千葉翔也&富田美憂:「あやかしトライアングル」二人一役の挑戦 下心なしで真っすぐな祭里を

「あやかしトライアングル」の一場面(c)矢吹健太朗/集英社・あやかしトライアングル製作委員会
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「あやかしトライアングル」の一場面(c)矢吹健太朗/集英社・あやかしトライアングル製作委員会

 「To LOVEる -とらぶる-」などで知られる矢吹健太朗さんの恋愛ファンタジーマンガが原作のテレビアニメ「あやかしトライアングル」が7月10日からTOKYO MXほかで放送される。同作は今年1月に放送を開始したが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による制作スケジュールの遅延で、第6話までの放送となり、7月から“リスタート”して全12話が放送されることになった。人に害をなす妖(あやかし)を忍んで祓(はら)う少年・風巻祭里が、妖のシロガネとの戦いで秘術“性醒流転”によって、女性の体になってしまう……というストーリー。祭里は、二人一役で、千葉翔也さんが♂(男)、富田美憂さんが♀(女)を演じている。千葉さん、富田さんの息はぴったりで、男性から女性にシームレスに変化しているようにも感じる。千葉さん、富田さんに二人一役の挑戦について聞いた。

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 ◇こっそり読んでいたつもりが……

 --「To LOVEる」は伝説的なマンガです。思い出はありますか?

 富田さん 学生の時、クラスの男の子が「To LOVEる」も読んでいるのを見ていて……。

 千葉さん え!? こっそり読んでいるつもりだったけど、女子にバレてるんですね。

 富田さん バレてますよ(笑い)。

 千葉さん 「To LOVEる」はみんな読んでいましたが、学校で女子の前では話さない雰囲気があったんですけどね。男同士で、誰派?とか話すことはありましたけど。

 富田さん 私は弟がいるのですが、弟も読んでいましたね。

 --矢吹さんのキャラクターの魅力は?

 千葉さん とことん可愛く描き込まれている印象です。表情変化の破壊力がすごく強い。普段の表情も可愛いけど、ハレンチなことが起きた時、さらに破壊力が増します。ハレンチだから可愛いのではなく、常々可愛い。表情から、このキャラクターは、あのキャラクターが好きなのだろう……と伝わってきますし。やっぱり可愛いですね。

 富田さん やっぱり可愛いです。画力がすごすぎて、見開きのページもすごく印象に残ります。「あやかしトライアングル」と「To LOVEる-とらぶる-ダークネス」の合同上映会 の時、「To LOVEる」の話になって、マンガのコマから胸がちょっとはみ出る……という表現は矢吹先生が生み出したらしいんです。斬新ですよね。

 千葉さん 演出もすごいですよね。ただ隠すだけじゃなくて、「あやトラ」は熱さもあります。熱さとハレンチさの二枚看板で、エモいパートもあって、少年マンガだ!と感じました。

 ◇声質が似ている

 --これまで二人一役の経験はあった?

 富田さん 初めてでした。

 千葉さん 僕も初めてでした。

 --♂から♀への変化が自然です。

 富田さん うれしいです!

 千葉さん 富田さんがすごいからです。第1話の収録の時、富田さんに聞いていただいて、柔軟に演じていただけたからだと思います。

 富田さん 私も千葉さんも声質が、いい意味でクリアではないですし、似ているかもしれません。千葉さんがすごくクリアで、私がハスキーだったら、バランスが悪くなるかもしれませんが。

 千葉さん 確かに二人ともキーは高いけど、澄んでいる声ではないですよね。

 -ー富田さんは、千葉さんの演技を分析した?

 富田さん そうですね。

 千葉さん 分析するようなところはないですけどね(笑い)。幅を狭めないようにしたいとは思っていましたが。

 富田さん 私が幅を広げやすくなるように、演じていただいていると感じていました。例えば、すずに肩をポンポンされるシーンで、千葉さんだったらこうやるかな……とか考えてながら演じていましたね。第1話の仮アフレコがあった際、普段は台本の自分のせりふだけ書き込むのですが、千葉さんのせりふ、ディレクションも書き込んでいました。

