伊藤昌弘×若山詩音×オーイシマサヨシ:アニメ「好きめが」 次元を超えたコラボの裏側 まさか!のめがねエピソードも

「好きな子がめがねを忘れた」のエンディングテーマを担当する(左から)オーイシマサヨシさん、伊藤昌弘さん、若山詩音さん
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「好きな子がめがねを忘れた」のエンディングテーマを担当する(左から)オーイシマサヨシさん、伊藤昌弘さん、若山詩音さん

 「月刊ガンガンJOKER」(スクウェア・エニックス)で連載中の藤近小梅さんのマンガが原作のテレビアニメ「好きな子がめがねを忘れた」が、7月4日からTOKYO MX、MBSほかで放送される。ついついめがねを忘れてしまうド天然女子の三重さんと、ちょっぴり奥手なヘタレ男子の小村くんが、近距離で“ムズキュン”なやり取りを繰り広げるラブコメディー。アニソンシンガーのオーイシマサヨシさんと小村くん、三重さんによるスペシャルユニット「マサヨシがめがねを忘れた(小村くんと三重さんとオーイシマサヨシ)」が、エンディングテーマ(ED)「メガネゴーラウンド」を担当することも話題になっている。EDで“次元を超えたコラボ”を目指したという小村くん役の伊藤昌弘さん、三重さん役の若山詩音さん、オーイシさんに同作やめがねへの思いを聞いた。

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 ◇小村くんと三重さんは欠落している?

 --作品の印象は?

 伊藤さん 原作がとにかく読みやすくて、年齢を問わずこんなキュンキュンしていいの?と自分の中の純粋な部分が刺激されました。思い出は、嫌なことがあっても、いいことばかり残っている感覚がありますが、そこをくすぐられるようなところもあります。

 若山さん 小村くんの目線で「三重さんが可愛い!」と描かれているところが多いですが、三重さん視点で読むと、小村くんが格好よく、優しいと感じるところがたくさんあって、どちらの目線でもドキドキできて、2倍楽しい作品です。すごくハマりました。

 オーイシさん マンガ友達から「俺たちの青春を取り返すぞ!」という感じで紹介されたことをきっかけに読んでいて、元々大好きな作品でした。日常系という名のファンタジーだと思っています。この年齢になると、学生時代が遠い過去になり、取りこぼした思い出、やりたかったことなどがありますが、それが詰まっているので、楽しく読んでいました。ホッコリしたり、キュンキュンしたりするすごくすてきな作品です。

 --確かに年齢を問わず楽しめるのが魅力です。

 オーイシさん そうですね。王道さがいいですし、飽きない仕掛けがあり、二人の関係性を読者が見守るという構図もすてきです。

 --小村くんの魅力は?

 伊藤さん “楓”という名前がぴったりすぎます。がたいがいい男性というわけではないけど、なよなよしているわけでもなく、この名前に集約されています。完璧です。

 若山さん そうですね!

 伊藤さん 三重さんに誠実に向き合っている小村くんの心の声をどこまでやっていいのだろうか?とも思っていたのですが、「もっと気持ち悪くお願いします」というディレクションをいただきました。会話と心の声によって小村楓という人間が表現できました。両極端ですし、幅の広さを感じました。

 若山さん 三重さん視点では、とにかく優しいイメージがあります。下心もありません。あるのかもしれませんが、そこを出さないんですよね。

 オーイシさん 僕は二人を見守る立場でお話しさせていただくと。両方ともちょっとおかしいじゃないですか(笑い)。何かが欠落している。例えば三重さんは、小村くんとの距離感がおかしい。小村くんは、世話焼き加減が過剰でおかしい、真っすぐさ加減もおかしい。おかしなところのデコボコがうまく噛み合って物語が進んでいき、いとおしく、見守りたくなります。三重さんだけ、小村くんだけでは成立しないですし、二人の相性によって生まれるブーストが魅力的です。

 -ー三重さんは?

 若山さん 確かに欠落していますね……。小村くんに対して警戒心が欠落しています。すごく親しい人への距離感で最初から迫りますが、小村くん以外にはそうではないので、あざといのかもしれません。

 オーイシさん あざといと言いますか、天然だから欠落しているのかもしれません。

 伊藤さん 三重さんは時々、クイを打ってきます。「小村くんになら恥ずかしいところを見せてもいいから」というせりふだったり、あざとさを狙い撃ちしてきて、小村くんをおかしくします。自然と飴と鞭を与えてくる。小村くんは、自己肯定感が低いのですが、三重さんは「優しい、格好いい」と思ってくれて、そのままの自分を肯定してくれます。でも、恐ろしいところもあります。

 ◇EDのオーイシマサヨシはストーリーテラー

 --オーイシさんはEDを手掛ける中で大切にしたことは?

