人気バスケットボールマンガが原作のアニメ「黒子のバスケ」の10周年を記念したプロジェクトがスタートしたことを受けて、黒子テツヤ役の小野賢章さんと火神大我役の小野友樹さんが、作品への思いを語った。2人は、4月に東京で開催されたアニメの原画展「黒子のバスケ ANIMATION GALLERY ~10年のキセキ~」の観覧後、取材に応じ、小野賢章さんは、テレビアニメ最終話の収録を振り返り、「印象深いというか、忘れられないですね。あんなに『最終回』ということを意識した現場は、ほかにはないくらいでした。『これでやりきった』とか『ゴールした』という雰囲気でいっぱいだったと思います」と話している。
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小野友樹(以下、友樹)さん なかなか生で見られる機会がない原画を、10年目にしてこうして見ることができるというのは貴重で、奇跡のような展示会だなと思いました。生の原画の迫力が本当にすごかったですね。キャラクターたちが描かれていく過程も含めて、アニメーションというのはこうやって作られているのかと改めて感じ、スタッフの皆さんの熱意ある描き込みを1枚1枚楽しめてよかったです。
小野賢章(以下、賢章)さん 自分が想像していた以上にたくさんの原画が展示されていたので、見応えのある原画展になっているなと思いました。僕は元々原画を見るのがとても好きで、「黒バス」でも原画を使ったグッズとかが好きだったので、見覚えのある原画もいろいろと展示されていて、すごく楽しかったです。
友樹さん 今回の原画展を見て、改めて思い出したのは「流星のダンク(メテオジャム)」のシーンですね。「流星のダンク(メテオジャム)」って浅めの角度からダンクして、ボールがゴールリングの奥に当たってガコンッと下に落ちていくイメージでしたけど、原画に描かれた軌跡を見ると、リングの奥に当たったあと、手前に1回跳ね返って下に落ちていたんですよ。説明が難しいですけど、リングに2回当たっていたんだと改めて分かりました。そうしたボールの軌跡も含めて、「こうなっていたんだな」と感じられましたね。
友樹さん 火神のプレーでは一番印象的ですね。あと劇場版では、青峰と一緒にJabberwock(ジャバウォック)のシルバーを打ち破ったシーンの原画もあって、その瞬間のことを思い出しました。ナッシュは“ザ・悪(ワル)”といった感じのキャラクターでしたけど、原画で改めて見ると本当に悪い奴だなと(笑い)。元の表情のデザインを崩してまで、その悪い感じを表現しているんだなと改めて知りましたね。
賢章さん 10周年ということで改めて振り返ると、今がちょうど10年前にアニメがスタートした時期と同じ季節ということもあって、第1期オープニング曲の「Can Do」が思い出深いですね。あの当時は朝から「Can Do」を聴きながら仕事に向かう……そういう毎日を送っていましたから。オープニングは何回見たのかわからないくらい見返していたし、なんとなくウキウキしていて楽しかったので、希望に満ちた未来を想像していたのかなと(笑い)。劇場版だと、やっぱりラストの空港のシーンじゃないですか?
友樹さん そうだね~。
賢章さん あのシーンは何回録(と)り直したか分からないし、最後の方では自分でも「あ、これで終わりなんだな」と感じる瞬間があったので、特に印象に残っていますね。キャラクターとしての名シーンは挙げだしたら本当にキリがないので、やっぱり収録の時のことを一番に思い出します。
賢章さん テレビシリーズの最終話も同じように印象深いというか、忘れられないですね。あんなに「最終回」ということを意識した現場は、ほかにはないくらいでした。「これでやりきった」とか「ゴールした」という雰囲気でいっぱいだったと思います。
友樹さん 音響監督の三間(雅文)さんが、テストが終わった後に「何も言うことありません。やりましょう」という感じで、そのまま録っていったんですよね。その時の僕は必死だったので「そうなんだ」くらいにしか感じなかったんですけど、あとから振り返ると、声優としてアフレコに参加していてもめったに経験できない、全員に何かが伝わったような特別な瞬間だったと思います。それは必然なのか奇跡なのか、年月と絆が成せる技だなと感じました。あと、最終話直前くらいに三間(雅文)さんが言ってくださった「やっと火神になりたかったやつが火神になれたな」という言葉は、今も心に残っていますね。
「黒子のバスケ」は、2008年12月~2014年9月に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載されたバスケットボールマンガで、影の薄さを武器にした黒子テツヤや米国帰りの火神大我ら誠凛(せいりん)高校バスケットボール部が日本一を目指して奮闘する姿が描かれた。テレビアニメ第1期が2012年4月に放送をスタート。テレビアニメが3期にわたって放送され、2017年には新作劇場版アニメが公開され、舞台化もされた。
(C)藤巻忠俊/集英社・黒子のバスケ製作委員会(C)「黒子のバスケ」アニメ10周年プロジェクト(C)藤巻忠俊/集英社・劇場版「黒子のバスケ」製作委員会
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