中島裕翔:“見たことのない顔”で裏切る20代ラスト 若者と大人のはざまで見えた「いろいろな可能性」

映画「#マンホール」で主演を務めたHey! Say! JUMPの中島裕翔さん(C)2023 Gaga Corporation/J Storm Inc.
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映画「#マンホール」で主演を務めたHey! Say! JUMPの中島裕翔さん(C)2023 Gaga Corporation/J Storm Inc.

 結婚式前夜、酒に酔ってマンホールに転落した男の脱出劇を描く映画「#マンホール」(熊切和嘉監督)が2月10日に公開される。本作で主演を務めたのが人気グループ「Hey! Say! JUMP」の中島裕翔さんだ。現在29歳の中島さんは、本作を撮影した昨年を振り返り、「20代最後に、今後の演技の幅の広がりが少し見えたような気がする」と語る。斬新な作品での挑戦の日々と、若者と大人のはざまの今だから感じる俳優業への思いを聞いた。

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 ◇「こんなことにチャレンジできるのか」 6年ぶり映画で新たなワクワク

 映画は、「ライアーゲーム」「マスカレード・ホテル」シリーズなどの岡田道尚さんが脚本を手がけたオリジナル作品。会社社長の娘と結婚が決まった川村俊介(中島さん)が、式前夜のパーティーの帰り道、酒に酔ってマンホールに転落。手元のスマートフォンだけを頼りに、SNSで助けを求める。

 映画への出演は約6年ぶりとなった中島さん。「お話をいただいて、また映画に参加できるんだと思い、うれしかったです」と明かし、「まず『#マンホール』というタイトルからして、どんな映画だろうと興味が湧きました。脚本を読んでいくと、どうやら主人公がマンホールに落ちて出られないと。最後には驚きの結末が待っていて、思わずページを戻って読み直したくらい。とにかく脚本を読んで衝撃を受けました」と振り返る。

 物語で主な舞台となるのはマンホールの中。中島さんはほぼワンシチュエーションでの一人芝居を求められることになった。「一人で画(え)をもたせられるのか心配はありましたが、こんなことにチャレンジできるのかとワクワクする気持ちの方が強かったですね」と、好奇心をくすぐられたようだ。

 ◇過酷な撮影で生まれた“リアル” 「あざだらけ」も達成感に

 それから、「暗い夜のマンホールの中」を模したセットでの撮影が始まった。中島さんは「この環境に慣れてしまうのはよくないと思い、マンホールのセットの気持ち悪さはずっと感じつつ、絶対にここから脱出してやるんだという強い思いを意識していました」と明かす。

 「撮影とはいえ、実際に僕も閉じ込められているような状況で。ある意味、自分の気持ちを川村として出せるんじゃないかと思ったんです。一人の時間にマンホールの出口の穴を眺めたり、そういう周りの環境をしっかり見て、聞いて、使っていくことを大事にしていました。あとは『今日もまたあの穴の中に行くのか』と考えたり、あえて嫌なところを探しておくというか。役のために必要な素材として、そういう気持ちを持つようにしていましたね」

 撮影が行われたのは昨年春で、まだ寒さの残る時期だった。雨が降るシーンの撮影では、ぬれっぱなしの状態が長く続き、指がふやけたり、実際に体が震えたこともあったが、その生々しさをあえて映像に生かしたという。

 また、マンホールから脱出しようと試行錯誤する川村を演じ、「いろいろなところがあざだらけになった」と話す中島さん。「でも、僕はそういうのを見て達成感を感じるタイプなんですよ」と笑う。

 「そうやって頑張った分、とてもやりがいがありました。映像でチェックしたときにかっこよくなっていましたし、ワンシチュエーションでこんなに見せられるんだと驚きもあって、現場では毎回それが楽しかったです。できるだけ順番通りに時間をかけて撮っていく、そんな充実感ある日々を過ごせました」

 ◇「大人にシフトし始めている」 20代最後に感じた“幅の広がり” 

 中島さんが演じた川村は、不動産会社に勤める営業成績ナンバーワンの“ハイスペック男”。冒頭に登場する結婚を祝われるシーンでは、その人望の厚さもうかがえる。そんな川村だが、マンホールに落ちたことで心身共にどんどん追い詰められ、別人のように変貌を遂げる。

 これまでは好青年の役を演じることが多かった中島さん。川村役については「最初は今まで自分が演じてきたような男性なのですが、そこからだんだんと人間の本性が出てきて、見てくださる方をかなり裏切るような感じです」と語る。

 「ここまで暗くて怖かったり、感情をむき出しにする役はやってきていなかったので、挑戦してみたいと思っていました。20代最後に、今後の演技の幅の広がりが少し見えたような気がします。とにかく僕の見たことのない顔がたくさん見られる映画になっています」

 本作の撮影を含め、昨年は中島さんにとって「芝居の幅が広がった一年」になったという。

 「(NHKのドラマ)『しずかちゃんとパパ』で演じた道永圭一は変わった役で、だけど言っていることは的を射ている。個人的にそういうキャラクターが好きだったのもあって、演じていて楽しかったです。『純愛ディソナンス』や『#マンホール』では『結婚』というワードも絡んできて、そういった役の話がくるようになったことで、大人にシフトし始めているんだと実感しました」

 「今はちょうど若い役も大人の役もどちらもできる年齢で、貴重な時期なのかなと思います。原作ものも多い中で、オリジナルで挑戦できることも僕の中では一つのやりがい。いろいろな可能性が見えた一年だったと思います」と話した中島さん。これから先、彼のどんな“見たことのない顔”を楽しめるのか――。深みを増していく“俳優・中島裕翔”の姿に期待したい。

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