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10月31日(木)放送分
2022年にデビュー10周年を迎えた俳優の木村達成さん。10周年を記念して昨年12月29、30日に開いた自身初のコンサート「木村達成 10周年コンサート -Alphabet Knee Attack-」の模様が、2月18日にWOWOWで放送・配信される。俳優仲間で公演MCを務めた川久保拓司さん、日替わりゲストの加藤和樹さん、柿澤勇人さんとの共演などコンサートのエピソードや、10周年を迎えた心境、今後の抱負などを木村さんに聞いた。
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デビュー10周年にして初開催となったコンサート。今までコンサートを行わなかった理由を、木村さんは「役を演じていない状態で皆さんの前で歌うというのが苦手だったんです。でも記念すべき10周年ということで、皆さんが背中を押してくれたことが開催のきっかけになりました」と明かす。
幕が開くと、「緊張はしましたけど、楽しい瞬間がいっぱい詰まったコンサートでした。最初はすごく不安もあったんですけど、いざみんなの前に出て歌ってみるとやっぱり楽しくて、素晴らしい時間を過ごせました」といい、「初日は『お客さんも緊張しているのかな』という感じがありつつ、でも目をこらせば、舞台上からもお客さんの表情がよく見えて、『楽しんでくれたらいいな』と思いながら歌いました」と振り返る。
前半は、aikoさんの「カブトムシ」、優里さんの「ドライフラワー」といったJ-POPや沢田研二さんの「勝手にしやがれ」などの昭和歌謡のナンバー、後半は、ミュージカルの楽曲をメインに構成した。木村さんは「お酒を飲むことが好き。スナックが好き」ということから昭和歌謡に親しむなど、その音楽的背景や「自分らしさ」をポイントにセットリストを決めていったという。
特にオープニングのウルフルズのヒット曲「バンザイ~好きでよかった~」は大学時代の思い出の1曲だといい、「みんなで熱海に行ったとき、夕方に居酒屋で飲んだんですけど、店を出た後に駅に行くまで、この曲をみんなで合唱したんです。すごく青春が詰まっていて、いまだにみんなで集まるとウルフルズのこの曲を歌います。仲間うちではテーマソングみたいなところがあって、“僕らしい曲でコンサートを始めたい”という意味でも『この曲でいきたいです』という話をしました」と思い入れたっぷりに語る。
また印象深い1曲として、2018年に自身が出演したミュージカルの名作「ラ・カージュ・オ・フォール ~籠の中の道化たち~」の楽曲「ありのままの私」を挙げる。「歌詞が、今まで10年間やってきた自分の独白みたいな感じがしました。いろんな寄り道もしたけど、勢いよく、全力で駆け抜けた10年だったなと思えました」と感慨深げだった。
公演では、川久保さんがMCを務め、1日目は加藤さん、2日目は柿澤さんがゲスト出演した。川久保さんとはWOWOWのオリジナルミュージカルコメディー番組「福田雄一×井上芳雄 グリーン&ブラックス」で共演した際、「心臓に毛が生えているような、どんなことにも動じずにぶつかっていく力があるなって。川久保さんがいたら、コンサートも絶対に盛り上がるだろうな」と思い、オファーしたという。ミュージカルで何度か共演した加藤さんについては、「お互いが舞台の初日を迎えるたびに、公演中に飲む(ペットボトルの)水を送り合っています。水の交換の儀式、“水の契り”を交わしてますね。その水が段ボール箱で届くと、『今から始まるんだ』っていう気持ちになります」と秘話を語る。
昨年のNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の源実朝役で話題を呼んだ柿澤さんとは、2020年にブロードウェーミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」シーズン3で同じ舞台に立つ予定だったが、コロナ禍で中止となった。同作では、柿澤さんがトニー、木村さんがリフという“親友同士”の役柄で、稽古(けいこ)を通して親交を深めていったという。そんな2人にとって、今回のコンサートは公では初めての「待望の夢の共演」という。当日は和気あいあいとしたトークが繰り広げられ、「柿澤さんの実家に行って一緒にご飯を食べたことがあります。それで、ご両親に『僕は勇人くんにいじめられてます。助けてください』っていうギャグを言いました(笑い)」というエピソードも披露した。
同時に「こんな僕を受け入れてくれて、皆さん、素晴らしい方々なんだな、器の大きい人たちなんだなって改めて思います」と尊敬の念も表す。こうした仲間とのやりとりも公演の見どころの一つで、「ゲストとの絡みも僕らしいというか。本当に楽屋レベルの普通の会話で、『達成は先輩や友達とこういうふうに話すんだな』っていう“素”を見てもらえると思います。楽曲も昭和歌謡などを織り交ぜながら、たくさんの方に楽しんでもらえる内容になっているので、見ていただけたら面白いと思います。もしよかったら、これからの木村達成の活動にも注目してください」とアピールする。
木村さんは、デビューからの10年を改めて振り返り、「楽しいことばかりじゃなく、むしろつらいことの方が多かったかもしれない。基本的には作品が決まった瞬間が一番うれしくて、その後の稽古は、ものすごく努力をしたり、自分を追い詰めなきゃいけないので……。あと、周りと競争をしていくという意味でも、毎日が戦いでしたね」と本音を吐露する。
そんなハードな生活の中で、一番リラックスするのは、「1日が終わる前にお風呂に入るとき。湯船につかっているとき」だといい、入浴中は「無になるか、動画を見たりとか。冬は41、42度のお湯に15~20分くらいつかって、汗をかくまで入ってますね」と明かす。最近は多忙で、お風呂に台本を持ち込んでせりふを覚えたり、歌の練習をしたりする日々だという。
柿澤さんをはじめ、ミュージカル界の俳優陣がドラマや映画などに出演し、活動の場を広げている昨今。身近な人たちの活躍ぶりについては、「ミュージカルの方々がいろんなところに挑戦していくというのは、考え的には自分も同じ。僕は役者で、歌うことも踊ることもするし、(映画やドラマなどの)映像にも出るし。役者って全部できてこそ役者だと思うんです」と熱く語り、映画やドラマへの出演にも意欲を見せる。
さらに、「10年後の自分もやんちゃなガキでいたい。面白いことを一番に見つけて楽しみたい」と“少年の心”をのぞかせる木村さん。2023年はまず、「けがをしない。昨年はけがをすることが多かったので。あとは、楽をせず、極端に苦しむこともせず、でも安全策も見つけず、攻める年にしたいです」と力を込めた。
(取材・文/水白京)