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11月21日(木)放送分
俳優の大谷亮平さんが主演を務める連続ドラマ「WOWOWオリジナルドラマ 異世界居酒屋『のぶ』Season2~魔女と大司教編~」が5月27日午後11時から放送・配信される。ドラマは、異世界につながった居酒屋「のぶ」で職人気質(かたぎ)の大将・矢澤信之(大谷さん)が酒や料理を振る舞う姿を描いたグルメファンタジーで、2020年に放送されたシーズン1の続編となる。大谷さんとシーズン1に引き続き監督・脚本を務める品川ヒロシさん、原作者の蝉川夏哉さんに、シーズン1の撮影秘話や今シーズンの見どころなどを聞いた。
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ドラマは、小説投稿サイト「小説家になろう」から生まれ、累計発行部数400万部を突破した蝉川さんのライトノベル「異世界居酒屋「のぶ」」シリーズ(宝島社)が原作。異世界の古都アイテーリアにつながった居酒屋「のぶ」が舞台。大将・矢澤信之役を大谷さん、「のぶ」の常連客に愛される看板娘・千家しのぶ役を武田玲奈さんが演じる。2020年にシーズン1が放送され人気を博した。シーズン2では、魔女のような風貌の謎の女性・イングリド(水野美紀さん)が現れたことをきっかけに物語が展開していく。
品川さん 「無理だ」と思いました。中世ヨーロッパのイメージの場所に居酒屋ができて、外国人のようなキャラクターを日本人が演じて……もう、ファンタジーすぎて。何十億円と使えて、外国人キャストでやるなら……と思いましたけど、お話をいただいたときは頭を抱えましたね(笑い)。それと、僕はそれまで暴力映画ばっかり撮っていたので、「こんなファンタジーな心温まる物語なのに、なんで俺なんだろう?」と。
大谷さん 僕も近いです。まずマンガ原作を映像化すること自体、ハードルが高いものですよね。それに加えてこの設定。ちょっとチープになると、すごくアラが見えたり、説得力に欠けたりする。説得力と、いかに見ている方をひきこませられるかが勝負なので、その心配はありました。
品川さん でも、美術デザインを見せていただいたときに「これならできる」と思いました。セットを組んだとき、「すごい世界観になっているな、これならば可能だ」と。たぶんキャストのみなさんも蝉川先生も、そうだと思うんですけど。美術セットが素晴らしかったですね。
大谷さん セットに入って最初のシーンを撮ったとき、勝手に心配していたものが一気に晴れました。違和感がなかったんです。かなり飛んでいる設定ですけど、それを受け入れればいいんだ、自分たちのものにしちゃえばいいんだ、と。ありえないって思うかもしれないけど、「起こっちゃったんだもん、しょうがないじゃん」と(笑い)。
蝉川さん 私も、最初に話を聞いたときは「無理だろう」と(笑い)。アニメはできてもドラマ化は無理じゃないですか、と思ったんです。ただセットを見て、これは本当にすごいな、と。原作では「のぶ」というお店を通して、向こうの世界の人はこっちの世界を見ているし、こっちの世界の人は向こうの世界を見ているイメージがあるんです。その“窓”としての「のぶ」のセットが本当に素晴らしくて……。料理とセットと、なによりキャストのみなさんが素晴らしいドラマを作ってくれたので、完全に迷いが晴れました。
品川さん 料理は絶対に妥協できなかったですね。最初に大谷さんにお話ししたんですが、調理シーンはもう大谷さんのアクションシーンなので、大谷さんが料理を作っているところがかっこよく見えて、さらに料理がおいしそうに見えるのが「のぶ」の見どころの一つ。で、それを食べるリアクションが、西洋の人たちのアクションシーンだと思っていました。大将は調理をするアクションスター。僕はアクションを撮るのが好きなので、「料理」と言われたときに「そうだ、調理シーンはアクションなんだ」と思ったら、すごく撮るのが楽しくなったんです。
大谷さん そうですね。品川監督がおっしゃっていたように、アクションシーンはまさにそうじゃないですか。殴っていないけど、殴ったと見えるように“だます”。撮り方だったり演じ方だったりが勝負になってくる。シーズン1のときは「本当に料理していると思っていた」という声が多かったし、僕もそのうそは突き通しました(笑い)。
品川さん 大谷さん、顔がうまいんですよ。焼いている顔とか、切っている顔をするんですよね(笑い)。
大谷さん 全部同じになっていないかと…(笑い)。
品川さん いやいや、切っているときは切っている顔だし、焼いているときは焼いている顔になっているんです。僕も結構うるさかったので、「まな板には正対して構えないで斜に構えて切ってください」と角度まで細かく言っていました。
