工藤遥:「挑戦することに意味がある」イメージに反発 女優転向後の苦悩と成長も

連続ドラマ「ロマンス暴風域」でヒロインのせりか役を演じる工藤遥さん
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連続ドラマ「ロマンス暴風域」でヒロインのせりか役を演じる工藤遥さん

 7月5日にスタートした連続ドラマ「ロマンス暴風域」(MBS・TBS)でヒロインを務める女優の工藤遥さん。ドラマは、アラサー男性と風俗店勤務の女性の運命の恋とその後を描く。工藤さんが演じるのは主人公・佐藤民生が恋するせりかで、風俗店の仕事で最初のお客として出会った民生と深い関係になっていく。どこかミステリアスなせりかという難役に「挑戦することにすごく意味があると思いました」と語る工藤さんにこの役を演じる思い、また女優転向後の変化などを聞いた。

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 ◇「役者である以上はやってくる」難役

 ドラマは、「おんなのいえ」「先生の白い嘘」「地獄のガールフレンド」などで知られる鳥飼茜さんによる同名マンガ(扶桑社)が原作。私立高校で非正規美術講師として働く民生と、風俗店に勤めるせりかの運命の恋とその後を描く。ミュージシャンで俳優の渡辺大知さんが主演で民生役を演じ、民生と出会う風俗店勤務のなっちゃん役で小野花梨さん、民生の友人・芝内理加役で内田理央さんも出演する。

 風俗店に勤めるせりかは、民生との濃密なシーンもある。出演が決まった際の心境について「遅かれ早かれ、役者である以上はやってくる機会があるのかなと思いました」と工藤さん。「こういう役柄や、民生との濃密な関係のシーンも、いつかはやることになるだろうと思っていて、それが今だっただけ、という感覚でした」と淡々と話す。これまではきらびやかな役が多かったが、「こういう役は今まで演じていないからこそ、イメージをガラッと変えられるかな、と。挑戦することにすごく意味があると思いました」と胸の内を語る。

 せりか役は、余計なことは考えずに挑もうと決めた。「せりかという役は、とらえどころがないというか、ある意味うそがないというか……すごく難しいな、ということは演じていても思います。考えたら、できない。本能と衝動で生きている子なので、そこを大事にしたいから『余計なことは考えない』しかないな、と原作を読んで感じました」と振り返る。

 役作りでは、原作のイメージを大事にすることも意識した。「台本に書いてあるせりふも、原作では意外と思いもよらぬ顔で言っていたりする。だからしていたのは『なんでこの顔でこれを言ったんだろう』ということを自分の中ですり合わせて現場に持っていく、という作業でした。監督は私から出てくるものを大切にしてくださるのですが、原作がある以上、そのイメージは絶対大事にしたかった」と明かす。

 撮影で難しさを感じたのは、民生とせりかが出会うシーンだ。せりかは個室に入ってきた民生を見た瞬間、いきなり爆笑してしまう。

 「民生が風俗店に来るシーンの、ファーストコンタクトが一番難しかったですね。ここが決まれば、あとはもう進んでいくだけだな、ということは、私も大知さんも分かっていたんです。ただ、ここをどうするか……せりかがどういうつもりでこのお店で働いているのかとか、2人が顔を合わせたときになぜ彼女が笑ったのかとか、そのときの動きも含め、『うーん』と頭を抱えて。ただ、そのときに大知さんからいろんなアドバイスをいただいたんです。大知さんから見えているせりか像について、たくさん話を聞かせていただいて……。『あ、これだ』と決まってからは、早かったですね。がっと空気が出来上がった感覚はありました」と手応えを明かす。

 ◇女優転向後の苦悩と成長 「常に力が入っていた」

 現在22歳の工藤さんは、「モーニング娘。」を18歳で卒業。大きな理由の一つが「女優になりたい」という思いだった。

 「舞台を経験させていただいたとき、映像作品で脚本を書かれている方が『一緒にやりたい』と言ってくださったことがあって。千秋楽の日に『あなたが主演で、映画でもドラマでもなんでもいいから、その脚本が書きたい』と長文の手紙をもらったんです。そこで『私は本当に女優になろう』と決めました。『この範疇(はんちゅう)から出るしかないな』とそのときに腹をくくりました」と転身の理由を明かす。

 4年半近くがたった今、女優としての成長の実感は? 「連続ドラマでヒロインをやらせていただける、ということがまずうれしい。4年半前は想像がつかなかったですね」と笑顔を見せる。だが、一人で活動するようになってからは「ちゃんとしなきゃ」という意識が強くあり、「常に力が入っている状態が続いていた」という。

 「映画やドラマに出演させていただく機会がすごく増えて、先輩たちの中でもまれる機会が増えて、経験値の差とか埋まらないものに悩むことも苦しむこともあって……でも、そう思えるだけでもだいぶ成長したのかなって、今はポジティブにとらえています」と工藤さん。今では少しずつ肩の力が抜け、自分の感情を信じられるようになった。

 「以前は台本に書いてあるものをきっちりやることが私の中で『ちゃんとしている』ことだったんですけど、そうじゃないんだ、自分の中から出てくる何かを大事にしていいということが分かって。それが一番の成長かな」と変化があったことを明かした。

 今作でのせりか役という挑戦も、背景には自身についてまわる過去のイメージから脱したい思いがあった。「『やらないでしょ、どうせ』と思われているのかな、と。例えばセンシティブなシーンとか難しい役、繊細な役はやらないと思われているんじゃないか、と。それじゃ役者の道に進んだ意味がないと思ったので、やろうと思ったところはありました」と工藤さん。「実はかなり負けず嫌い?」と聞いてみると、「はい、めちゃめちゃそうです!」と満面の笑みで即答した。

 ドラマはMBSで火曜深夜0時59分、TBSで火曜深夜1時28分から放送。TBSでの放送後「TVer」「GYAO!」「MBS動画イズム」で見逃し配信される。

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