 オーイシさん “アニソン界のめがね”ということもあり、オファーをいただいたようで、めがねを掛けていてよかったです! オファーをいただいた時から“次元を超えたユニット”、二次元のキャラクターである小村くん、三重さん、三次元であるオーイシマサヨシがコラボするというお話があり、次元を超えられるようにしようとしました。恋の行方、気持ちの揺れ動き、二人を見守る視点を大事にしながら、ストーリーテラーであるオーイシマサヨシが視聴者代表として楽曲の中で存在するという構図がすぐに思い付きました。視聴者目線で二人のやり取りを尊いと思えるように、小村くんパート、三重さんパート……と振り分けながら書きました。

 --これまでにない楽曲になった?

 オーイシさん そうですね、なかなか次元超えないのでドキドキしました。超えられるのか? マサヨシが耐えうるのか? めがねは割れないかな?と。ビッグバンド構成で、ショーを見ているような楽曲になっていて、小村、三重劇場の横でストーリーテラーが語っている構造をサウンドで表現しようとしました。赤い幕が上がり、そこから二人の物語が始まり、かくして二人は……と僕が場面を展開させるような楽曲です。僕としてはトライアルでしたが、次元を超えるという前提があったからこそできたことです。

 --ミュージカルのような印象も受けました。

 オーイシさん そうですね。僕もミュージカルが大好きで、よく見に行きます。ステージに小村くんと三重さんが立つと、どんな感じなのか?と想像しながら、楽器の構成を考えました。イメージがしっかりできていましたし、ピンポイントで狙うところも決まっていたので、曲を書くのも速かったです。二人が呼び起こしてくれた楽曲です。

 伊藤さん 壮大で豪華なサウンドで、三人で歌ったら、どうなるのだろう?とワクワクしました。小村くんとして歌うことに、時間が掛かってしまい、トライアンドエラーを重ねて、形になりました。すてきな曲に携わらせていただき、うれしかったです。いろいろなところに“めがね”が隠れているのかな?と感じるところもありました。サビの3発のトランペットが「め・が・ね」なのかな?と思ったり。

 オーイシさん そこは特に意味があるわけではなくて……。すみません! でも、今日からそういうことにしましょう(笑い)。

 若山さん 中毒性があって、メリーゴーラウンドのように頭の中でずっと回っていて、楽しいし、心地良くて、とにかく好き!と直感しました。一曲の中で小村くんと三重さんの関係をすてきに表現してくださっていて、作品への愛を感じました。私も楽しくハッピーになりながら、レコーディングに臨ませていただきました。デモの音源が、オーイシさんの仮歌だったので、私にできるの?とドキドキしました。収録の時は、作った方の前で歌うなんて……とすごく緊張しました。威圧的だったという意味ではないので、誤解のないように! すごく優しかったです。楽しく収録させていただき、本当に幸せです。

 --小村くん、三重さんの歌声の印象は?

 オーイシさん 伊藤くんとはイベントなどでご一緒させていただいたことがあったのですが、小村くんとしてはうますぎるんですよね。そこでトライアンドエラーが始まりました。小村くんにしてはビブラートが効きすぎている!となったり。カラオケでイニシアチブを取っている小村くんは嫌ですし。

 伊藤さん それは嫌ですね(笑い)。

 オーイシさん クラスでカラオケに行っても、最後に仕方なく曲を入れるような感じがしますしね。伊藤くんには、あえて小村くん寄りにして、少し歌唱力を抑えていただきました。難しい作業ですが、見事に達成していただき、伊藤くんの器用さが光ったレコーディングになりました。若山さんは最初から「三重さんだ!」となった。ホールインワンみたいでした。伊藤くんも一緒に現場にいて「三重さんだね!」と一緒に言っていました。若山さんはキャリアがあるのに、1年目の新人のように緊張していたのですが、キャラソンのレコーディング経験があまりなかったようでして。

 若山さん そうなんです。

 オーイシさん レコーディングに向けての練習をすごくしてくださっていましたし、そもそも最初からベースができている印象もありました。

 若山さん オーイシさんがすごく褒めてくださるので、自己肯定感が爆上がりでハッピーでした。幸せでした。

 オーイシさん 本気ですよ。レコーディングの尺を短くしたいから褒めたわけじゃないですよ(笑い)。格好良かったかな? アーティスト感が出ていた?

 若山さん 椅子の座り方が格好よかったです。オーイシさんの椅子がくるくる回っていて「レコーディングだ!」となりました。

 オーイシさん 大プロデューサーみたいだな(笑い)。ふんぞり返っていたかな?

 若山さん いやいや(笑い)。

 伊藤さん 難しさもありましたが、レコーディングでオーイシさんと一緒に作り上げることが、貴重な経験になりました。やり取りがすごく楽しかったです。

 --次元を超えた?

 オーイシさん そうですね……。超えましたね。

 若山さん 超えていたと思います。

 伊藤さん 超えました!

