種崎敦美:「掛け合いがキャラを作る」 江口拓也、早見沙織と作り上げるアニメ「SPY×FAMILY」

「SPY×FAMILY」の一場面(C)遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会
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「SPY×FAMILY」の一場面(C)遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

 集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で連載中のマンガが原作のテレビアニメ「SPY×FAMILY」が、4月からテレビ東京ほかで放送されている。同作のメインキャラクターで、心を読むことができる超能力者の女の子、アーニャ・フォージャーを演じるのが人気声優の種崎敦美さん。種崎さんは、「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」の主人公・ダイ、「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」の女性AI・ヴィヴィ、「テレビアニメ『鬼滅の刃』遊郭編」のメインキャラクター・宇髄天元(うずい・てんげん)の嫁・雛鶴(ひなつる)など、さまざまなキャラクターを演じてきた。「SPY×FAMILY」では、心が読める女の子役に挑んでいる。声優として役に向き合う上での思いを聞いた。

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 ◇「そう来るんだ!」を増やしたい フォージャー家の思いも寄らぬ会話劇

 「SPY×FAMILY」は、2019年3月に「少年ジャンプ+」で連載をスタート。すご腕スパイの<黄昏(たそがれ)>が、任務のためにロイド・フォージャーとしてかりそめの家族を作り、新生活を始める……というストーリー。スパイの父、超能力者の娘、殺し屋の母が互いに正体を隠して生活することになる。アニメは、「機動戦士ガンダムUC」などの古橋一浩さんが監督を務め、「進撃の巨人」シーズン1~3などのWIT STUDIO、「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」などのCloverWorksが制作。ロイドを江口拓也さん、ロイドの妻となる殺し屋のヨルを早見沙織さんが演じる。

 種崎さんが演じるアーニャは、とある組織の実験で偶然生み出された他人の心を読むことができる超能力者の女の子。孤児院で暮らしていたところをロイドに引き取られ、フォージャー家の“娘”となる。外見の可愛さはもちろん、天真らんまんなキャラクターがファンの人気を集めている。

 種崎さんは、アーニャの核は“わくわく”の感情だと感じているといい、「MAXの感情を包み隠さず表現する」ことを意識しているという。アフレコでは、ロイド役の江口さん、ヨル役の早見さんとの「掛け合いの中だからこそ生まれてくるものを増やしていきたい」と語る。

 「江口さんとアフレコをご一緒した時、私のアーニャの表現の中で、江口さん的に『そう来るんだ!』みたいな音があったらしくて、『ここはそういうんですね』とぼそっとおっしゃっていた瞬間があって、うれしいなと思ったんです。そう感じていただけたということは、私の表現に対し想定外の反応をしていただけたのかなとも思ったので、そういう瞬間をもっと増やしていきたいです」

 フォージャー家は、ロイドはスパイ、アーニャは超能力者、ヨルは殺し屋という素性を互いに知らないまま家族生活がスタートする。それぞれに秘密がある特殊な家族ゆえに生まれる会話劇も同作の魅力となっている。

 「アーニャも、ロイドさんも、ヨルさんも、それぞれを観察しているんですよね。『この行動は何だ? 何を考えているんだ?』みたいな。その過程を経て、フォージャー家がお互いを知っていくように、私も演技を通して、江口さん、早見さんのことをもっと知っていけたらなと思っています。3人でフォージャー家を作っていけたらなと。フォージャー家は、みんな裏表があるからこそ、演じている私たちにとっても思いも寄らぬ会話劇になったりする。それは私自身も楽しみですし、皆さんにも楽しみにしていただきたいです」

 ◇キャラクターを現場で作る 自分だけでは成り立たない

 種崎さんは、「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」のダイ役や、「テレビアニメ『鬼滅の刃』遊郭編」の雛鶴役など、少年から大人の女性まで幅広いキャラクターを魅力的に表現してきた。「SPY×FAMILY」では、ロイド役の江口さんも種崎さんを「どんな役もこなせるスペシャリスト」といい、「僕もいい意味で毎回裏切られています(笑い)」と話していた。種崎さんがさまざまな役に向き合う上で大切にしていることとは?

 「どのキャラクターも、人間もそうだと思っているんですけど、人と関わって、人の形になっていく気がしているというか。だから、自分だけでは成り立たない。人と関わって、そのキャラクターが出来上がっていくと思っているので、『現場で作る』ことを大事にしています。アフレコ現場で、相手と掛け合うことでキャラクターができていく。相手にもらったものに自分が返すこともそうですし、掛け合っている相手にも影響を与えられたらいいなと思いながら、その場でキャラクターを作っていくことを大事にしているような気がします」

 「現場でキャラクターを作る」ことへの難しさを感じることもあったという。

 「コロナ禍ならではのことではあるんですけど、これまでは共演者の方と一緒に収録できていた作品で、初めて一人で収録することになったんです。そしたら全然うまくいかなくて……。私は、人からもらったものに返していただけだったんだなと。もちろん、演じる役にもよるんですけど、つい最近それを経験してしまい……改めて難しい仕事だな、奥が深いなと実感しました」

 種崎さんは、掛け合いを通して「思い描いた以上の表現が出てくる」といい、その上で、「より細かいニュアンスを表現していきたい」と思いを語る。「SPY×FAMILY」では、種崎さん、江口さん、早見さんが演じるフォージャー家がどんな化学反応を見せてくれるのか、注目したい。

 ※種崎敦美さんの「崎」は「たつさき」

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