名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
「週刊少年サンデー」(小学館)で連載中のマンガが原作の「葬送のフリーレン」。「マンガ大賞2021」で大賞に選ばれた話題作で、放送への期待が高まっている。「葬送のフリーレン」は、話題に事欠かない作品だ。初回は「初回2時間スペシャル ~旅立ちの章~」として日本テレビの映画枠「金曜ロードショー」で9月29日午後9時から放送される。金曜ロードショーでテレビアニメシリーズの初回が放送されるのは初めて。「ぼっち・ざ・ろっく!」などの斎藤圭一郎さんが監督を務めるなど豪華スタッフが集結した。主人公・フリーレンを演じるのは、「SPY×FAMILY」のアーニャ・フォージャー役などで知られる種崎敦美さんで、豪華声優陣が出演する。さらに、音楽ユニット「YOASOBI」がオープニングテーマ、シンガー・ソングライターのmilet(ミレイ)さんがエンディングテーマを担当。万全の体制で臨む“本気”の作品ということで、放送前から大きな話題を呼んでいる。アニメを手掛けるTOHO animationの田口翔一朗プロデューサーに、アニメ化への思い、制作の裏側を聞いた。
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「葬送のフリーレン」は、山田鐘人さん原作、アベツカサさん作画のマンガ。勇者一行が魔王を倒した後の物語を描く“後日譚”ファンタジーで、エルフゆえに長寿である魔法使いのフリーレンが仲間の死を経験し、“人を知る”ために旅をすることになる。コミックスの累計発行部数は1000万部以上。
同作は「週刊少年サンデー」で2020年4月に連載をスタートし、第1話が掲載されると、大きな話題を呼んだ。田口さんは、第1話に衝撃を受け、すぐにアニメ化に向けて動きだしたという。
「『サンデー』で第1話を読み、感動して、泣きました。すごいマンガが始まった!と。第1話の段階からアニメ化したいと強く思いまして、すぐに企画書を作り始めました。第1話の段階で、アニメ化の話を進めることは決して多くはありません。様子を見てから判断することが多いのですが、『フリーレン』に関しては、早めに動きました」
田口さんは「葬送のフリーレン」が「唯一無二」の作品であると感じたという。
「魔王討伐の世界を描いた作品もちらほらあったのですが、完成度、ドラマの作り込みが唯一無二です。フリーレンの仲間、今まで出会った人々への思い、人を思う真心をつむいでいく物語で、日常生活で忘れていたこと、分かっているんだけど気付きにくいことを再発見させられました。今をどう生きるか?というところに感動したんです。画(え)も非常に美しく、魅力的で引き込まれました。原作1話は特に見開きのページもインパクトが強かったです。せりふ回しにもグッときましたし、画、せりふ、物語の構築がとにかくすごいんです」
「葬送のフリーレン」を制作するのは「ワンパンマン」「Sonny Boy -サニーボーイ-」など数々の名作を世に送り出してきたマッドハウスだ。田口プロデューサーは、同社のあるプロデューサーと一緒に作りたいと思ったという。
「僕の役割としては、目標など大まかな地図を書き、アニメ化にあたり、スタジオさんに声を掛けたり、劇伴作家さんの候補出したり、主題歌をお願いしたり……というところに注力させていただいています。現場は、マッドハウスのプロデューサーの福士裕一郎さんと中目貴史さん主導で構築いただいています。私は元々、アニメスタジオ出身なのですが、アニメーションプロデューサーによって作品の質が大きく変わってくることを認識していたので、どのアニメプロデューサーとタッグを組むかが非常に重要になると考えていました。マッドハウスの福士さんのものづくりにかける情熱、業界から聞こえてくる人望も確かなものだったので、いつか仕事をしたいと思っていて、今回、ご一緒できることになりました」
制作をする上で「多くの人に広く長く愛されるアニメ」を目指して「葬送のフリーレン」の魅力をしっかり伝えていこうとした。田口さんは「アニメの『フリーレン』の魅力は大まかに三つあります」と語る。
「一つは、他者を思う気持ち、真心をつむいでいく物語、“ドラマ”です。この世界の魅力を届けられるように、丁寧に表現していこうとしました。『フリーレン』は、ただのハイファンタジーではなくて、少年マンガとも思っています。たとえば、少年マンガらしいバトルアクションもある。そのアクションにおいて、動きや音が付くことで、アニメならではの表現をしようとしました。『ワンパンマン』もそうですが、マッドハウスさんはアクションに非常に強いので、“アクションの魅力”を存分に発揮していただきたかった。最後に、“キャラクターの魅力”があります。愛嬌(あいきょう)あふれるキャラクターばかりですし、回を重ねるごとに、フリーレンの表情が豊かになっていきます。このキャラクターたちの魅力を知ってもらいたいと思っていました」
