高野麻里佳:アニメ「後宮の烏」 等身大で演じた九九 せりふがないシーンこそ大切に

「後宮の烏」に出演する高野麻里佳さん
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「後宮の烏」に出演する高野麻里佳さん

 白川紺子さんのファンタジー小説が原作のテレビアニメ「後宮の烏」。主人公の柳寿雪(りゅう・じゅせつ)の侍女・九九(じうじう)役の高野麻里佳さんら豪華声優が出演していることも話題になっている。同作で「等身大で演じる」という新たな表現に挑んだという高野さんに、作品やキャラクターの魅力について聞いた。

 ◇寿雪と九九の関係に「尊い!」

 「後宮の烏」は、集英社オレンジ文庫(集英社)から刊行されている“中華幻想譚(たん)”。シリーズ累計発行部数は120万部を超えている。若き皇帝・夏高峻(か・こうしゅん)がある依頼のため、後宮の奥深くで暮らし、烏妃(うひ)と呼ばれる柳寿雪を訪れる。寿雪は不思議な術を使う特別な妃(きさき)で、呪殺から失(う)せ物探しまで何でも引き受けると言われていた。2人が出会ったことにより、歴史をも覆す“秘密”が暴かれることになる。アニメは新人声優の水野朔さんが、主人公の柳寿雪に抜てきされ、アニメ初主演を務めている。TOKYO MXほかで放送中。

 高野さんが演じる九九は、後宮でトラブルに巻き込まれ、寿雪に助けてもらったことをきっかけに侍女として仕えることになる。原作では「ひばりのような声」で話すと描写されるような、明るく素直で世話好きなキャラクターだ。

 「小鳥のような声の女の子なんだろうなと思いました。原作を読んでいても、天真らんまんで、いい意味でうるさいというか(笑い)。九九は、この作品の中でも唯一普通の人というか、現代の日本にいてもおかしくないようなテンションの女の子だなと感じていて、そんな明るい普通の女の子が寿雪と出会った時にどういう対応をしていくのか? そういうところが演じがいがあるキャラクターだなと思いました」

 収録開始当初は、「ひばりのような声」を意識しすぎて、「キンキンしすぎなくらい強めにさえずってしまいました(笑い)。さえずりを抑えめにして、ちょうどよくチューニングしました」という高野さん。収録で寿雪役の水野さんの声を聞くことで、九九の声のイメージをよりつかむことができたという。

 「水野さんの声を聞いた時に寿雪にぴったりだなと。こういう声の寿雪がいたら、こういう九九がいるだろうなって、すごく想像しやすかったんです。水野さんは、本当にうまく寿雪の不器用なところを表現されていて、ついついかまってしまいたくなるというか。九九としてせりふを言う時に、自然とちょっと強く出てしまうんです。そんな魅力があるお声をされているなと思っています」

 不器用な寿雪と、そんな寿雪に侍女として世話を焼く九九。シリアスな展開も多いストーリーの中で、そんな二人のやり取りにほっこりさせられる。第4話では、寿雪と九九がちょっとしたすれ違いでけんかをしてしまうシーンが描かれた。

 「第4話は、私の大好きなエピソードです。寿雪はよかれと思ってやったことなのですが、九九としては自分の大切な人に疑われたような気持ちになって傷付いてしまった。すれ違う二人が尊すぎて(笑い)。最終的には2人の絆が深まるお話になっています。回を重ねるごとに距離を縮めて、信頼関係を深めていく2人の姿が、本来であればあるじと従者なのかもしれないですけど、一つの家族のような関係だなと感じて、ほっこりしました」

 ◇等身大のシリアスを表現 意識に変化も

 高野さんは「後宮の烏」を「自分の等身大で演じられる作品」と感じているといい、自身にとって新たな表現も生まれたという。

 「これまで私が出演してきた作品では、エンタメ要素に振り切ってコミカルに演じたり、オーバーに演じたりということが多かったんです。でも、『後宮の烏』は、日常の隣に危機感があるというか。異世界であり得ないモンスターが出てくるような危機感ではなくて、日常にありそうな危機感。シナリオも、やり取りの全てに伏線があるような緊張感のある内容で、素直なせりふでも、芯のあるものになっていくというか。私は九九を演じて“等身大のシリアス”を初めて表現したような気がします」

 「後宮の烏」で新たな表現に挑戦した高野さん。今年5月に公開された映画「ハケンアニメ!」(吉野耕平監督)で実写映画に初出演したことも話題になったが、その経験によって意識に変化があったとも話す。

 「キャラクターは、せりふだけじゃなく“間(ま)”で生きているんだなと感じるようになりました。実写の時もそうだったのですが、せりふを言わない時ほど動きが見られるんです。せりふがなくても、何か意味があってそこにいて、しゃべらない時の静けさにも意味がある。せりふがない部分こそ、自分が何をすべきかを求められている気がして。映画に出演させていただいてからは、台本を読む時にせりふがないところでも『キャラクターは今どこにいるんだろう?』『今ごろ何をしているのかな?』と考えるようになりました」

 せりふのないシーンこそ、キャラクターがどんな行動をしていて、どんな思いを抱いているのかを想像する。そうすることで「キャラクターをより理解することができる」という。

 「『後宮の烏』では、九九が寝ているであろう夜中に高峻が寿雪の部屋を訪れることが多いんですけど、きっと朝になって九九がそのことを知ったら『なんで呼んでくれないんですか? お茶を出したのに!』と言うと思うんですよね(笑い)。そういうことを考えることで、せりふがあるシーンを演じる時に、どんな熱量なのかをスムーズに感じることができるようになりました。地に足がつくようになったというか。せりふを言う瞬間だけキャラクターが出てくるんじゃなくて、ずっと地に足をつけている。キャラクターが『存在する』ということを表現するのは、せりふだけじゃないんだと。より演じることが楽しくなりましたし、よりキャラクターのことも大好きになりました」

 高野さんは、九九について「誰に対しても敬意はあるんだけれど、物おじをしない。寿雪に対しても高峻に対しても、しっかりと向き合おうとする姿勢があって、すごく芯のある女性。憧れますし、すてきだなと思います」と魅力を語る。愛情と敬意を持ってキャラクターと向き合う高野さんの演技に注目したい。

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