名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
小説投稿サイト「小説家になろう」などで人気の“悪役令嬢”ライトノベルが原作のテレビアニメ「ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん(ツンリゼ)」がMBS、TBS、BS-TBSの「アニメイズム」枠ほかで1月6日から放送される。同作でヒロイン・リーゼロッテの婚約者である王太子、ジークヴァルト・フィッツェンハーゲンを演じるのが、人気声優の中村悠一さんだ。“ザ・王子様”なキャラクターについて「こういった人物をあまり演じたことがない」という中村さんだが、2023年の抱負について「いつもとは違う引き出しを開けるような1年にしたい」と意欲を語る。20年以上のキャリアを積み重ねつつ「いつまでも挑戦したいし、あがき続けたい」という中村さんが、王子様役で果たした新たなチャレンジや、声優業への尽きぬ情熱を明かした。
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今作の舞台は、乙女ゲーム「マジカルに恋して(まじこい)」の世界。神の声により婚約者のリーゼロッテがこのままでは破滅を迎えるという衝撃的な事実を知った王太子・ジークヴァルト(ジーク)が、バッドエンドを回避するために奮闘する姿を描く。実は、神の声は現実世界でゲームの実況をする高校生の遠藤くんと小林さんで、ジークが彼らの実況と解説という“神託”を頼りに婚約者を救おうとする。
物語の印象について、中村さんは「お話の展開やキャラクター同士の会話も、比較的セオリー通りに進んでいくんですが、そういった基本に忠実な作りが安心感や面白さにつながっていると感じました。僕自身も台本を読み進めていくことが面白かったですし、とても楽しくジークを演じさせていただきました」と話す。
「プレーヤーがゲームの中に入って物語を改変していくという展開はこれまでにもあったと思いますが、今作ならではだなと思ったのが、プレーヤーである遠藤くんと小林さんが、実況者と解説者として物語に介入していくところ。自分たちでゲームの世界を変えるのではなく、その中にいる人間を動かしつつ、さらに視聴者に向けて展開を解説するというのは、ゲーム実況というものが一般化してきた時代ならではのニュアンスがあるなと思いました」と今作の魅力を語る。
中村さんが演じたのは、リーゼロッテの婚約者である王太子のジークヴァルト。自分の気持ちを素直に言えない“ツンデレ”だが、実は真面目で努力家なリーゼロッテの本心を知っていくたびに、ジークは彼女への恋心を募らせていく。
フィッツェンハーゲン王国の見目麗しい王太子であり、学園の生徒会長という正真正銘の“王子様”だが、リーゼロッテのこととなるとうろたえたり、赤面したりと、恋する一人の青年になってしまう、そのギャップも見どころだ。
「実況と解説のおかげで、ジークは、リーゼロッテの言葉とは裏腹な心に気づいていく。ザ・王子様なキャラクターですが、話数が進むごとに彼の素直で可愛い一面が見えてきます。カッコよさと可愛らしさのバランスを取ることも、自分としては課題でした」
ジーク役について「こういった人物をあまり演じたことがない」という中村さん。“ザ・王子様”の要素を注ぎ込むためには、どのようなことを大切にしたのだろうか。
「高貴な立場である」ことを意識したという中村さんは、「相手に伝わればいいということが前提となる、“話し言葉”を使いづらい役。普段だったらラフな口調で話しているような会話でも、ジークの場合はそういうわけにはいかない。言葉の組み立て方や伝え方、口調においても、丁寧さや気品が出るように意識しました」とジークの置かれた環境を念頭におきながら、さらに「メタ的な話で言うと、ジークはゲーム内のキャラクターでもあります。“ゲームのキャラクターとしての役割を逸脱してはいけない”ということも、考える必要がありました」と振り返る。
ジークが乙女ゲーム「マジカルに恋して」(まじこい)の世界で生きているキャラクターであるだけに「ゲームのキャラクターが急に『疲れたな』とか言い出したりしないですよね(笑い)。オフもなく、ずっとその世界で同じように生きているのが、ゲームのキャラクター。だからこそ、その世界の中でブレずに王子として生きていることが必要となります。そこは、難しいなと感じる部分でもありました」と“ゲーム内の王子様”という役作りが必要になったという。中村さんが思考を深めながら役作りに臨んでいることが伝わるが、「僕たちのやっている声優という仕事は、文章などでは説明できないものを“音”に落とし込んで、気づいてもらうような仕事」と持論を語る。
