12月23日に公開された劇場版アニメ「かがみの孤城」(原恵一監督)で主演を務めた女優の當真あみさん。参加者が1000人を超えるオーディションで、主人公・こころ役に選ばれた當真さんは、「原作も台本も読んでいて、内容は分かっていたのですが、映像として完成したものを見たとき、『やっとみんなに会えた』みたいな感動がありました」と明かす。声優初挑戦で、収録では「作品全体を通してこころちゃんの要素がなくなってしまわないよう」意識したという當真さんに話を聞いた。
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「かがみの孤城」は直木賞作家・辻村深月さんのベストセラー小説が原作。青春期独特の繊細な感情や感性を描いたファンタジーミステリーで、主人公のこころは、学校での居場所をなくして家に閉じこもっている中学生。ある日、部屋の鏡が光り始め、こころは吸い込まれるように鏡をくぐり抜けると、城のような不思議な建物にたどり着く。そこには、こころと似た境遇の少年少女が集められていた。城の中には秘密の鍵が隠されており、鍵を見つけた者は何でも願いがかなうという話を聞かされたこころたち7人は……とストーリーは展開する。
劇中では、年齢の近い7人が、それぞれ“ある悩み”を抱えていることが明かされるが、當真さんは「オーディションで役に決まる前、原作を読んだときから、自分と少し似ている部分があったため、こころちゃんに感情移入してしまう自分がいました」と振り返る。
“似ている部分”は性格で、「こころちゃんは引っ込み思案なところがある女の子で、思っていることをパッと口に出したり、自分の意見を言うのが苦手。私もクラスや部活での話し合いのとき、意見があったとしても、みんなに合わせようとして言わずじまいになってしまったり。そういうところは 似ているなって感じました」と話す。
役を演じる上では、そういった“こころらしさ”を作品全体を通して意識した。「監督からは『オーディションのときのあなたがこころちゃんにぴったりだったから』と言っていただいたので、そのときの自分を思い出しながら。こころちゃんのちょっと引っ込み思案な性格がなくならないよう、少し変えただけで、声の雰囲気が違って聞こえてしまうから、そこがブレないように」と語った。
現在16歳で、今年は連続ドラマ「妻、小学生になる。」「オールドルーキー」(共にTBS系)に出演し、若手女優の一人として注目を集めた當真さんにとって、声優挑戦はどのようなものだったのだろうか。
「実写と違って、せりふを言うタイミングが決まっているので、そこがまずは難しかったです」と話す當真さん。役の心が大きく動くような、例えば泣くシーンにも苦戦したといい、「実写では涙を流すことで伝わったりすると思うのですが、そこを声だけで表現するのが結構、難しくて。現場でも監督から、『もう少し、泣いている感じを出して』とか演技指導を受けて、できなくて悔しい思いもしましたし、もう少し頑張りたいなという気持ちになりました」と思い返す。
一方で、「息遣いの芝居とかは、実写では自然と出てくるものとして、これまであまり考えたことがなかったし、特別意識したことがなかったので、とても勉強にもなりました。今後は実写の作品でも生かせるんじゃないかと思いました」と手応えをのぞかせた。
声優初挑戦ながら主人公・こころの心の揺れを、息遣いまで繊細に表現してみせた當真さん。
「普段聞いている自分の声と、作品として吹き込んだ声って違って聞こえてきて。実写では映像の中に自分が映っているから、声も自分と認識できるのですが、アニメーションとなると、これ自分なのかなって、聞き慣れない感じもしました」と明かしつつ、「でも、自分の声、嫌いじゃないなって思いました(笑い)。ナレーションをやったりして声を褒めていただけることもあって。だから、もっと自分も声を好きになっていけたらと思いますし、声も武器にしていけたら」と今後への意欲を見せる。
そんな當真さんら声優陣の頑張りもあって、原作にも負けないくらいの感動作に仕上がった劇場版アニメ「かがみの孤城」。
當真さんは「7人それぞれが違う悩みを抱えていて、見ていると、必ずそのうちの一人には共感できるところがあると思うし、心許せる存在が自分にもいるってことを思い出したりもすると思うので、この作品が背中を押すきっかけになったら」と思いを口にした。
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