ドラゴンボールDAIMA
第11話 デンセツ
12月23日(月)放送分
人気アニメ「ガンダム」シリーズの劇場版「機動戦士Zガンダム」3部作の上映会が1月28日、新宿ピカデリー(東京都新宿区)で開催され、メカニカル作画監督の仲盛文さんが登場した。上映会は、サンライズのイベント「サンライズフェスティバル2023」の一環として開催され、仲さんが、富野由悠季総監督へ直訴したエピソードなど制作の裏側を明かした。ジム・キャノンII、ガンダム TR-1[ヘイズル]、ガザEが登場した経緯などについても語った。
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「機動戦士Zガンダム」はテレビアニメが1985~86年に放送され、テレビアニメ版を再構築、新規カットを加えた劇場版3部作が2005~06年に公開された。上映会では、スクリーンに原画が映し出され、仲さんが制作当時を振り返った。
アッシマーの顔面が破壊されるシーンが紹介されると、仲さんは「スタッフみんなこうなるとは思っていなかったはずなんですよね。富野(由悠季)総監督の絵コンテでは『サブカメラが出てくる』くらいの指定しかなかったので。昔の作品なのでサブカメラの設定もなく、自由に描いちゃえと。城前龍治君というすごくうまい原画マンと一緒に考えたのですが、なかなかうまくいって気に入っています。百式もツインアイにするかモノアイにするか決まってなかったんです。監督に聞いたら『どっちでもいいよ、好きにしていいから』と。だったら、元ガンダムという裏設定もあるし、格好いいのでツインアイにしちゃいました」とコメント。
ガンダムMk-IIの手の設定については「このガンダムMk-IIの手も、当時の設定にはなかったので新たに設定を起こして描きました。当初、この一連のシーンは新作の予定ではなかったんです。ただ、劇場版の作業が進んでいくうちに『新作にしなきゃダメだろう』となって。僕が直した親指は、アムロの顔にかかっていたんですけど、阿部邦博君が笑いながら『アムロの顔にかかっちゃダメじゃん』とか言って直してくれたんですよね。彼は超絶うまい人で、手のラフを細部が分かるくらいに描いてくれて、その場でラフ設定をまとめてくれたんです。これだけ細かく描いたんだけど、なんかほかの作品でも参考にしてくれてるのかな?」と明かした。
新規カットを決めるポイントについて「テレビ版をあらつなぎしたやつを富野監督とスタッフ全員で見て検討するのですが、監督が切ったコンテの段階で決まっているものもあったし、スタッフから『これは新作にしたい』というのもあったんです。第1部で140カットくらい新作が増えることになって『(スケジュールに間に合わないから)旧作のままでいきましょう』という意見も出ました。先ほどの手のアップのカットは後から新作になったカットでした。作画する立場としては、新作になって良かったな、と思う反面、新作カットが増えるとやはりしんどかったです」と語った。
第3部では、富野監督と激しいやり取りがあったといい「コロニー・レーザー内での最終決戦シーンは、新作にしない予定だったんですよ。第3部にはそれ以外の戦闘シーンがほとんどないので、ここを新作にしてくれないとメカの見どころが減ってしまうと思って、監督に直訴したんです。直訴した結果怒られてクビになってもいいや、と覚悟して。監督に『実はお願いがあって、あのシーンを新作にしたいんです』と言ったら『それをやる原画マンなんていないじゃん。仕上げだって、背景だって、制作だってOKしてないでしょ?』と返されたんです。でも実は、第2部の作業が終わっていた重田敦司君には先に根回しをしていたので、『原画マンは大丈夫です』と答えたら、逆に『スタッフの中でそういうこと言ってくれるヤツがいてくれてうれしい』と富野監督に褒められちゃったんです」と裏側を語った。
