山村響:「パリピ孔明」で葛藤する七海を熱演 思いを込めた“神回” 本渡楓と「あうんの呼吸」で

「パリピ孔明」に出演する山村響さん
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「パリピ孔明」に出演する山村響さん

 「ヤングマガジン」(講談社)で連載中のマンガが原作のテレビアニメ「パリピ孔明」。放送日にはツイッターで「#パリピ孔明」がトレンド入りするなど人気を集めている。中でも、“神回”として話題になった第9話だ。主人公・月見英子と親友の久遠七海が音楽への思い、自身の葛藤を語り合う名場面では、英子役の本渡楓さん、七海役の山村響さんの熱演に心を打たれた人も多かったはずだ。山村さんに「パリピ孔明」への思い、“神回”の裏側を聞いた。

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 ◇孔明の罠か!? 原作を読んで印象が変わる

 「パリピ孔明」は四葉夕トさん原作、小川亮さん作画のマンガで、ウェブマンガサービス「コミック DAYS」(同)で2019年に連載を開始。2021年に「ヤングマガジン」に移籍した。三国志の英雄にして天才軍師・諸葛孔明が渋谷に転生し、歌手を目指す月見英子の歌に心を打たれ、自ら軍師になることを申し出る……というストーリー。 2020年に「次にくるマンガ大賞」のウェブマンガ部門「U-NEXT賞」に選ばれたことも話題になっている。アニメは、「SHIROBAKO」「白い砂のアクアトープ」などのP.A.WORKSが制作。TOKYO MX、MBSほかで放送中。

 「パリピ」で「孔明」。本来、結びつかないであろうワードということもあり、インパクトが大きい。山村さんは最初、タイトルを目にした時、頭にクエスチョンマークが浮かんだ。

 「オーディションのお話をいただく前に、渋谷で『パリピ孔明』の看板を見たことがあったんです。ギラギラの文字で、すごく印象に残っていて、なんだろう?と(笑い)。ほどなくしてオーディションのお話をいただき、あの看板の!となり、原作を読ませていただきました。タイトルの雰囲気と内容が全然違うんですよ。ギャグマンガなのかな?と思ったら、骨太なストーリー、泣けるマンガなんです。読んで印象が変わりました。タイトルでびっくりして、読んでみると、深みにはまり、引き込まれていきました。まさに、孔明の罠(わな)ですね」

 山村さんが演じる七海は3人組女性ガールズバンド「AZALEA」のベーシスト兼ボーカル。アイドル的な人気があるが、本当はロックをやりたい……と葛藤している。音楽を通じて英子と親友になる。

 「七海は、すごく真面目で責任感が強く、英子にとって姉御肌的なキャラクターです。自分の理想と現実の狭間(はざま)で悩んでる姿が、すごく共感できるところがありました。私も歌が好きですし、感情移入できるところがあったんです。演じたい!という気持ちが強かったです」

 “歌い手”として活躍するLezel(レゼル)さんが、七海の歌唱を担当している。

 「Lezelさんは、ハスキーな響きの中に、キュートな雰囲気もあり、七海の悩みも見えるような歌声です。初登場の歌のシーンがすごく印象的でした。マンガを読んでいる時は、歌をはっきりイメージしていませんでしたが、Lezelさんの歌を聴いて、七海はこうやって歌うんだ……と答え合わせができたように感じました」

 英子は、本渡さんが声優を務め、96猫さんが歌唱を担当しており、本渡さん、96猫さんがシンクロしているように感じる。山村さん、Lezelさんも同じようにシンクロしているから不思議だ。

 「『歌に寄せてください』というお話はなかったので、意識せずに演じさせていただきました。演じ手・歌い手共にディレクションをしていただく中で、お互いに寄っていったところがあったのかもしれません。英子もそうだったみたいなのです。以前、96猫さんの歌を聴いたことがあったのですが、楓ちゃんの声とリンクしないイメージだったんです。でも、アニメを見ると、すごく自然に溶け込んでいるんですよね」

 山村さんは歌手としても活動しており、歌唱力に定評がある。声優、歌唱が別のダブルキャストは初めてだったという。

 「最初『歌唱は別の方です』と言われた時は、正直ショックだったんです。できるなら歌いたい!と思っていたところもあったのですが、アニメを見ていると、2人の声がどんどん同じ人間のものになっていくような感覚があり、新しい経験をさせていただいています」

 ◇英子の言葉に涙 最終回は集大成

 七海は、自分が「AZALEA」のメンバーであることを隠して、英子と親友になる。「AZALEA」と英子は、サマーソニア出場権がかかった“10万イイネ企画”で競っている。第9話では、七海が、英子に自分の正体を明かした。七海と英子が葛藤、音楽への思いを語り合うシーンも話題になった。

 「七海が抱えている思いを吐露するシーンは、時間をかけて、いろいろなパターンを録(と)らせていただきました。時間をかけて、芝居を作り上げていけたことが、ありがたかったです。(本渡さんと)2人で録らせていただき、英子の言葉を隣で聞いて、胸に刺さるものがあり、涙が出てきそうになりました。『七海として泣きすぎないで』というディレクションをいただいたのですが、せりふが刺さって、涙を抑えながら、思いを込めて演じました。すごくエモいシーンです」

 山村さんと本渡さんは、過去に共演経験がある。2人が役者として信頼し合っているから、名場面が生まれたところもある。

 「楓ちゃんとは、何度かご一緒させていただいたことがあり、楓ちゃんが英子を演じると聞いた時は、すごくうれしかったです。掛け合いの時もあうんの呼吸があって、一緒に演じていて、心地よかったです」

 「パリピ孔明」は、いよいよ最終回を迎える。山村さんは「第7話からの登場だったので、最終回まであっという間でした」と寂しさを感じている様子だ。最後に、最終回に向けてメッセージをもらった。

 「いよいよ最終回です。ここまで応援してくださって、ありがとうございます! 英子、七海、KABE君……とキャラクターがリアルな悩みを抱えながらも一生懸命に自分の夢、理想に向かって、頑張っています。最終回では、その集大成がしっかりと描かれています。私は最終回を見て、胸をグッとつかまれました。詳しく言えないのがもどかしい(笑い)。感じたことをSNSなどでぜひ発信してください。それが大きな力になるはずです。私も楽しみにしています。七海たちのことを、最後まで見守ってください!」

 最後まで、山村さんらキャストの熱い思いを受け止めてほしい。


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