してもらえる楽曲になったらいいなと思っています。
「宇宙戦艦ヤマト」は1974年にテレビアニメ第1作が放送。「宇宙戦艦ヤマト2」「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」なども制作されてきた。第1作をリメークした「宇宙戦艦ヤマト2199」が2012~14年、「2199」の続編「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」が2017~19年に劇場上映、テレビ放送された。「2205」は、「2202」に続き、福井晴敏さんがシリーズ構成、脚本を担当。「前章 -TAKE OFF-」が2021年10月に上映された。「後章 -STASHA-」が2月4日から上映中。平原さんが歌うエンディング主題歌「愛は今も光」を含む全40曲を収録した「『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』オリジナル・サウンドトラック」が発売中。
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