品川さん 原作がそうなんですよね、最初は頑固で。僕の解釈ですけど“人見知り”だったんだろうな、と(笑い)。それで常連ができて、ちょっと冗談を言うとかだんだん打ち解け始めた。しのぶと大将も、もともとはお嬢様と雇われの身だから、力関係でいえばしのぶの方がちょっと上なんですよね。それが長年一緒にいることで距離が縮まる。その力関係も見えてくると面白いのかなと思います。シーズン2ではさらに常連と近づいているし、しのぶと大将の距離も近づいています。大将がより面白くなっている。
大谷さん かなりくだけていますね。しのぶとは本当に長い付き合いだから夫婦っぽい空気が流れていたり、常連客に軽口をたたいたり。シーズン1に比べて人格変わっていない?と(笑い)。
品川さん シーズン1では、外国人(異世界人)に緊張していたんじゃないですか?(笑い)。そういう大将いますよね。最初はすごく武骨で職人気質だったけど「くだけたな、この人」という。ただ、料理に関してだけは、武骨でい続けることが大事。料理に対する真摯(しんし)な思いがシーズン2は迷いとなって出てくるので、料理がうまいことや料理に対する思いはふざけられない。それ以外は多少、軽口をたたいてもいいかなと思います。
蝉川さん 本当に素晴らしいシーズン1を作っていただいて、ありがたいという気持ちでした。もともと料亭の板場で客と接することが少なかった大将が、緊張しながらもしのぶと一緒にお店をやり、だんだんほぐれて地が見えていく。その先で客と接しながら、また自分なりの料理人としての姿を作り上げていく。それがシーズン2も見どころのひとつじゃないかなと思います。
品川さん 一人一人、バックボーンが見えてくるのでキャラクターが面白くなりましたね。“funny”だけじゃなく“interesting”の意味でも。みんなが演じやすくなったし、新キャラクターたちも魅力的。“常連客対新キャラクター”という構図になっているんです。前は“大将としのぶ対異世界の人たち”だったけど、ハンス、ニコラウス、ベルトホルト……みんな「のぶ」側の人間になっているんですよ。新しいキャラはだいたい一人で「のぶ」に来るんですけど、それを全員で囲んで「いらっしゃいませ、ここはこういう店ですから」という構図になれました。
大谷さん やっぱり新しいキャラクターがたくさんいて、新風を巻き起こしてくれた感じがあります。タイトルにもなっているけど、魔女狩りが行われて、魔女が「のぶ」に出入りしていると伝わり、そこでまた大きな問題が出てくる。それ以外にも「のぶ」でいろいろな問題提起があり、そういう話がシーズン1以上にパワーアップしています。
品川さん シーズン1のときはもちろん狙ったわけじゃないんですけど、オンエアのときにちょうどコロナ期に重なって、みんなが飲みにいけない時期に「のぶ」がオンエアされたんです。だから「飲みにいきたいな」とドラマを見てみんなが思ってくれたシーズン1だったと思います。シーズン2も「この料理食べたいな、こういう人に会いたいな」と思っていただけたらうれしいですね。
品川さん 本当に「のぶ」はやってよかったと思っています。映画しか撮っていなかったので、ドラマを10話脚本書いて監督して編集するのはしんどい作業でした。映画が短距離走とすると、ドラマはペース配分を考えないといけない。シーズン1と合わせて20本分撮っているから、経験値が変わりました。時間のない中でクオリティーの高いものを撮る、その経験値という貯金が「のぶ」のおかげでできたんです。
最終的に米国で映画を撮りたいという思いがあるので、50代の目標は本格的に渡米したり、向こうのプロデューサーと会ったりすることを進めていきたい。この2年間のシーズン1、2でスタミナを鍛えられたし、今まではオリジナル脚本がほとんどだったので、原作ものを面白く仕上げ、長時間にわたって監督することはいい経験になりました。これを土産に50代は米国で勝負したいと思います。
大谷さん コロナ禍でいろんなことを振り返る機会が多かったですね。仕事に関していえば、今までやってきた仕事に関して、自分に何が残っているのか考えるきっかけになり、自分の中でひとつの答えも出たんです。
結果が大事な業界ではあるんですが、仕事の過程や関わりが、のちの自分にすごく残っているなと痛感しています。撮影中のコミュニケーションやそこで話すこと、そして作品を作り上げていくこと、そういうものが財産にもなる。この作品に関しても、主演をやらせてもらって、ほぼ毎日のように撮影したんですが、その一日一日がいろんな思い出になって残っているので、40代もそれを大事に続けていけたらなと思います。
シーズン2は、5月27日から毎週金曜午後11時にWOWOWプライム・WOWOW 4Kで放送。全10話で、第1話は無料放送。WOWOWオンデマンドでは、各月の初回放送終了後に同月放送分が一挙配信される。
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