テレビ試写室:「ダマせない男」 半沢直樹とは正反対?の堺雅人 実力派の“演技合戦”も

ドラマ「ダマせない男」の場面カット=日本テレビ提供
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ドラマ「ダマせない男」の場面カット=日本テレビ提供

 ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまで、さまざまなジャンルのテレビ番組を放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は、3月26日午後9時から日本テレビ系で放送される堺雅人さん主演のスペシャルドラマ「ダマせない男」を紹介する。

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 堺さんにとっては、大ヒット作「半沢直樹」(TBS系)以来約1年半ぶりのドラマとなる本作。“超”が付くお人よしのサラリーマン、絹咲正(堺さん)が、ひょんなことから女詐欺師の浅香澪(門脇麦さん)と出会い、リゾート会社社長の大森(広末涼子さん)をターゲットにした10億円の詐欺を成功させるために奮闘するが……というストーリー。「ダブルブッキング」(日本テレビ)、「脳にスマホが埋められた!」(読売テレビ)、アニメ「はたらく細胞BLACK」などの意欲作を手がけた森ハヤシさんが脚本、「ダブルブッキング」「レッドアイズ」(ともに日本テレビ)などの水野格さんが演出を担当している。

 堺さんが演じている正は、うそがつけず、心優しい性格で絶対に人をだますことができないという役どころ。自分の意志を押し殺して、詐欺計画を進めようとしても、最後には良心が勝ってしまい、「簡単に決めてしまっていいんですか?」と忠告してしまうほど筋金入りのお人よしだ。手段を選ばずとどめを刺すまで猪突猛進していく苛烈な性格の半沢直樹とはおおよそ正反対のキャラクターだといえるだろう。

 あまりにもお人よし過ぎるキャラクターは現実離れしているともいえるが、そこに人間くささを加味しているのが、正のほれっぽさだ。門脇さん演じる“フレグランスの澪”の色香に惑わされて詐欺計画に巻き込まれるだけでなく、だますターゲットの女社長、さらには清掃員の女性まで、正はすぐ好きになってしまう。このほれっぽい性格が正のキャラクターを魅力的で憎めず、なおかつ身近な存在にしている。

 堺さん演じる正を取り巻く登場人物を演じるのは豪華なキャスト陣。映画「鍵泥棒のメソッド」の広末さん、「リーガルハイ」(フジテレビ)の生瀬勝久さんといった、堺さんと共演経験のある相性抜群の名優たちとのぜいたくなやりとりは必見。さらに堺さんが“天才”と絶賛した初共演の門脇さんとの息もぴったりで、実力派同士の“演技合戦”は本作の大きな見どころの一つだ。

 だませないのに10億円の詐欺を成功させないと殺されてしまうという“ミッション・インポッシブル”に、正と澪はどう立ち向かうのか。思いもよらない展開に驚かされるはず。キャラクターの造形も単発作品ではもったいないほど作り込まれており、シリーズ化も期待したい注目作だ。

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