ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
人気アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」のシリーズ最新作となる劇場版「劇場版PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE」(塩谷直義監督)のスタッフによる座談会イベントが6月24日、グランドサンシャイン池袋(東京都豊島区)で実施され、塩谷監督、脚本、構成を手がけた冲方丁さん、脚本の深見真さんが登場した。“ネタバレあり”で同作の魅力を語るイベントで、クライマックスで描かれた常守朱が涙を流し感情をあらわにするシーンの制作秘話が明かされた。
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「PROVIDENCE」は、時系列としては、2019年公開の劇場版3部作の「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3 恩讐(おんしゅう)の彼方に_」と、同年放送されたテレビアニメ第3期の間のストーリーが描かれる。「PROVIDENCE」のラストが、テレビアニメ第3期の第1話へつながる構成となっているため、2作は並行して制作されたという。
塩谷監督は、クライマックスの朱のシーンについて「(そのシーンを入れたのは)最後でしたね」と明かした。「テレビアニメ3期につなげるのがこの映画の目的ではなかったので。映画として成立させるために、今回は常守朱が今までため込んできたものを最後に全部出すというところにいきつきました」と同作の肝となるシーンが最後に決定されたことを告白。冲方さんは「(同シーンは)決定稿にはなかったですよね。絵コンテで拝見して、この映画が完成したと思いました。ある登場人物のドラマとして、よくぞ完成させたと思いました」と絶賛した。
同作は、冲方さんによるプロットをもとに深見さんが脚本を執筆した。イベントでは、脚本は3時間映画並みのものがあがってきたといい、「重めのラブレターが届いた」という話題に。深見さんは「プロットが超難解だったんですよ。この要素をどうやって2時間にまとめるんだと。脚本に入る前のプロットの会議がとにかく長くて、プロットの段階でとんでもない大作になるのが分かっていました。しかも、テレビアニメ3期の脚本会議をやりながら、劇場版のプロット会議をやるっていう」と苦労を明かした。
これを受けて「全部並行でしたよね。SS(Sinners of the System)とテレビアニメ3期とこの劇場版の制作が並行していて。なんでそんなプロットが大変だったかっていうと時間軸が逆だったからです!」と冲方さんが当時の心境を吐露した。
塩谷監督は、超大作の脚本を尺に収めるための工夫として「会話劇があって、それの答えが分かっているものは答えさせない。お客さんが見て分かることに対しては、あまり説明過多にしないということの積み重ねが多いですね。映像になったときに見て分かるシチュエーションなら、必要な部分を立てるためにあえて言葉を省略するという演出をやることがあります」と解説した。
冲方さんが「あえてせりふにしておくことで制作陣にキャラクターの心情面を分かるようにするという役割も脚本にはあるかなって。各キャラクターの心情を確認する作業でもあるので」と脚本の役割について語ると、深見さんは「絵コンテになって変わっているものって、それは監督が出した答えなので。試写会に行って実物を見たら、『むしろ助かった』みたいなこともあります。本当にいつも監督に助けてもらっているというか、今回もすごい完成度でした」と塩谷監督の手腕に敬意を表した。
最後のあいさつで深見さんは「今朝テレビを見ていたら、ロシアのニュースを扱っていてピースブレイカーのことを考えました。ニュースを見たときに『PSYCHO-PASS』を思い出すっていうのはこの作品ならではだなって思います。これからも『PSYCHO-PASS』を見て完結するのではなく、現実世界をどう考えるかとか、そういうことを意識してくれるとうれしいなと思います」と思いを語った。
冲方さんは「脚本は最初に出来上がるんですよね。その出来上がった後、ものすごい数の絵作り、音作りに携わる方々が尽力して、それを監督がまとめあげて、本当に敬意を表します。ぶっちゃけて言うと、(作品完成まで)ちょっと時間がかかりすぎて、『残念ながら……』という連絡がいつか来るんじゃないかなとヒヤヒヤしていたんですが、そんなこともなく、見事に完成にこぎ着けた監督、本当におめでとうございます」と塩谷監督へ賛辞を送った。
塩谷監督は「3期をテレビ放送したのが2019年。多分劇場版の脚本を受け取ったのが2019年の年末あたりだと思うんですよね。終わってからいろいろ聞かれるんですけど、今の時点では『疲れた』しか言葉が出てこないです(笑い)。これからブルーレイディスクとかも出ると思うので、いろいろ見て楽しんでいただければなと思います」とメッセージを送った。
「PSYCHO-PASS サイコパス」は、巨大監視ネットワーク・シビュラシステムにより人の心理状態などを数値化し、管理できるようになった近未来の高度情報化社会を舞台に、厚生省公安局の刑事の活躍を描くSFアニメ。完璧に見える社会が持つ矛盾が描かれた。テレビアニメ第1期が2012年10月~2013年3月、第2期が2014年10~12月、第3期が2019年10~12月に放送された。「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス」が2015年1月、劇場版3部作「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System」が2019年1~3月に公開された。
最新作は、塩谷さんが監督を務め、冲方さんが構成を手がけ、冲方さんと深見さんが脚本を担当した。外務省海外調整局行動課が追っていたピースブレイカーが、ミリシア・ストロンスカヤ博士が確立した研究、通称ストロンスカヤ文書を狙い、事件を起こす。常守朱と狡噛慎也は、ストロンスカヤ文書をめぐる大きな事件に立ち向かうことになる。
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