解説:「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」 脱ガンダム 怪物感も Ξガンダム、ペーネロペーデザインの裏側

「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」のビジュアル(C)創通・サンライズ
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「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」のビジュアル(C)創通・サンライズ

 人気アニメ「ガンダム」シリーズの劇場版アニメ「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」(村瀬修功監督)のテレビエディションが、MBS・TBS系の日曜午後5時のアニメ枠“日5”で放送されている。同作の見どころの一つとなっているのが、異形の巨大モビルスーツ(MS)、Ξ(クスィー)ガンダム、ペーネロペーの激しい空中戦だ。テレビエディションの第2話にあたる「2/4『コンタクト』」で、ペーネロペーが怪物のような飛行音を上げて初登場した。Ξガンダム、ペーネロペーは化け物、怪物のようにも見える。スタッフの言葉を基に、「閃光のハサウェイ」のMSデザインの魅力を解説する。

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 ◇Ξガンダムのカラーリングを変更した狙い

 「閃光のハサウェイ」は、富野由悠季さんが1989~90年に発表した小説。小説は、森木靖泰さんがメカデザインを手がけた。Ξガンダム、ペーネロペーは、これまでにゲーム用としてデザインがリファインされ、フィギュアなどの立体化もされているが、アニメでは、森木さんのデザインをリスペクトしつつ、さらにリファインした。

 Ξガンダムは“脱ガンダム”を目指した。Ξガンダムは、反地球連邦政府組織マフティーがアデレード会議襲撃のために準備したアナハイム・エレクトロニクス社製の第五世代MSで、ペーネロペーとは姉妹機にあたる。頭頂高は26メートルにもおよび、腕部も標準的なMSよりも大型化している。胸部が顔のようにも見え、顔が二つある化け物のようなデザインも特徴。「ガンダム」の名を冠してはいるものの異形のシルエットで、劇中で「ガンダムもどき」とも呼ばれている。スタッフは「あえてガンダムっぽくしなくてもいいのでは?」と提案したという。

 カラーリングについてもディスカッションを重ね、変更した。これまでのΞガンダムは、胸が青く塗られているイメージが強い。しかし、白にすることで、赤が目立ち、顔が二つあるようなデザインをより際立たせようとした。カラーリングを変更すると、イメージが変わる。なかなか踏ん切りが付かなかったが、小説発表当時の版権絵で白く描かれているものを見つけ、変更に踏み切った。


 ◇よく見るとガンダム!?

 ペーネロペーは、Ξガンダムと同じくアナハイム・エレクトロニクス社製のMSで、地球連邦軍のレーン・エイムがパイロットを務める。オデュッセウスガンダムがFF(フィックスド・フライト)ユニットを装備した形態がペーネロペーと呼称される。ペーネロペーはガンダムっぽくないところもあるが、「よく見るとガンダム」というデザインを目指した。姉妹機のΞガンダムは、ガンダムっぽいが、よく見るとガンダムっぽくない。

 連邦の視点では、反地球連邦政府組織であるマフティーのΞガンダムは偽物で、ペーネロペーこそが正式に採用されたガンダムということなのだろう。だから「ガンダムもどき」とも呼ばれるわけだ。“正式なガンダム”であるペーネロペーは“ガンダム顔”にしようとした。Ξガンダムのデザインを小説版に寄せたこともあり、ペーネロペーもバランスを考慮して、小説版に寄せてスカートを大きくした。マッシブなシルエットで、“怪物感”のあるデザインに仕上げた。

 「閃光のハサウェイ」は、音響面もこれまでの「ガンダム」シリーズとは変えて、村瀬監督の考えているサウンド設計にシフトし、音響演出の笠松広司さんがまとめた。テレビエディションの「2/4『コンタクト』」のペーネロペーの怪物のような飛行音もそうだが、ビーム音なども変更した。音響の効果もあって、怪物感がより際立ったところもあるようだ。迫力のある巨大MSの戦いに注目してほしい。

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