シン・ウルトラマン:“即完売”のベーターカプセル 大ヒット玩具の開発秘話 シンプルだから難しい

「シン・ウルトラマン」のベーターカプセルの大人向け玩具「ウルトラレプリカ ベーターカプセル(シン・ウルトラマン)」(C)2022「シン・ウルトラマン」製作委員会(C)円谷プロ
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「シン・ウルトラマン」のベーターカプセルの大人向け玩具「ウルトラレプリカ ベーターカプセル(シン・ウルトラマン)」(C)2022「シン・ウルトラマン」製作委員会(C)円谷プロ

 映画「シン・ウルトラマン」に登場する変身アイテム・ベーターカプセルの大人向け玩具「ウルトラレプリカ ベーターカプセル(シン・ウルトラマン)」(バンダイ)。バンダイナムコグループの公式ショッピングサイト「プレミアムバンダイ」で6月に受注をスタートしたところ“即完売”した。同月の2次受注分も“即完売”するなど人気を集めており、10月28~30日に東京ドームシティ内の「Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)」(東京都文京区)で“なりきり玩具”をテーマとしたイベント「NARIKIRI WORLD」が開催されることを記念して、10月21日に3次受注をスタートする。バンダイの担当者に、大ヒット玩具の開発の裏側を聞いた。

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 ◇カプセルの造形のこだわり 技術と手間を

 「ウルトラレプリカ ベーターカプセル(シン・ウルトラマン)」は、2016年に誕生した「ウルトラマン」シリーズの大人向け玩具「ウルトラレプリカ」シリーズの商品だ。「ウルトラレプリカ」シリーズは、劇中再現をテーマに、造形をプロップに近付け、新たなギミックを搭載している。

 「ウルトラマンは歴史が長く、作品ごとにアイテムの造形、サイズなどが異なります。特に昭和の作品は玩具化を前提にデザインしていないデザインのものもあります。玩具化にあたって、発光、サウンドギミックを入れる際、玩具の強度を考慮しつつ、ギミックを入れ込むのに苦戦しています」

 「シン・ウルトラマン」のベーターカプセルも玩具化を前提にデザインされたわけではない。

 「従来のベーターカプセルとは違いますが、ベーターカプセルと分かる素晴らしいデザインです。公開前から設定資料は見ていましたが、劇中でどのように使われるのか、どういう演出なのかは、映画を見ないと分からないところもあったので、映画館で何度も見て、光り方、音などを研究しました」

 玩具は、全体に塗装を施し、カプセル部にはアクリル素材を使用することで、重厚感のある仕上がりを目指した。カプセル部には3つのLEDを搭載し、発光ギミックを備える。シンプルにも見えるが、さまざまな技術が盛り込まれている。

 「中央のアクリル、中の球体の造形にこだわりました。アクリル部分が光る構造になっていますが、アクリルは3本の柱で支えられていて、真下は空洞です。LEDや配線を埋め込むスペースがあまりないので、難易度の高いデザインです。柱に配線を入れて、LEDを付け、3方向から光らせました。アクリルの中の球体の造形もかなり難しいんです。アクリルパーツだけで3つの金型があります。コストもかかるのですが、象徴的な要素なので、技術と手間と掛けました」

 ◇ウルトラマンの神秘性を表現

 本体中央のスイッチは、劇中と同様に2段でポップアップする構造になっており、スイッチを一度押すと待機音が発動し、再度スイッチを押すと変身音が鳴る。

 「一度押すと、浮いて、もう一度押すと沈みます。劇中で、その操作が重要な要素になっているので、変身玩具では珍しい仕様ですが、再現しました。スピーカーも特別な部品を使っています。通常、玩具で使用するスピーカーが入らないので、コストもかかるのですが、極小のスピーカーを入れました。デザインを損なわないようにしながら、設定をプロダクトに落とし込むのに苦心しました。シンプルなデザインほどアレンジする余地がないので、難しいんです」

 6月の1、2次受注から3次受注まで時間が掛かってしまったが、「工場の生産キャパシティーもあり、それを上回る注文をいただいている状況です。繊細なアイテムで、どうしても生産に時間がかかり、1カ月で製造できる数も決まっていまして」と説明する。

 シンプルなようで、さまざまな技術が詰まっているのが、「ウルトラレプリカ」シリーズの特徴なのかもしれない。

 「『ウルトラマン』シリーズのアイテムは神秘的、有機的なデザインのものが多く、情報量が少ないので、そこが難しいところです。外観を再現しつつ、ギミックを両立させるところが課題になってきます。ウルトラマンは、光の巨人ということもあり、神秘性が大事になり、発光ギミックにしても機械的な光ではなく、神々しい光をイメージしています」

 「NARIKIRI WORLD」では、「シン・ウルトラマン」の新商品も発表される。今後の展開も注目される。

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