話題の映画やドラマに出演し女優として注目を集めている畑芽育さん。3月3日に公開された「なにわ男子」の高橋恭平さんが主演を務める映画「なのに、千輝くんが甘すぎる。」では、主人公の千輝と“片想いごっこ”を繰り広げるヒロインの如月真綾役で出演。「撮影時の記憶がしっかり思い出せないぐらい、役に入り込んでいた」と畑さんは振り返る。撮影直前の昨年4月に20歳になった畑さんに、ヒロイン役への思いや20代になって感じていることなどを聞いた。
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映画は、マンガ誌「月刊デザート」(講談社)で連載中の亜南くじらさんによる同名マンガが原作。人生初の告白で玉砕した高校2年生の真綾が、陸上部のエースで学校一のイケメン・千輝彗(ちぎら・すい)から提案された“片想いごっこ”を繰り広げる……というラブストーリー。千輝役を「なにわ男子」の高橋さんが演じ、映画「四月は君の嘘」「ひるなかの流星」などの新城毅彦さんが監督を手がける。
本作で、人生初の告白で玉砕した真綾を演じる畑さん。甘々な青春ラブストーリーでヒロイン役を務めると分かって驚いた。「最初は『冗談なのかな、ドッキリなのかな』と思うぐらい、本当にびっくりして……。でも撮影時期が近づくにつれて、ちょっとずつ『自分が少女マンガ原作の青春映画のヒロインなんだ』と実感していきました。でも、撮影が終わって試写で映像を見ても自分じゃないみたいで、すごく不思議な感覚で。撮影当時は、自分ではないように見えるぐらい没頭していたんです」と打ち明ける。
そこまでひとつの役に没頭した経験は、今回が初めてだった。「真綾役ほど朝から晩まで、家に帰っても考えているということは、本当に人生で初めてだったかな、今までになかったのかな、と思いました」と明かす。「撮影した6月はずっと真綾でいたので、その時の記憶がしっかり思い出せないぐらい役に入り込んでいたからこそ、真綾っていう女の子への気持ちが強まりました」と振り返る。
真綾を演じるため、原作者へのリスペクトを込め、原作をたくさん読み込んだという畑さん。また、新城監督の過去作を改めて見返し、ヒントを探っていった。「マンガで描かれていることはコミカルで、そのまま実写化してしまうと、ちょっとやりすぎなのでは? と思われてしまうかなと考えて……新城さんは原作モノも手がけていらっしゃるので(マンガと新城監督の実写化作品を)見比べてみて。そこで演じている役者さんたちは技術も高く、見ているだけでも勉強になるので、表情の作り方や声のトーンを意識していました」と語る。
畑さんが真綾を演じるうえで一貫して大事にしていたことは「一生懸命でひたむきなところ」だった。「やっぱり、真綾のいいところってそこなのかな、と思います。とにかく撮影期間中はずっと千輝くんのことを考えていて、真綾の気持ちに寄り添っていたと思います」と笑顔をみせる。
そんな真綾との共通点は、「ひとつの物事に取り組んだら、それに突っ走ってしまうようなところは自分と近いのかなって思います」と畑さん。真綾は好きな人に直球で告白したが、自身も「そういうタイプかもしれないです」と笑う。「もし本当に好きな人ができたら、時間があってもなくても好きがばれちゃうタイプだと思うので(笑い)。『あなたが好きです』って言いたくなっちゃうと思います」と楽しそうに思いをめぐらせる。
千輝役の高橋さんとは今作が初共演。畑さんは「初めて対面した時から、すごくオーラのある方だな、と。歩く姿もスタイルもキラキラされていて『この方と一緒に映画を作り上げていくのか』と思いました」と語る。一方で「負けていられない」という気持ちもあったといい、「高橋さん演じる千輝くんがより輝いて見えるように真綾に何ができるのか、そこは意識しながらお芝居していました」と明かす。
高橋さんと撮影を重ねるにつれ、印象も変わっていった。「撮影期間中も、朝に現場に入った時から終わるまで、ずっとにこやかにいてくれて、現場も和みました。最初は『あまりしゃべりかけない方がいいかな』とか『どういう話をしていいか分からないな』という印象でしたけど、現場を盛り上げてくれる、頼もしい座長でした」と魅力を語る。
本作の見どころのひとつは、そんな高橋さんの胸キュンシーンだといい、「高橋さんが難なく胸キュンシーンをこなしているんですよ。普通の男の子だったら、きっと恥ずかしくてできないような、千輝くんだからこそ成立する胸キュンシーンがたくさんある。お姫様抱っこも、『重いだろうな』って不安だったんですけど、難なくこなしてくれて。頼りがいのある座長の素晴らしい胸キュンシーンを楽しんでもらえれば」とほほ笑む。
撮影前の4月に20歳になった。ヒロインという大役を果たし、畑さんは「20歳のいいスタートだったのかなって思います」と喜ぶ。
自身を取り巻く環境も、今作をきっかけに少し変わった。「(共演した)莉子ちゃんや板垣(李光人)くんとか、芸能界のお友達が増えました。今まではあまりそういう交流がなくて。同じ仕事をしている仲間だから、相談や悩みごとを共有できて、ありがたい存在になっています」と畑さん。さらに近年は、仕事面でもいい変化があった。
「現場に入る時に、少しばかりですけどちょっと自信はついたかな、と思います。じわじわした変化ですけど……。やっぱり小さいころの子役のイメージが強かったと思うので、そこの殻をどう破ればいいのか分からなかったんですけど、徐々に、任される役は自分が主軸になっていて。今回もヒロインという大役を任せていただけて、役者として節目となる作品になったんじゃないかなと思います」
上々のスタートを切った20代の目標を尋ねると、「いろいろな役に挑戦したい、という思いはずっとあります」と語ったうえで、「今度は、仕事をしている女性の役も演じてみたい。自分の経験を生かして、いろいろな現場で吸収しながら、先輩方からいろいろ勉強しながら、謙虚に。真綾じゃないですけど、一生懸命に、ひたむきに、これから先もお芝居に向き合っていけたらいいかなって思います」と女優としてのまっすぐな思いを語ってくれた。
スタイリスト:武久真理江、ヘアメーク:室橋佑紀
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