解説:「機動戦士ガンダム サンダーボルト」 MSデザインの魅力 兵器として合理性 ガンダムは悪人面?

「機動戦士ガンダム サンダーボルト」のコミックス第2巻
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「機動戦士ガンダム サンダーボルト」のコミックス第2巻

 人気アニメ「ガンダム」シリーズのOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)「機動戦士ガンダム サンダーボルト」。テレビエディションがMBS・TBS系の日曜午後5時のアニメ枠“日5”でに放送中で、2月12日放送の第1話「雷」にフルアーマー・ガンダム、サイコ・ザクが登場したことも話題になった。「サンダーボルト」は「MOONLIGHT MILE」などで知られる太田垣康男さんのマンガが原作で、モビルスーツのデザインが魅力の一つになっている。「機動戦士ガンダム(ファーストガンダム)」や「モビルスーツバリエーション(MSV)」のMSのような雰囲気、独特の泥臭さがあり、オールドファンのツボを押さえつつ、新しく見える。「サンダーボルト」のMSのデザインの魅力を解説する。

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 ◇質実剛健 基本的に目は変えない

 「サンダーボルト」は「ビッグコミックスペリオール」(小学館)で2012年に連載をスタート。一年戦争のサンダーボルト宙域での地球連邦軍とジオン公国の戦い、一年戦争後のジオン残党軍、連邦、南洋同盟の戦いなどが描かれ、プラモデル化されるなど人気を集めている。テレビアニメエディションは全3話。

 原作者の太田垣さんに取材した際、「サンダーボルト」のMSのデザインについて「スタイリッシュさはないですね(笑い)。兵器を意識しているからだと思っています」と話していた。

 「商業デザインの世界では、スタイリッシュさや遊びが必要で、洗練されたデザインになりますが、兵器にはそれが必要ない。兵器として合理性を突き詰めていくと泥くさく、質実剛健になっていきます。『サンダーボルト』のMSのデザインも基本的にそこを意識しています」

 ガンダムやザクなど数々のMSをデザインしてきたのは、 大河原邦男さんだ「ファーストガンダム」で大河原さんが手がけたデザインは、40年以上にわたって愛され続けており、さまざまなバリエーションが生まれてきた。太田垣さんは、MSのデザインをリファインする中で「目力」に注目した。大河原さんがデザインしたMSは目の形だけで、MSを識別できるとい、リファインする際、基本的には目を変えていないという。

 ◇“俺ガンダム”を作る 水泳選手のようなアトラスガンダム

 テレビアニメエディションの第1話に登場したフルアーマー・ガンダムは“悪人面”にも見える。ジオン軍から見ると、ガンダムが圧倒的な強さの“白い悪魔”のように映る。“悪人面”に見えるが、「面長に変え、鼻筋を強調し、大人の顔にしています。それで悪役に見えるんです。昔のガンダムは少し丸みがあって、子供の顔なんです。目、パーツはガンダムと同じです」と目は変えていないという。

 第2部には、重力下専用汎用サポート装備のサブレッグ(フライトユニット)やレールガンなどを装備した試作MSのアトラスガンダムが登場する。フルアーマー・ガンダムやサイコ・ザクとは雰囲気が違うようにも見え、「“俺ガンダム”を作ろうとした。五輪の水泳選手の水着のイメージ」「戦後(一年戦争後)に開発されたアトラスガンダムは、流線型も入っています。そういう遊びがあるのは、平和になった証拠なんです」とも話していた。

 アニメには未登場だが、マンガには、サイコ・ザクを偽装した機体でブラウ・ブロと合体するパーフェクト・ガンダム、下半身に巨大なブースターを備えるパーフェクト・ジオング、アナハイム・エレクトロニクスが開発したZガンダムやガンダムMk-IIなども登場する。どれも“サンダーボルトらしさ”を感じる魅力的なデザインだ。アニメと合わせてマンガでも“サンダーボルトらしさ”を堪能してほしい。

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