豪華スタッフが集結したことも話題になっている。特に注目を集めているのが、「ぼっち・ざ・ろっく!」などで知られる斎藤監督だ。
「福士さんとご相談した上で、実力が間違いないし、人望もあるし、求められていることをしっかり表現できる監督ということでご提案いただきました。信頼の厚い方です。アニメプロデューサーが現場を作るにあたってスタッフを構築するのが非常に重要なのですが、同様に監督の人望、手腕も重要になります。『あの作品をあの人がやるんだったらやりたい』という人も多い。『斎藤監督がやるんだったらやりたい』と言ってくださる方もいました。本当に多くの素晴らしいスタッフの方々に参加していただいており、斎藤監督、福士さん、中目さん両アニメプロデューサーの信頼、手腕でスタッフが集まってくれています」
斎藤監督は「ぼっち・ざ・ろっく!」で大きな注目を集めたが、同作がテレビアニメシリーズの初監督だった。「葬送のフリーレン」で監督をオファーしたのは「ぼっち・ざ・ろっく!」の放送前だった。
「オファーした時は、斎藤監督はテレビアニメシリーズの監督はまだやっていませんでした。だから、その後に『ぼっち・ざ・ろっく!』が大ヒットして、改めてその実力に驚きました。『ぼっち・ざ・ろっく!』は本当にすごい作品です。映像で遊ぶという気概を感じ、情熱を持って新しい映像を表現していました。『フリーレン』は本編はもちろん、オープニング、エンディングにも斎藤監督のこだわりが現れているので、視聴者の皆様には本編同様に何度も見ていただきたいです」
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」やアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」などで知られるEvan Call(エバン・コール)さんが音楽を担当する。
「企画の段階からぜひお願いしたいと考えていました。個人的に『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が好きでして、Evanさんのインタビューを読むと、ものづくりに対して真摯(しんし)ですし、ぜひこの方とご一緒してみたいと以前から思っていたんです。『フリーレン』の世界観は壮大で、その世界観をきっちり表現していただける楽曲を作ってくださいました。初回の2時間スペシャルに関しては、全編にわたってフィルムスコアリングでお願いしています。テレビアニメは、映像ができる前に、劇伴を発注することが多いのですが、今回は映画と近い手法で、映像を先に用意して、音楽を作っていただいています。ぜひサントラも聴いていただきたいです。本当に素晴らしい劇伴です」
「葬送のフリーレン」には、豪華スタッフが集結し、熱い思いを持って制作している。
「斎藤監督をはじめ、どのスタッフの方々も本当に素晴らしいんです。堅実、丁寧に作品を作っていただいていて。芝居、動物の動きなども細やかで、例えばフリーレンが草に触れるシーンも彼女らしさが感じられる。小物、ディティールも緻密です。コンセプトアートの吉岡誠子さんには、この世界、この地域、この季節だから、こういう植物が生えている……と緻密に世界観を設計いただいています。例えば、鍵一つを見ても、鍵穴、鍵の仕組みなどを用意していただいていたり、摘んでいる草にも設定があるなど細かいんです。そしてバトルアクションもびっくりするような映像になっています。シリーズ構成の鈴木智尋さんには、アフレコ、ダビングに毎回来ていただき、ご意見をいただいています。熱量の高い方たちが一丸となって作っており、男女、年齢問わず幅広い人に長く愛される、ある種国民的なアニメにできれば、と思っています。」
神は細部に宿るはず。細部までこだわり抜き、丁寧にアニメ化しているようだ。
金曜ロードショーで初回が放送され、以降は、日本テレビが新設するアニメ枠「FRIDAY ANIME NIGHT(フラアニ)」で、10月6日から毎週金曜午後11時に放送される。最高の舞台が整っており、放送に向けて期待が高まる。
※種崎敦美さんの「崎」は「たつさき」
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