ドラゴンボールDAIMA
第11話 デンセツ
12月23日(月)放送分
さくらももこさんの人気マンガが原作のテレビアニメ「ちびまる子ちゃん」(フジテレビ系、日曜午後6時)が、5月1日の放送で1500回を迎える。1990年1月7日の放送開始から約32年で1500回の大台に到達する。1990年にスタートした第1期から参加してきた日本アニメーションの高木淳監督に、愛され続ける理由を聞いた。普遍的な魅力がある作品ではあるが、実は変化もあったようで……。
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「ちびまる子ちゃん」は、静岡県清水市(現・静岡市清水区)を舞台に、小学3年生のまる子の家族、友人との日常を描いたマンガ。1986年に「りぼん」(集英社)で連載を開始した。テレビアニメは、1990~92年に放送された第1期、1995年から現在まで続く第2期があり、高木監督は第1期から参加してきた。「ドラえもん」「ど根性ガエル」などで知られる芝山努監督、劇場版「ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌」も手がけた須田裕美子監督からバトンを受け取り、2007年から監督を務める。
「最初は演出助手、演出の中では一番下っ端でした。途中で入って抜けたりはして、ほかの作品に行ったり、戻ってきたりしながらですね。2007年、第603話から監督をやらせていただいています。立ち上げの頃から携わっているスタッフが今もいます。音響監督の本田(保則)さん、美術監督の野村(可南子)さん、キャラクターデザインの船越(英之)さん、音響効果の松田(昭彦)さん……と」
日曜午後6時は「ちびまる子ちゃん」、6時半は「サザエさん」と30年以上にわたってお茶の間で愛され続けているが、アニメが始まった当初は「こんなに続くとは、誰も思ってなかった」という。
「日曜6時は1、2年の作品も多かったですしね。1年くらい続けば……と思っていました。最初、視聴率がよくて、ホッとしたことを覚えています。比較的早めに人気に火がついて、続くかな?という空気になりました。最初に原作を読んだ時は、変わった作品だし、どうやって作るんだろう?と思いました。今ではそれほど珍しくないかもしれませんが、当時の少女マンガとは一線を画してましたから。百戦錬磨の芝山さんがアニメで魅力を引き出した。今のシステムを作ってくださったのは芝山さん、須田さんなんです。僕らはそのレールに乗っかって走っています」
「ちびまる子ちゃん」は、1500回まで続く長寿アニメとなった。高木監督は、愛され続ける理由として「原作の力」「キャラクターの魅力」を挙げる。
「原作の力が大きいと思います。さくら先生が作ってくれた作品のパワーのおかげです。先生が大切にしてきたものを我々が預っているので、それをしっかり守っていきたい。まる子の魅力も大きいです。等身大、身近なキャラクターが主人公であることに尽きると思います。いわゆる優れたキャラクターではなく、ダメな子なんですね。悪い子ではないんですけど。人間はみんな、それなりにダメなところがあるものですし、共感できる。現実にあった空間をアニメに落とし込んでいるので、違和感なく入り込めるところもあると思います」
舞台は1970年代で、アニメが始まった1990年代でもノスタルジックに見えた。長寿アニメとなり、半世紀も昔の世界になった。
「令和の時代になり、子供には、少し説明がいるのかもしれないのですが、そこは、家族に聞いてもらってもいいのかな?と思っています。作品として昭和テイストは段々薄くなっていますし。バイプレーヤーが存在感を増してきて、ドラマを描く方向性になってきています。たまに、味付けとして昭和ネタも入ってくる。小道具としてテレビはブラウン管で、黒電話を使っていて、携帯電話も存在しない。そういう世界観は残しています。
令和の子供にとって昭和ネタが新鮮に見えるかもしれないし、「昔は……」と家族の会話に花を咲かせることもできるはず。ファミリーアニメならではの楽しみ方も魅力なのかもしれない。
「ちびまる子ちゃん」は普遍的な魅力のある作品だ。変化がないようで、意外に変化したところもある。それはキャラクターデザインだ。
「少しずつ変化しています。一番顕著なのは頭身ですね。原作の頭身が変わってきたので、第2期になる時に頭身を下げていますし、ちょっと細かいところですと、原作に合わせて前髪のギザギザの数を変更しました。最初は5つだったけど、7つにしました。増やすと大変なのですが、可能な限り、原作に近付けようとしてきました」
頭身を変更することで苦労もあった。
「基本的には日常芝居が多いので、頭身を下げすぎると、例えば、頭に手が届かなくなるなど普通の生活を描きにくくなるんです。原作は最終的にほぼ2頭身くらいになっていましたしね。デフォルメされたキャラクターですが、歩いたり、食べたりという人間の動きを大事にしているので、ギリギリのところまで近付けようとしてきました」
「ちびまる子ちゃん」は、日常芝居を丁寧に描くという“核”がしっかりしている。
「日常芝居は“裏の核”なのかもしれまん。“表の核”は、大きなくくりで言えばギャグマンガですし、肩肘を張らずに、気楽に笑っていただくことです。ただ、ウソがあってはいけない。違和感なく見ていただくためには、リアリティーがないといけない。日常芝居をしっかり描くのは、芝山監督の頃から続いていることですし、ちゃんとしようとしています」
1500回続く中で、ピンチもあったのでは?とも考えてしまうが、高木監督は「僕が知る限り大きなピンチはないですね」と話す。
「比較的、制作スケジュールもスムーズに進んできました。ただ、コロナ以降、アフレコが止まり、制作もどうするのか?とピンチがありました。デジタルでの作業が増えてきてるとはいえ、まだ紙での作業も残っていますし、人と人が接触することが非常に多い仕事でもあるので、不安でした。今もアフレコは大人数でできないですしね。やっぱりみんなで録(と)る醍醐味(だいごみ)もありますし」
記念となる第1500回は「ありがとう!みんなのおかげで放送1500回1時間スペシャル」と題して、「まる子と山桜」「まる子、欽ちゃんに会いたい」の2本のエピソードに加え、懐かしい映像を振り返るコーナーなどが放送される。
「1000回、30周年とこれまでも節目の企画がありましたし、今回はどうしようか?と考えました。再生、リバースをイメージしています。まる子が変わるわけではないのですが、生まれ変わった気持ちでこれからも頑張っていこう!という気持ちで『まる子と山桜』というエピソードを制作しました。もう一つは、楽しい作品を!ということで、萩本欽一さんのお名前が挙がり、ダメ元でお願いしたら、快諾していただけました。楽しいお話に仕上がっていると思います。萩本さんと収録していて楽しかったですね。みんなでニコニコしていました」
「再生、リバース」は第1500話以降のキーワードになりそうだ。
「再生、リバースと言っても、全く新しいものになるという意味ではありません。もっと元気なまる子を目指します。世の中が変わっていく中で、世界観を壊さないように、時代にも合わせていく。そこを丁寧にやっていければ、続けていけると思っています。『ちびまる子ちゃん』には、そのパワーがある。大きな争いごともないですし、すごくホッとできる世界なんです。ずっと続いて、世界もそうなっていくとうれしいですね」
時代が変わり、お茶の間の風景が変わっても変わらないでほしいものがある。日曜の夕方に「ちびまる子ちゃん」を見て、ホッとしたり、笑ったりすることは、多くの人にとって大切な時間になっている。2000、3000回……とこれからも続いていってほしいものだ。
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