 千葉さん 最初は「格好よすぎる」というディレクションがあって。「やんちゃな子供でいい」というお話でした。

 富田さん 思春期の多感な時期の男の子ですし、大人の男性とは音や感性が違うように感じていました。

 千葉さん ツッコミやリアクションははっきりしていますが、そこをより鮮明にやりたいと意識していましたね。女の子に対する下心のなさも考えていました。

 富田さん すずに対しても下心なしで、純粋に守りたい一心なので、下心が見えてしまうと、祭里ではなくなってしまいますしね。

 千葉さん 弥生が階段で転びそうになって助けるシーンでも迷いがないですし、真っすぐなところがありますよね。


 ◇予想の斜め上のシロガネ

 --玄田哲章さんが演じるシロガネも印象的です。

 富田さん 収録前、玄田さんが「にゃー」などのせりふをどう演じるのだろう?と思っていたのですが、いい意味で予想の斜め上でして、アフレコで笑わないようにするために必死になっています。

 千葉さん この作品でしか出てこないようなせりふが多く、どうするんだろう?と思っていても、玄田さんが演じられると、これが答えだったんだ!となりますよね。最高に面白いですし、シリアスとコミカルの切り替えがやっぱりすごい。笑わせてやろう!という感じではなくて、面白いのが本当にすごいです。

 富田さん 真面目にやればやるほど面白いですよね。

 千葉さん アドリブの尺も完璧で、びっくりしています。

 --市ノ瀬加那さんが演じる花奏すずや石毛翔弥さんが演じるニノ曲宗牙など個性的なキャラクターも魅力的です。

 千葉さん すずは、ハレンチなことを考えている時と食べ物のことを考えている時がすごく素直で、いやらしくない。絶妙ですよね。

 富田さん すずは普通の女の子で、純朴さもありつつ、後半になってくると、祭里に守られてばかりではダメだという意識も生まれてくるので、どんどん格好よくなっていきます。一本芯が通ったところも彼女ならではです。「あやトラ」の影響なのですが、別の現場で加那ちゃんに会ったり、一緒にイベントに出たりする時、何か守らなきゃ! 支えなきゃ!と思ってしまいます。母性とも違うし、この気持ちは何だろう? 加那ちゃんはすごくしっかりしているのに(笑い)。

 千葉さん ニノ曲先輩も面白いですよね。真剣にあたふたしていて、最初は二枚目として出てくるけど、後で遊べるという。

 富田さん 石毛さんと特番を収録した時に「歯がギザギザだから、ギザギザな感じを出すために口を開けすぎない」とおっしゃっていて、なるほど!と思いました。

 ◇クールな二人

 --互いの印象は?

 富田さん 悪い意味じゃないんですけどすごいなんか、最初は近寄りがたくて(笑い)。

 千葉さん 悪い意味じゃん(笑い)。

 富田さん クールなイメージがあったのですが、全然そんなことはなくて、面白いお兄さん!という感じです。

 千葉さん 人見知りするタイプなんで……。富田さんもクールそうだけど、バラエティーっぽいノリに乗っかっていただけて、うれしくなります。

 富田さん 現場にいても、人見知りすぎて、台本ばかり見てしまうのですが、話しかけられ待ちなんです。面倒くさい人ですよね(笑い)。

 --役者としての印象は?

 富田さん すごく考えて演じられていますし、あんまり感覚ではやっていなさそうなイメージです。

 千葉さん バレていますね。台本の中にあるものを表現したいんです。富田さんは、いろいろなキャラクターを演じられていますが、例えばキャラクターを可愛くする時、真っすぐに可愛さを150%表現する方というイメージがあります。

 --この作品で挑戦になったことは?

 千葉さん 幼少期の祭里も演じているので、年齢の幅が挑戦になりましたね。祭里は、もとのキーが高いこともあり、声質だけではなく滑舌なども調整しました。

 富田さん 男の子を演じるのが挑戦でした。格好いいところが前に出ているキャラクターデザインも今までなかったですし、新しい引き出しを開けていただきました。

 --放送を楽しみにしている人にメッセージをお願いします。

 富田さん シロガネ被り(露出が多いシーンをシロガネで隠すこと)がパワーアップしています。シロガネがパイナップルなどになっていて、隠している面積が小さくなったりしていて、面白いです! 祭里、すずの関係性に、変化が出てきますし、シロガネがどうなっていくのかも見どころですので、改めて第1話から見ていただきたいです。

 千葉さん 少年マンガらしい展開、恋愛要素など、この作品の魅力をぜひ堪能してください。それにキャラクターのことをみんな好きになる作品でもあります。すごく愛着がわきますし、それぞれが光るシーンがあるので、最後まで見守ってください。

 富田さん 中学生や高校生の男の子が学校で「昨日の『あやトラ』見た?」とか話してくれるとうれしいですよね。

 千葉さん それいいね!

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