注目映画紹介:「鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成」 強い“原作愛”で圧巻の再現度

「鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成」のメインビジュアル(C)2022 荒川弘/SQUARE ENIX (C)2022 映画「鋼の錬金術師2&3」製作委員会
1 / 8
「鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成」のメインビジュアル(C)2022 荒川弘/SQUARE ENIX (C)2022 映画「鋼の錬金術師2&3」製作委員会

 荒川弘さんの人気マンガ「鋼の錬金術師(ハガレン)」が原作で、人気グループ「Hey! Say! JUMP」の山田涼介さんが主演を務める「鋼の錬金術師 完結編 復讐(ふくしゅう)者スカー/最後の錬成」(曽利文彦監督、5月20日・6月24日公開)の二部作が2カ月連続で公開される。前作から5年の時を経て、原作のラストまで描ききった話題作だ。

ウナギノボリ

 「鋼の錬金術師」は、2001~10年に「月刊少年ガンガン」(スクウェア・エニックス)で連載された、荒川さんの人気マンガ。錬金術が科学のように発達した世界を舞台に、エドとアルの兄弟が、失った体を取り戻すため「賢者の石」を探す旅に出る……というストーリー。アニメ化もされ人気を博し、2017年には1作目の実写映画が公開された。

 今回の新作は二部作構成。前編となる「復讐者スカー」は、原作でも人気のキャラクターである“傷の男(スカー)”を中心としたストーリー。かつて国軍によって滅ぼされたイシュヴァールの民の復讐のために、すべての国家錬金術師の抹殺を誓うスカーが、エドと相対することになる。後編「最後の錬成」は、“お父様”との戦い、その後のエドとアル、仲間たちの物語が展開し、原作の最終話までを描く。

 2000年代のマンガ、アニメを振り返る上で“必修科目”ともいえる原作。原作の最後まで描ききるというコンセプトで製作されたこともあり、原作を忠実に再現したビジュアルは圧巻。街の小物一つとってもマンガから抜け出てきたような存在感を放っている。

 さらに再現度が重要な個性的なキャラクター勢も健在。山田さん演じるエド、ディーン・フジオカさん演じるマスタング大佐をはじめとした前作からの面々に加えて、新田真剣佑さん演じるスカー、渡邊圭祐さん演じるリンをはじめとしたシン国勢に、舘ひろしさんのキング・ブラッドレイ、寺田心さんのセリム・ブラッドレイと、原作の雰囲気そのままの新キャラクターがそろった。

 そして何といっても内野聖陽さんが演じた“お父様”とヴァン・ホーエンハイムの存在感はすさまじいものがあった。ドラマ「臨場」での破天荒な検視官、倉石をはじめとしたワイルドな役から、キュートな仕草が特徴的な「きのう何食べた?」のケンジまで数々の役どころで反響を呼んできた内野さん。本作でも“お父様”とヴァン・ホーエンハイムという、同じ姿形ながら全く異なる存在の両者を魅力的に演じきっている。

 ◇

 「エドが山田さんだったから成立した作品」。今回取材した数々のキャスト陣が口をそろえて語った言葉だ。当の山田さんにぶつけてみると「いや、うれしいです。みんな優しいんで言わないですけど、(エドと同じく)小さいんで、僕自身が(笑い)」とおどける。

 しかし、CGを使うため想像しづらく、なおかつ細かいカット割りに戸惑うキャスト陣と、曽利監督の間を取り持ったのは、他でもない山田さんだったようだ。「監督の中にはブレないビジョンが必ずあって、僕はそれを前作ですごく感じたから今回もついていこうと思えた。だから、今回初めて参加するキャストの方々に『ここはこうなると思うから、こういう意図でカットを割っているんです』と監督のサポートじゃないですけど、できることはしていこうと(思っていた)」と振り返る。

 最後まで描ききろうという強い“原作愛”の下に、スタッフ、キャストが一丸となった本作。ちょっとしたサプライズも待っているので、最後の最後まで堪能してほしい。

写真を見る全 8 枚

映画 最新記事