リーゼロッテ役に抜てきされたのは、楠木ともりさん。中村さんは「普段の楠木さんの声は、可愛らしいようなテンション感であり、声質だと思うんです。リーゼロッテは、ご本人とは少し差を感じるような役ですが、楠木さんはその差を役作りで埋めていらっしゃるなと感じました。リーゼロッテは少し大人ぶったりする時もあるし、落ち着いた雰囲気がありながら、可愛らしさも表現することが必要になる役。そういったメリハリを、しっかりと演じられていました」とたたえる。
「今作は実況の遠藤くんと解説の小林さんのテンションによって、面白さが決まるような気がしていて。2人がゲームのキャラクターに突っ込んだりする言葉やテンションが、視聴者の方に共有できるものになったときに、それが作品の面白さにつながると思うんです。(遠藤くん役の)石川界人くんと(小林さん役の)花澤香菜さんのお芝居も聞いていてすごく面白かったので、いいテンションが生まれているなと思いました」と素晴らしい共演者との作品づくりに、充実の表情を見せる。
新年の抱負を聞いてみると、中村さんは「抱負って難しいんですよね……。『新年にやってみたいこと』と考えても、やっぱり僕はこの仕事が好きなので、何よりも先に仕事のほうに思考が向いてしまう」と苦笑い。
「YouTubeなどは自己発信のものになりますが、キャラクターに命を吹き込むという仕事に関しては、仕事を与えていただいたことで達成できるもの。自分ではコントロールできないものではあるのですが、2023年はいつもとは違う引き出しを開けるような1年にしたいです。10年ほど前にも『これまでとは違う、少し年齢が上の役もやってみよう』と決めて試したことがあるんですが、その時にも自分の中で大きな変革がありました。たとえばオーディションなどでも『中村悠一が演じるのはイメージできない』というような役を受けてみたり、今まで自分がやってこなかったことをやってみる。製作陣の方々にも、『中村くんはずっとこの形で行くんだよね』と思われたくないですから。20年くらいこの仕事をしていますが、いつまでも挑戦をしたいし、あがき続けたいと思います」
今作のジークは、遠藤くんと小林さんのアドバイス、そして周囲の仲間たちとの出会いに助けられながら、リーゼロッテを救うための道を切り開いていく。声優道を歩む中村さんも、出会いによって大きく変化、進化を遂げてきたという。
「デビュー直後は、とにかく体当たりで必死にやるしかなかったですね。現場で先輩たちを見ていると、必死さの中にも遊び心があったり、挑戦していることがあったり。『こういったアプローチがあるんだ』とたくさん勉強になりました。また音響監督さんから『もう一歩深いところまで台本を読み込まないと、そのキャラクターを表現することはできない』と台本の読み方について指摘されたことも、仕事の取り組み方に大きな変化を与えてくれました。この仕事には、常に次のステップがあって、考え続けて、吸収し続けないと、自分が憧れているような先輩方には追いつけないんだろうなと感じています」
憧れの先輩の一人にあげたのが大塚明夫さんで、中村さんは「なんとか明夫さんと仕事をしたくて、朗読劇でもご一緒させていただいたことがあって。どんどん表現に幅や深みが出ていて、『あんなの放し飼いにしちゃいけない!』と思ったくらい」と楽しそうに笑う。
「たくさんの先輩を見て、そのすごさに打ちひしがれながらも、またご一緒するためには自分も頑張らないといけない」とキッパリ。そして、どれだけキャリアと年齢を重ねても「ダメ出しをもらうのはうれしい」とも語る。
「新人の時よりはある程度の引き出しがあるので、『こういう感じですか?』『これはどうでしょう』という提示もできるようになった。僕は議論があるほうが好きなタイプなので、現場でいろいろなディスカッションできることがとても楽しくて。それは年齢を重ねたからこそ、できるようになったことだと思います。これからもその都度持っているものを全て出しきって、しっかりと取り組んでいきたいです」と飽くなき探究心をみなぎらせていた。(取材・文:成田おり枝)
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2024年12月22日 22:00時点
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