吉岡里帆:今年芸能生活10周年 経験重ねて“変化”を実感 「視界が広がるような感覚がある」

「Disney+」のドラマ「ガンニバル」に出演する吉岡里帆さん
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「Disney+」のドラマ「ガンニバル」に出演する吉岡里帆さん

 さまざまな話題の映画やドラマに出演し活躍中の女優の吉岡里帆さん。現在は「Disney+」の“スター”で配信中のドラマシリーズ「ガンニバル」に出演中で、村人たちの狂気に巻き込まれていく、娘を持つ母親という役に挑戦している。今年は芸能生活10周年、30歳の誕生日を迎える節目の年でもある吉岡さんに、これまでの10年を振り返る中で実感している変化やこれからの目標などを語ってもらった。

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 ◇経験重ね心境に変化

 「ガンニバル」は、「週刊漫画ゴラク」(日本文芸社)で連載された二宮正明さんの同名マンガが原作。謎が渦巻く村を舞台にしたビレッジ・サイコスリラーだ。ある事件をきっかけに左遷され、山間の“供花村”に家族と共に駐在として赴任した阿川大悟(柳楽優弥さん)は、この村の「人が喰われているらしい」という噂について、警察官として真相を探ろうとする。だが、やがて村の穏やかな日常がおそろしい顔を見せ始め、狂気の淵へ追いつめられてゆく……というストーリー。映画「ドライブ・マイ・カー」の大江崇允さんが脚本、映画「さがす」などの片山慎三監督がメガホンをとる。

 今作の撮影では、周囲の共演者たちを「見る」ことを意識していたと振り返る吉岡さん。普段、女優として役を生きる中で一貫して大事にしているのは「相手のお芝居を感じる」ことだと語る。

 「『見る』に通じるんですが、『相手の方のお芝居を感じる』というようなところは一番大事だなと思っています。だから始めはあまり自分をぶつけず、同じシーンで共演する方がどういうアプローチをされるのか、肌で感じることを大事にしています」

 そう語る吉岡さんは今年、芸能生活10周年を迎える。さまざまな作品に出演しキャリアを重ねる中で、デビュー初期のころにはなかった思いも生まれた。

 「最初は自分のやるべきことをまっとうするだけで精一杯で、なかなか周りを見ることができなかったんです。今は、共演者の方はもちろん、ほかの部署の方の思いも知りたい、と思うようになった。そこが一番大きな心境の変化です。たとえば『撮影部の人はどういうカメラワークで、どういう絵が撮りたいのか』ということをちゃんと理解しているかしていないかで、表現の方法が変わってくる。そういうところに気持ちが向くようになってきたのは、大きな変化かなと思います」

 そう成長を口にする吉岡さん。そのような変化を可能にしたのは、自らの理解度が向上したことや、周囲と積極的にコミュニケーションをとろうとする姿勢が大きい。

 「キャリアを重ねていくと、視界が広がるような感覚があって。自分のことばかりに猪突猛進だったのが、だんだん緩やかになって。『あ、こういう動きがあったんだ、この部署の方はこういうことを考えていたんだ』と理解度が深まってきた気がします。でも、周りが教えてくださったこともいっぱいあります。すばらしい技師の方に出会うと『こういうライトを作っているときは、ここに立ったほうがいいよ』と、そんなことまで教えてくださるから。『こういうカメラワークの時は、こういう動き方をしたら美しく撮れる』とか、現場の方が教えてくださったことがいっぱいありますね」と語る。

 ◇女優を続ける原動力は…

 近年は映画「ハケンアニメ!」や「見えない目撃者」で主演を務め、テレビドラマにも多数出演。今や映像界に欠かせない存在となった吉岡さんの、女優を続けていく原動力はどこにあるのか。そう尋ねると、まずは作品を待っているファンの存在、そして「面白い作品と出会いたい気持ち」だという。

 「この世の中には面白い作品がたくさんある、ということがひとつにはあります。映画も舞台もドラマも好きなんですが、見ていると『こんな面白いストーリーがあるんだ』と感動しますし、『こういう作品に出会いたいな』という、作品に対するあこがれの気持ちはずっと変わらず持っています。今作の片山監督もそうですが、本当にすてきなクリエイターが多いので」

 現在29歳。まもなく30歳の誕生日を迎える吉岡さんに、最後に30代の目標を聞いてみると「自分から作品に出会いにいく力」を挙げた。

 「20代の時は、来る仕事全部に全力で応えていて、『やれるかやれないかは置いておいて、やれるところまで持っていこう』という感覚だったんですが、30代は自分自身が一番役に立てる場所を模索して作品に出会っていく能力も問われるので、自分から作品に出会いにいく力をもっと上げたいなと思っています。私生活でどういうものに興味を持つか、どういう人とお話をするか、どういう感性が必要なのか……たぶんそういうことの逆算になってくると思うんですが、もう少し的を狭めて仕事をするのも面白いんじゃないかな、と思っています」

 ※クレジット(敬称略)

 ヘアメイク:信沢 Hitoshi/スタイリスト:圓子槙生

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