 オーイシさん 無理やり言わせたみたい(笑い)。

 --アニメソングの大型ライブイベント「Animelo Summer Live 2023 -AXEL-」に出演するなど今後のパフォーマンスも楽しみです。

 オーイシさん 楽しみですし、ドキドキします。

 若山さん 緊張します。ぜひアドバイスをお願いします

 オーイシさん 振り付けもありますが、間違えないように……というステージは面白くなくなるので、この場を楽しむ、見に来てくれた方に何かを持って帰ってほしいという気持ちが大事かもしれません。まともな意見を言ってしまった!

 若山さん ありがとうございます!

 伊藤さん 頑張ります!

 ◇初共演の二人 印象は?

 -ー伊藤さんと若山さんは初共演?

 伊藤さん・若山さん 初めてです。

 -ー互いの役者としての印象は?

 伊藤さん すごいです!

 若山さん え!?

 伊藤さん お芝居の解像度が高く、僕もすごくやりやすかったですし、ありがたかったです。

 若山さん 小村くんの心の声の迫力、力強さに圧倒されました。心の中で三重さんのことを思っているところが伝わり、失礼を承知で言うと、すごい!と感じました。小村くんは落ち着いた純朴な少年でもありますし、心の声と乖離(かいり)していないけど、違いがしっかりあって、私がやりやすいようにお芝居していただき、引っ張っていただきました。

 --オーイシさんが二人の演技を聞いた印象は?

 オーイシさん 小村くんは、実際に発している声、心の声の二面性があって、心の声が多く、そこの表現が分かりやすいですよね。三重さんは感情の起伏がなくて、なおかつ息の量が多い。若山さんはこの演技を何十年もやっていたのかな?と思うくらい魅力的です。「若山さんなの?」と二度見しました。

 -ーEDの制作にも影響があった?

 オーイシさん 小村くんと三重さんの声が魅力的だから、二人が歌っている時は、自分は引くという引き算がありました。二人の声が素晴らしいので、邪魔したくないと思っていました。

 ◇衝撃! 実家はめがね屋

 --伊藤さんと若山さんはめがねを掛けることはある?

 若山さん はい! 中学生の時、目がそんなに悪くなかったのに、めがねに憧れて、ちょっと見えにくいな……と親にアピールして、買ってもらいました。高校に入ったら本当に目が悪くなったので、めがねを掛けるようになりました。格好よく、賢そうで人と違うところに憧れていました。

 オーイシさん 分かります。僕は仕事の時だけめがねで、普段は裸眼ですから。視力。2.0なので。仕事の時、気合いを入れ、キャラクターを作るためにめがねを掛けているので、若山さんの気持ちがよく分かります。

 若山さん 実は今、裸眼なので、あんまり見えていません

 オーイシさん リアル三重さんじゃん! 伊藤くんも目が悪い?

 伊藤さん 掛け始めたのはここ2、3年くらいですね。実は実家がめがね屋でして。

 オーイシさん えー! 衝撃!! 選ばれるべくして選ばれたのか!

 若山さん 私も先日、聞いてすごくびっくりしました。

 伊藤さん 父が「このめがね、いいだろう」といろいろ見せてくれていたのですが、目が悪くないので、なかなか掛けられませんでした。でも掛けたかったので、無理やり作ってもらったことがありました。

 若山さん オーディションの時、実家がめがね屋と言っていなかったんですか?

 伊藤さん 言っていませんね。

 オーイシさん めがね忖度(そんたく)なしで、実力で勝ちとったんですね。

 --やっぱりめがねはいいものですね。

 オーイシさん めがねは世界を変えることができます。ぼんやりしたり、くっきり見えたりというのは、作品のテーマにもなっているので、そこをEDの歌詞に入れ込んでいます。「目が悪くてもよかった」とポジティブになれる作品です。

 --最後に放送を楽しみにしている人に向けてメッセージをお願いします。

 オーイシさん オープニングも素晴らしく、小村くん、三重さんの声もそうですが、耳が幸せな作品です。GoHandsさんの作画も本当に素晴らしく、髪の毛先まで細かく描写されていて、造形の細かさも魅力的です。見てもよし、聞いてもよしの素晴らしいアニメです。一クールにわたってEDを歌い続けるので、ぜひよろしくお願いいたします!

 若山さん 熱を入れてお芝居させていただきました。GoHandsさんの作画、音響効果もすばらしく、すごくこだわった作品で、小村くん、三重さん、オーイシさんで締めくくるすてきな流れがあります。また次が見たい!と思えるすてきな作品ですし、何回も見返してしていただきたいです。よろしくお願いいたします!

 伊藤さん スタートに向けて、怖い気持ちとわくわくする気持ちがあります。さまざまなプロフェッショナルの方が作品に携わり、そこに自分が声を当てることができて光栄です。原作が好きな方もアニメをきっかけに好きになってくださる方、いろいろな方に作品が届くことを願っています。イントロスキップもできる時代ですが、最初から最後まで楽しんでいただいて、一緒に歌ったり、踊っていただいたり、余すことなく楽しんでいただければ、うれしいです。

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