4人はそれぞれウソをつく:個性的な4人 キャラ誕生秘話 作者・橿原まどかに聞く

「4人はそれぞれウソをつく」のコミックス第1巻(左)と第2巻
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「4人はそれぞれウソをつく」のコミックス第1巻(左)と第2巻

 「別冊少年マガジン」(講談社)で連載中の橿原まどかさんのマンガが原作のテレビアニメ「4人はそれぞれウソをつく」が、ABCテレビ・テレビ朝日系の深夜アニメ枠「ANiMAZiNG!!!」で放送されている。同じ女子校に通う中学2年生で、宇宙人、抜け忍、超能力者、女装男子という秘密があるリッカ、千代、関根、翼のカオスな学園生活を描いており、ぶっ飛んだ設定、ギャグが魅力。原作は、連載終了の危機もあったというが、アニメ化をきっかけに連載を継続することになった。橿原さんにメールインタビューを行い、同作の誕生秘話を聞いた。

ウナギノボリ

 --作品が生まれたきっかけを教えてください。

 元々、女の子4人組がワイワイする、というフォーマットの作品が好きで、そういうアプローチで何か作品を作ってみたいという気持ちがずっとありました。最初に生まれたのはリッカ大佐で、宇宙人だけど軍人で、見た目は幼い女の子で……というところから考えていきました。実はネームを描き始める前に設定ノートのようなものを作っていて、そこではリッカ大佐は、「外交的で自信家、みんなをぐいぐい引っ張っていくようなタイプ」という設定でした。ですが、ネームを描き始めてみたら、なんだか中間管理職のような、みんなからどう思われているか?を気にしてストレスをためているようなキャラクターになっていきました。今までの自分は、「先にきちんと設定を練るのがいい作品である」というような固定概念があったので、その段階では、「なんだか想定していたのと全然違う人物像になってしまったかな、直そうかな」と迷ったのですが、「今まで設定を練ってうまくいったことはないし、今回は思いつくがままに描いてみようかな」と思い、一度作った設定を全部忘れて、ただただページごとに「次になんかいい感じのことが起きたらいいな」と感覚先行で描き始めました。

 --4人の個性的なキャラクターが生まれた経緯は?

 リッカ大佐から芋づる式に、千代さん、関根、翼、と生まれていったような形です。ですが、2018年にネーム原作賞に応募した段階では翼は男の子ではなくて、時空をループしている少女という設定でした。「時空をループしているけれども、無気力で感情のエネルギーが薄い性格なので、思念が弱く関根にも心が読めない」という形で、心が読めないという点だけは現状とも共通しています。それぞれ自分の好きな感じのキャラクター像です。リッカ大佐は責任感の強い理想主義者。千代さんは「こんなに優しくて大丈夫なのか?」と周囲が心配になってしまうような優しくて繊細な人。関根は生き汚いというか、ものすごく現実がよく見えている苦労人。翼はあまり大きな特徴を作らず、「普通の人間」という点を意識して描いていました。それぞれ、長所と短所はコインの裏表というのを常に意識していました。

 --マンガを描く中で一番大切にしていることは?

 一番と言っていいかどうかわかりませんが、「作品外のコンテクストに左右されずに、作品内部の情報で完結して楽しめる」ということを意識しています。星新一先生への憧れもあります。汎時代的な作品にするために固有名詞や具体的な金額などを排除していらっしゃるというのが格好いいなと思って……。作品外の文脈を共有していない人でも、老若男女問わず楽しんでいただけたらうれしいなと思っています。

 --アニメ化をきっかけに連載が継続されることになりました。

 ただただ驚いています。この4人が大好きなので、続きが描けたことが何よりうれしいです。

 -ーアニメに期待していることは?

 アニメの制作の流れなど全然知らない中、監修という形で携わらせていただいて、一つ一つがとても勉強になっています。やっぱりマンガからアニメという形で媒体が変わることで、「この部分はマンガのままじゃ伝わらない」「この部分の説明はあえて削った方が生きる」など、一つ一つ丁寧に考えてくださっているのが伝わってきて、とてもモチベーションをいただいています。一視聴者目線で見て、しみじみ面白いな~と思う作品なので、少しでも興味を持ってくださっている方がいらっしゃったら、ぜひちょっとだけでもご覧いただけたらと思います。

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