岸辺露伴 ルーヴルへ行く:日本映画史上2作目「ルーブル美術館」ロケ 「モナ・リザ」の近くで撮影 渡辺一貴監督に聞く、舞台裏

映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」を手掛けた渡辺一貴監督(C)2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社
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映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」を手掛けた渡辺一貴監督(C)2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

 俳優の高橋一生さん主演の映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」(渡辺一貴監督)が5月26日に公開された。仏パリのルーブル美術館を舞台にした物語だが、同美術館で日本映画が撮影されるのは「万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-」(2014年)以来、2作目。渡辺監督に、今作の制作舞台裏を聞いた。

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 ◇実現まで「ハードルは高かった」

 原作は、人気マンガ「ジョジョの奇妙な冒険」(集英社)シリーズで知られる荒木飛呂彦さんが、ルーブル美術館による世界のマンガ家のコラボレーション企画「バンド・デシネプロジェクト」(2009年)のため描き下ろしたフルカラー読み切り作品。発表当時、同美術館に初めて、日本人マンガ家の作品が展示されたことでも話題となった。映画は、高橋一生さん主演で2020年~22年の毎年12月に放送されたドラマ「岸辺露伴は動かない」のキャスト・スタッフが再集結して製作された。

 2020年のドラマ「岸辺露伴は動かない」第1期の時から、高橋さんと「いつか『ルーヴルへ行く』の実写化をやりたいね」と話していたという渡辺監督。しかし、当時はコロナ禍まっただ中。「海外に行くとかまったく考えられない時期でしたので、実現は夢のまた夢でした」と話す。

 ドラマが好評だったことで、渡辺監督らはプロジェクトを始動し、日本国内で昨秋クランクイン。約半年間に渡り撮影し、パリでは舞台のルーブル美術館をはじめ、シャンゼリゼ通り、エトワール凱旋門、アレクサンドル3世橋など大規模ロケを行った。ルーブルでの撮影実現までは「ハードルは高かった」と振り返る。
 
 「ルーブル側もコロナ禍でさまざまなイベントを延期していて、そもそも撮影で場所を貸していただけるのか、それがいつになるのかもギリギリまで分かりませんでした。日本でクランクインしたときも、本当にルーブルで撮影できるのだろうかと心配でした」

 そんなルーブルでなぜ、撮影許可が下りたのだろう。

 「もともと原作がルーブル側の企画だったので、お互い共通認識を持って交渉を始められた。『接点があった』というのはとても大きかったと思います。撮影の立ち会い担当のルーブル側の若いスタッフも、前々から原作を知っていましたね」

 ◇ルーブルでの撮影、予想外のことも

 主演の高橋さんは、パリでの撮影を振り返り「浮足立つことなく、日本の雰囲気のまま撮ってくださった」と渡辺監督に感謝しきりだった。渡辺監督は「パリだから、ルーブルだからといって、特別なことを一切するつもりはなかった。それがこの作品にいいとも思わなかった。撮影自体は、ほとんどスムーズに終わりました」と話す。

 だが、そこはルーブルの中。勝手はかなり違ったようだ。

 「やはり、スペシャルな経験でした。撮影は閉館後に行ったのですが、お客さんがいない夜のルーブルは、昼の雰囲気とまったく違いました。一つ一つの作品の存在感を昼の時よりも感じ、歴史の重みといいますか、どこか圧迫感があり……時計をしっかり見ていないと時間感覚もおかしくなるような中での撮影でした」

 予想外だったのは、撮影行為にルーブル側がいたって「寛容」だったことだ。

 「もちろん作品には触れないという条件ですが、モナ・リザのすぐ近くなど、『そんなところで撮影していいの!?』と、こちらが驚くくらいの場所で撮影させていただきました。クリエイティブ(表現活動)にとても理解があり、その辺りはさすが『芸術の都』だな、と感動しました」と語った。

 「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」は、人を本にしてその記憶や性格を読み取る能力を持つ人気マンガ家・岸辺露伴が、ルーブル美術館を舞台に「この世で最も黒く、邪悪な絵」の謎を追う……というストーリー。

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