原泰久さんの人気マンガを俳優の山崎賢人さん主演で実写化した映画の続編「キングダム2 遥かなる大地へ」(佐藤信介監督)が、7月15日に公開された。山崎さん演じる信と戦場で行動を共にする羌カイ役で、女優の清野菜名さんが今作から出演。原作でも人気のキャラクターだけに発表前からキャストが注目されていたが、清野さん自身は「プレッシャーを感じていた」という。そんな清野さんに羌カイ役に決まった際の心境や役作り、独特な動きを伴うアクションへの取り組み、人気キャラを演じる“覚悟”などを聞いた。
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「キングダム」は、2006年からマンガ誌「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載中の人気マンガ。コミックスの累計発行部数は9000万部以上。中国の春秋戦国時代を舞台に、天下の大将軍を目指す信や、後に「秦の始皇帝」となる秦王・エイ政たちの活躍を描く。
実写映画第2弾となる本作への出演、そして原作でも屈指の人気キャラの一人である羌カイ役に決まったことを聞いた際、演じられる楽しさと同時に「不安の方がやっぱり大きかった」と当時の心境を振り返る。
「羌カイは人気キャラクター。実写版で演じられることにワクワクしていましたが、不安やプレッシャーが強かったです。自分が表現したときファンの方たちにどう受け取ってもらえるのだろうって」
キャストが発表されるとSNSなどで清野さんへの期待の声が多く上がったが、「発表される前からずっとざわざわしていて。いざ発表されたら想像を超える反響だったでちょっと怖くなりました」と当時の率直な感想を明かす。
「皆さん、すごく楽しみにしてくれているという期待をひしひしと感じ、うれしい半面『大丈夫かな?』と心配になりました」
役作りでは原作を読み返したり台本を読み込んだりして理解を深め、撮影では「羌カイの過去という部分はかなり強く意識していました」と説明する。
「羌カイの背景、過去の部分は強く自分に染み込ませないと背負えるものではない。羌カイをいろんな視点からも捉えたいなと思いました。原作を読んでいる人たちがどう捉えているのか知りたくて、口コミやレビューなども見ました」
羌カイというキャラクターの生き方や性格について、「一個のことに集中して突き進んじゃう部分は結構似ていると思います」と理解を示しつつ、演じるのは「どちらかというと難しかったです」と振り返る。
「現代にはいないようなタイプで、演じていて『成立しているかな?』と思う瞬間も、ありました。常にそのバランスを探りながら撮影していましたね」
羌カイといえば、舞うような剣術「巫舞(みぶ)」をはじめとした人間離れした動きも特徴。撮影に向けて「稽古に入る前は必ず筋トレと羌カイのための筋トレなど、体幹作りをしました」と3カ月のトレーニングを回顧。巫舞の再現にはダンスの要素を取り入れたことを明かす。
「踊っているようにも見えながら敵をなぎ倒していく羌カイ独特の動きを再現するため、ダンスで取り入れるアイソレーション、首だけ動かしたり腰を8の字に動かしたりといったものもアクションに取り入れたら面白いのではと思いました。やったことがなかったので毎日取り組みました」
「かなり熱のこもった作品になっています」と言い切れるほど、清野さんは「やりきりました。その時出せる力はすべて出した感じですね」とすがすがしい笑顔を見せる。
「思い出すだけで熱くなっちゃうし、無我夢中で瞬間瞬間しかあまり覚えてないくらい全力投球。(羌カイとして)ずっと戦っていたので、完成した映像を見て、『この時こんな顔をしていたんだ』って気づきました」
これまでも多くのアクションに挑んできた清野さんだが、今作のアクションは「本当に難しかった」と口にするも、「まだまだ挑戦していけるなと思いました」と新たな可能性に気づけたことを喜ぶ。
「今作で今までやってきたことがないものを習得できた達成感があります。自分の限界が少し切り開けたように思えました」
「今回の撮影では今までよりもハードなこと、例えばワイヤを着けてあんなに激しく動き回ったことはなかったし、新たな可能性を見いだせた」と言う。
「いろいろな作品を重ねて染みついた技術面だったり実際速くなくても速く見せられるようなリズムの作り方だったり、そういった部分は今回のアクションを経験して身につきました。これからも、もう少し楽しんでアクションをやっていけたら」
改めて「キングダム」という作品の魅力を聞くと、「あんなにたくさんの登場人物が出ているのに、しっかりとみんなの背景が丁寧に描かれていて、キャラクターに感情移入ができるところが魅力」と語る。
「武将を見ると憧れの気持ちが出てきちゃう。それぞれの背景と思いと戦っている時の表情を見ると震えるものがあって、興奮するしカッコいい。1冊読めば2冊、3冊と、どんどん読み進めたくなるような作品だなと思いますし、すごく人間味があふれていますよね」
推しキャラは自分が演じたこともあり「羌カイですね」とにっこり。「原作を見ていて王騎もすごく魅力的だなと思います。生き方もそうですけど、大将軍なのにあのしゃべり方は親しみがありますね」とほほ笑む。
最後に清野さんが思う映画の見どころを聞いた。
「全部見ていただきたいので、あまりこれとは言いたくないのですけれど(笑い)。強いて言うなら、『だってお前はまだ生きてるじゃないか』のシーンは、自分でも台本を何回読んでもしびれたのでぜひ皆さんにも見ていただきたい。この夏、本当に興奮できる、思い出の作品になると思うので映画館でご覧になってほしいです。」(取材・文・撮影:遠藤政樹)
※山崎賢人さんの「崎」は「たつさき」
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