やがて海へと届く:WIT STUDIO制作のアニメパート公開 水彩タッチで繊細に 岸井ゆきの、浜辺美波コメントも

映画「やがて海へと届く」のアニメパートの一場面(C)2022 映画「やがて海へと届く」製作委員会
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映画「やがて海へと届く」のアニメパートの一場面(C)2022 映画「やがて海へと届く」製作委員会

 女優の岸井ゆきのさんが主演、浜辺美波さんも出演する映画「やがて海へと届く」(中川龍太郎監督、4月1日公開)の冒頭約2分半のアニメパートが3月15日、公開された。映画は、映像化が困難ともいわれた彩瀬まるさんの同名小説(講談社文庫)が原作。アニメパートは、「甲鉄城のカバネリ」「進撃の巨人」などのWIT STUDIOが制作しており、浜辺さん演じる卯木すみれの幻想的な世界を水彩タッチで繊細に表現した。

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 主人公・湖谷真奈役の岸井さんは「脚本を読んだ時はあまり想像ができていなかったのですが、完成版を見た時に『こんなふうに実写とアニメが折り重なっていくんだ』と感動しました。アニメがラストシーンに向かう橋渡しの役割をしていて、実写では伝えられないことをより観客の皆さんの心にダイレクトに届けられていると思います。ぜひ劇場で確認していただきたいです」とコメント。

 浜辺さんは「最初の顔合わせの時にアニメーションの映像を見せていただきました。不思議なのですが、ふに落ちた気持ちにもなり、同時にアニメーションの中の女性の姿に必死に涙をこらえたのを覚えています。私にとってあのアニメーションがあったことは役を考える救いになりました。映画全編を通して見ると、また受け取る感情が変わるのではないかと思っています。この映画を見てくださった皆さまがどんな感想や解釈をお持ちになるのか、とても気になっています。お待ちしております」と話している。

 アニメパートを手がけた久保雄太郎アニメーション監督は「アニメーションは、形のないものを象(かたど)っていく性質をもっています。一つ一つ描いていった輪郭は、彼女、彼らの記憶であり、思いであり、時間であり。大切なものを思い、大切なものに気づかされながら、誰かの代わりに日記を書くように、あるいは記録をするように形を作っていきました。アニメーションによって語られた時間が、言葉にはし難い何かに触れられていればと思います」とコメント。

 米谷聡美アニメーション監督は「あったかもしれない未来や、憧れに胸を焦がし、いつのまにか記憶が混濁していく。はかなく移ろい続け、とどまることを知らないみなもの反射に、真奈とすみれを重ね合わせながら、あらゆるゆらぎに寄り添いたい一心でアニメーションに挑みました。閉じ込められていた時間が、ゆっくりと解けていく様子を、お届けできれば幸いです」と語っている。

 中川監督は「詩によってしか表現し得ないものがある。そう思い、物語の冒頭と末尾においては、台本の形ではなく、詩を書きました。その詩を久保さんと米谷さんという二人の天才アニメーション作家に表現してもらいました。実写だけでは表現しきれなかった、人の痛みや孤独、祈り、希望といった無数の感情を流れるようなイマジネーションの連鎖とともに紡いでもらいました。ぜひ劇場の大きな画面と暗闇の中で体感してもらえましたら幸いです」とコメントを寄せている。

 「やがて海へと届く」は、突然消息を絶った親友の死を受け入れられずにいる主人公・真奈が、深い悲しみを抱えながらも前に踏み出そうとする姿を描く。岸井さんが真奈、浜辺さんが真奈の親友のすみれを演じるほか、杉野遥亮さん、中崎敏さん、鶴田真由さんらが出演する。

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