東京ゲームショウ:“国内最大級のゲームの祭典” 3年ぶりリアル開催も来場者数半減で転換期に

2022年の東京ゲームショウ
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2022年の東京ゲームショウ

 9月15~18日に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された「東京ゲームショウ2022」。一般来場を解禁した3年ぶりのリアル開催として注目されたが、来場者数は13万8192人と、コロナ禍前の2019年の26万2076人からは約半分に減った。不可抗力的な要因も多々あったが、“国内最大級のゲームの祭典”としては新たな局面に差し掛かったといえる。

 ◇最初は東京ビッグサイト、年2回開催の時期も 新型ハードの盛り上がりがけん引

 東京ゲームショウは、任天堂が「ニンテンドウ64」「ゲームボーイポケット」、バンダイが「ピピンアットマーク」を発売し、プレイステーションで「鉄拳2」、セガサターンで「サクラ大戦」が発売された1996年に東京ビッグサイトで第1回が開催。その後1997年秋に会場を幕張メッセに変更。1997~2001年までは春と秋の2回開催だったが、2002年からは年1回9月の開催となった。

 来場者数は1996年の第1回が10万9649人で、「ゲームボーイカラー」(任天堂)、「ドリームキャスト」(セガ)、「ネオジオポケット」(SNK)などの発売を控えた1998年秋に15万人を突破。その後2001年春に約11万8000人まで減少するものの、年1回開催に変更し、「PSX」(ソニー)の発売を控えた2003年には15万人を回復。「プレイステーションMove」(SCE)、「キネクト」(マイクロソフト)など、新機軸のデバイスがリリースされた2010年には初めて20万人を突破した。

 それ以降、2011年には「ニンテンドー3DS」(任天堂)、「プレイステーションVita」(SCE)、2012年には「ニンテンドー3DS LL」、「WiiU」(ともに任天堂)、2013年に「PS4」(SCE、北米先行)、2014年には「XboxOne」(マイクロソフト)、「Newニンテンドー3DS」(任天堂)と毎年新型ハードの話題が業界をにぎわせ、それに伴ってゲームショウの来場者数も増加。発売前のPS4が展示された2013年には27万人に達するなど大いに盛り上がった。

 ◇新作の見本市からユーザー主体のイベントに変貌

 ゲームショウの会場には、参加していない任天堂ハードを除く発売前の新型ハードがずらりと並び、熱心なゲームファンが列を作るという光景が風物詩となっていた。また、2000年代までは、ソフトメーカーが新型ゲームの体験版をブースで配布することも多く、こちらも長蛇の列ができていた。いわば見本市としての位置づけが大きかったといえる。クリアしたら終わりというタイトルが主流で、ダウンロードコンテンツもほとんどなかった時代において、ゲームショウは次に遊びたいゲームがいち早く遊べるという魅力に満ちていた。

 任天堂はブース出展しなかったものの、ゲームファンにはおなじみのメーカーのほとんどがブース出展。ゲームの世界観を生かしたブースや人気キャラクターを模したコンパニオンが会場を彩った。一方、名前を売りたい海外メーカーや新興メーカーが、巨大なブースを出展するのも毎回よく見られる光景だった。

 ところが、スマホゲームが成熟した2010年代後半は、ゲームをサービスと捉えて一つのタイトルを長期間遊んでもらうというスタイルが一般化され、それまでにも言われてきた家庭用ゲームの大作化に伴う開発期間の長期化、ハードの長命化と相まって、ゲームショウの主役が新作ゲームや新型ハードではなくなり始めた。ゲームショウは新たな楽しみ方の提案として、ユーザーが観戦できるeスポーツの大会やステージイベントを併催することで来場者を誘致した。ここが大きなターニングポイントの一つだった。

 ◇ターニングポイントになったアフターコロナ

 もう一つのターニングポイントは、もちろん2020年のコロナ禍だ。しかし、ゲーム業界全体でいえば、コロナ禍の期間は、新作などで開発の遅れは見受けられたものの、巣ごもり需要によって市場は大いに盛り上がった。eスポーツにしてもそもそもオンライン対戦がスタンダードということもあり、ライブなどのリアル体験が大切な音楽業界など他のエンタメ事業と比べると影響は限定的だったといえる。

 しかしコロナ禍がゲームショウに及ぼした影響は大きかった。2020年はリアル開催をやめてオンライン開催のみに絞り、2021年もビジネスデーのみリアル開催で一般来場者は入れず、オンライン開催主体の状況は変わらなかった。

 コロナ禍は、全ての産業に影響を及ぼした要因だったため、ゲームショウにとっての本当のターニングポイントはアフターコロナを見すえた今年だったといえる。感染対策の一環で集客が見込めるeスポーツイベントやコスプレエリアをやめ、さらに小学生以下の来場を禁止し、当日券の会場販売もなしと、実質入場を制限した。それにもかかわらず、14万人近い来場者数を記録しており、関係者から及第点という評価が出るのも、ある程度はうなずける。

 しかし、これまでと異なり、ビジネスデー2日目の午後から一般公開したこともふまえると、コロナ禍前の2019年の26万2000人からはほぼ半減、想定の15万人にも1万人以上届かなかったのは、さすがに減りすぎの感がある。携帯型ゲーム機「Steam Deck」や、VRヘッドセット「Meta Quest2」といった新ハードはお披露目されたものの、これまでゲームショウを彩ってきたSIEもブース出展はなし。コロナ禍に伴う開発の遅れも影響したのか、新しい大型タイトルも数える程度で、一見コロナ禍前と同じように見えるものの、大きく様変わりしたという印象を受けた。VRやメタバースはオンライン開催でまかなえ、NFTゲームはまだ途上と大きな目玉がなく、行くための動機づけに乏しかったことも来場者減の要因になったといえる。

 コロナ禍後初のリアル開催となった今回のゲームショウ。初回から見守ってきたファンの一人としては、かつての見本市でもなく、近年のイベントでもないという不思議な印象を受けたが、果たして来年はどのような形でファンに魅力を提示することができるのか。ゲームショウは大きな転換期に来ている。(立山夏行/MANTAN)

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