最終決算のシーンは「次の日にスタジオに行ったら、自分の机の上に生の(鉛筆書きの)コンテが置いてあって『お前が言い出したんだから、お前がチェックしろ』って書いてあったんです。(監督に一晩で絵コンテを描かせるなんて)そこまでのことだとは思っていなかったので、『えーーー!』って思ったんだけど、僕が監督にリテークを出せるわけでもなく『本当にありがとうございます』とお返事しました。その戦闘シーンは60カットくらいあったんですが、カトキハジメさんも『やっぱ、あそこ新しくしたいよね~』と言って、コロニー・レーザー内の設定を新しく描き下ろしてくれたんです。そういうこともあって、新作にして本当に良かったなって思うんですけど、仕上げさんとか背景さんとかキャラ作監とかへの根回しを忘れていて、その後、めちゃめちゃ怒られました。自分ではやって良かったと思ってるんですけど、(ファンから)あそこが新作になって良かった、という意見は意外と聞かないので、果たしてどうだったのかな?と気にはなっています」と苦労も多かったという。
富野監督については「テレビシリーズをやられていた40代の時は本当にイライラしていて『なんで!バカかお前は!』と怒りっぽくて、うかつに近づけませんでした。その後、60代になられて、劇場版『Z』でご一緒した時には優しく話を聞いてくれて。僕がすごくくだらないことを聞いても『なんでそんな事聞くの!』って言いながら、真剣に考えて返事してくれるんです。大人として素晴らしいなと思いました。見習いたいです」と尊敬している様子。
ブルーレイディスク、DVDに描き直したカットもあるといい「僕は直す予定は全然なかったんです。第3部の公開にコロニー・レーザー内の新作部分のメカ修正が間に合わないので、制作さんと相談してブルーレイディスクでリテークさせてもらう約束で、上映版は重田敦司くんの絵でそのまま画面にしてもらったんです。そうしたら、富野監督が『なんか直すんだって? 直すんだったら、僕も直したいところがある!』と言ってこられて。結局、監督も15カットの新作をブルーレイディスクでリテークで入れたんです。僕はコロニー・レーザー内のメカ修正をしたかっただけなんですけどね……」と話した。
司会が「ミネバがバイオリンを弾いているシーンなどは、修正はトータルで30~40カットくらいありそうだなと」と話すと、「実は結構あるんですよね。このジャミトフに関しては、監督が『シロッコがジャミトフを殺すシーンを入れたい』と言っていました。僕の記憶では、額に銃を突きつけるカットを入れようとしてたんじゃないかな」と振り返った。
来場者から「ジム・キャノンII、ガンダム TR-1[ヘイズル]、ガザEといった珍しい機体が登場しますが、どなたのアイデアだったのでしょうか?」という質問があると「ジム・キャノンIIを出したのは、モビルスーツを洗いざらい出してもうアーガマにはモビルスーツがいないよ、ということを表現するためです。機種の選定については、富野監督にこだわりはなかったんですが、絵コンテにたまたまジム・キャノンIIらしきものが描かれていたので、これでいいかな、と。ヘイズルはゼダンの門に取り付いているカットですよね。あれは城前君が『ヘイズルはすごく格好いいから描くしかない!』と描いたんです。あのシーンにはマラサイもいて、長いライフルを持っているのですが、それも原画マンのアドリブですね」と明かした。
劇場版とテレビアニメではラストシーンが異なる。「どう変わるかというのは具体的には知らなかったんですが『変えたい』というのは最初に聞いていたので、『こうなったか』くらいな感じですね。観客としては第3部のラストを見て、ちょっと救われた気になったので良かったと思いました。スタッフとしては、感想を挟む余地がないぐらい忙しくて余裕のない作り方でしたから、本当に完成してホッとしたというのが一番の感想です」と話した。
最後に「作る側としては、完全新作の方が楽な部分もあったんですけど、古いフィルムをベースにしたからこそ、見ていて安心できる部分もありました。さらに新作カットでちょっと良いところを加えることができていたらと思います。劇場版『Z』というものはテレビ版とは別物ですが、テレビ版と劇場版、両方好きになってもらって、これからも『Z』を愛してもらえるとうれしいです。どうもありがとうございました」と語った。
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