海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
MBSの「ドラマ特区」枠(木曜深夜0時59分)で放送中の連続ドラマ「あなたは私におとされたい」。ドラマはマンガ原作の不倫サスペンスで、村井良大さんと共にダブル主演を務めてきたのが、鶴嶋乃愛さんだ。「仮面ライダーゼロワン」(2019~20年)のイズ役で人気を博した鶴嶋さんは今回がドラマ初主演。「絶対に不倫させる女」として、撮影に挑んだ日々はどのようなものだったのか。鶴嶋さんに話を聞いた。
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ドラマは、宮口ジュンさん原作、梅涼(うめすず)さん作画の同名マンガが原作。「絶対に不倫させる女」立花ノア(鶴嶋さん)と「絶対に不倫しない男」相澤直也(村井さん)が駆け引きを繰り広げる不倫サスペンス。内藤秀一郎さん、佐藤友祐さん、マーシュ彩さん、染野有来さん、宇垣美里さんらも出演した。
現場の雰囲気は「こんなディープな作品なのに、本番ギリギリまでキャッキャキャッキャと話していて、本当に和気あいあいとしていました」といい、「私自身は役柄としても、攻めるというか、グイグイいくタイプの女性だったので、そこにも後押しされ、他のどの現場よりも自分からお話しできました。立花ノアちゃんという役にも助けられているような部分もあるのかなと思っています」と振り返る。
「絶対に不倫させる女」というある意味、勢いがないと演じられない役に挑戦した鶴嶋さん。劇中では当然ラブシーンもあり、「途中からハイタッチしている気分でした」とした笑う。
立花ノアはいわゆる蠱惑(こわく)的な悪女。相手によってコロコロと変わる表情や仕草は“あざと可愛い”と言えるが、一方で、冷めた目で核心を突くようなせりふを吐くようなシーンも。
「ノアちゃんは悪い子であることは間違いないのですが、人間の奥底に眠っている本性みたいなものを探していたりもする」との印象を抱いたという鶴嶋さん。それでも、演じていて感じたのは「嫌悪感」だったといい、「帰り道で嫌悪感が襲ってきたりもしましたが、それは私自身はノアちゃんとが違う人間で、嫌悪感が来るってことは、作品の中で、ノアちゃんとして生きられているっていう手応えでもあるのかな」と前向きにとらえていた。
ドラマは終盤を迎え、「最終話の台本は読んでいて苦しかったです。『なんでこうなっちゃったんだろう』って、全部私(立花ノア)のせいなんですけど」とも明かす鶴嶋さんは、改めて「人間の本性をついた作品で、特にノアちゃんの言葉や女性陣のセリフにすごく考えさせられることが多かったです」と話す。
「男性の方は女性がこう思っているんだってことを再確認できると思いますし、女性は同じ立場なら、自分はどうなんだろう、私も普段こういったことをしてしまっているんじないだろうかって、自分のことを見つめ直すきっかけをくれる言葉がすごくちりばめられている気がします」とも語った。
また、立花ノア役を通して、「改めて、この職業は奥深いなって思いました」と吐露する鶴嶋さん。「原作を読んだ時点では、ただ可愛くて、小悪魔で、他人を翻弄(ほんろう)して、というふうに思っていたノアちゃんが、しっかりと向き合うといろいろな面が見えてきて、決して共感はできないけれど、愛が芽生えましたし、ノアちゃん自身、一人の人間として悪い部分はあるのですが、そこに至った原因を自分なりに考えて噛み砕いてみると、すごく人の心の弱さについて知っている子なんじゃないか、とも思えたので。こういうお仕事をしていなかったら、そこまでノアちゃんに対して何かを感じることはなかっただろうし、『あ~悪い子だな』という感想だけで終わっていたはず。でも、私なりに役を解釈して、皆様にお届けできるってことはとてもうれしいことだなって思いましたし、女優をやっていて良かったなって」と女優業の醍醐味(だいごみ)を口にした。
そんな鶴嶋さんは「仮面ライダーゼロワン」で共演した高橋文哉さんや井桁弘恵さん、中川大輔さんの活躍が刺激にもなっているといい、「1年半、2年近くみんなで切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間という意識。特に文哉君は“相方”みたいな、ずっと一緒にいたので。戦友たちって気持ちなので、そうやって一緒にやっていた方々が活躍しているのを見ると刺激にはなります。十数年後に『ゼロワンのキャストすごいよね』って言っていただけるよう、私もしっかりと精進していきたいなって思っている所存です」と誓った。