下地紫野:アニメ「SHY」インタビュー シャイなシャイに共感 ヒーローは「母」

「SHY」の一場面(c)実樹ぶきみ(秋田書店)/SHY製作委員会
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「SHY」の一場面(c)実樹ぶきみ(秋田書店)/SHY製作委員会

 「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)で連載中の実樹ぶきみさんの人気マンガが原作のテレビアニメ「SHY(シャイ)」が、10月2日深夜0時からテレビ東京ほかで放送される。人前に出るのが超絶苦手な“恥ずかしがり屋”の少女ヒーローのシャイ/紅葉山テルの活躍を描くマンガで、下地紫野さんがシャイを演じる。自身もシャイなところがあるという下地さんに、同作について聞いた。

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 ◇地元・沖縄では性格が少し変わる!?

 「SHY」は、「週刊少年チャンピオン」で2019年から連載中。各国に突如現れた超人的な力を持ち、平和を願うヒーローによって、戦争がなくなった世界を舞台に、“恥ずかしがり屋”の少女ヒーローのシャイの活躍を描く。

 シャイの正体は、恥ずかしがり屋で人見知りな中学2年生の紅葉山テルだ。シャイは、悩み、苦しみながら人を救うために立ち上がる。シャイは物語の冒頭、いきなり挫折する。

 「最初、いくらシャイだとは言っても……と胸をつかまれるような衝撃を受けました。どんどん読み進めて、止まらなくなりました。ギャグのシーンも可愛らしく、すごくすてきなお話です。キレイで繊細でとても可愛らしくて、実樹先生の絵もすごく好きです」

 下地さん自身もシャイなところがあるといい、シャイに共感した。

 「こんなことを言うのは、恥ずかしいのですが、自分だ……と思いました。自分に自信がなくて、共感するところがありました。私も実はしゃべるのがあまり得意ではなく、声優なのに苦手ではよくない、と思っています。自分が今やっていることと、自分自身の性格のすれ違いみたいなものがあり、そこに共感しました。シャイは、強いところもありますし、芯として大切にしているものもあります。そこに無自覚なのが可愛く、体当たりしていくところに、すごく憧れますし、勇気をもらえます」

 下地さんはシャイではあるが、地元・沖縄に帰ると、性格が少し変わるところもあるという。

 「高校を卒業するまで地元・沖縄にいて、上京したのですが、沖縄の下地と東京の下地はちょっと性格が違うんです。沖縄では、ちょっと陽気になる(笑い)。東京の私は、シャイに似たようなところがあるんです。地元に帰ると、安心感もあるのかもしれませんが、少し開放的になります」


 ◇こんなにオドオドしていたんだ……

 シャイは内気で普段はオドオドしているが、ヒーローとしての強さが垣間見えるところもある。

 「どこまで吹っ切れば、彼女から外れないのか? とバランスを考えました。自分に自信がないことを自覚していて、それでもなかなか勇気が出ないけど、自分を変えたいという気持ちも持っています。そこを意識しています。オドオドした演技は苦手ではないなと感じています(笑い)。映像を客観的に見て、こんなにオドオドしていたんだ……と思いました」


 個性的なキャラクターも続々と登場する。シャイのヒーロー活動をサポートしてくれる相棒・えびお(エヌ=ヴィリオ)は、杉田智和さんが声優を務める。

 「すごくすてきです! 杉田さんが演じられると聞いて、どんなえびおさんになるの!?と思っていたら、すてきなお兄さん、お父さんのような優しい声色で、見守ってくれる感じなんです。えびおさんは、動いているとより可愛いです。マスコット的な可愛さが引き立っていて、ほしくなります。肩に乗るようなグッズがほしいです。わがままを言うと、杉田さんの声も聞けるとうれしいです。アプリもいいですね。タッチするとえびおさんの声がする! 『元気出せよ!』と言ってくれたらうれしくなります」

 シャイの正体を知る唯一の一般人の小石川惟子も重要なキャラクターだ。明るく活発な性格の中学2年生で、東山奈央さんが演じる。

 「すごくいい子で可愛くて、わざとらしくなくあの演技ができるのは、奈央さんだけだと思っています。ロングヘアで可愛らしいのに、おしとやかな口調ではない。少年っぽいところもあって、それがすごく自然なんです。奈央さん自身が惟子ちゃんのようなところもあって、好きになります」

 ◇沢城みゆきさんとの戦闘シーンで刺激

 杉田さん、東山さんら共演者から刺激を受けることも多かった。

 「共演者の方は、ほとんど先輩なんです。主人公を演じることで、頑張るのはもちろんなんですけど、先輩たちと共演させていただく中で、新たな何かを見つけ出したいという気持ちでアフレコに臨んでいました。結局、まだまだ未熟だな……と思ったり。皆さんが優しく見守っていただき、たくさん助けていただきました」

 強敵も続々と登場する。ツィベタ役の沢城みゆきさんらと共演する中でも大きな刺激を受けた。

 「皆さん素晴らしいのですが、沢城みゆきさんと一緒に収録させていただいた時、沢城さんが隣のマイクで第一声を発すると、スタジオの空気が変わったように感じました。敵キャラクターですし、私がしっかり対峙(たいじ)しなければいけない! という気持ちになりました。沢城さんの一言で、すごく乗ることができて、なんだこれは!? となりました。すごかったです。シャイは物理的にも戦いますが、心を交わして、敵に向かっていくところもあります。とても素晴らしい時間を過ごさせていただきました」

 戦闘シーンは苦労するところもあったというが、シャイと心を一つにして乗り越えた。

 「実は、アニメで戦闘シーンをあまりやったことがなくて、シャイはおなかから声を出して戦うわけではないので、苦労したところです。音響監督の濱野(高年)さんに、あまり経験がないことを早々に見抜かれました(笑い)。アドバイスをいただきながら、何度もリテークを重ね、追い込まれる中で、シャイがリンクして出たものがあったと思いますし、すごく鍛えていただきました。家で台本を読んでいて、パンチするシーンが想像できなかったので、実際にパンチをしてみたら、壁をなぐってけがをしたこともありました(笑い)。クッションを投げて、パンチをしようとしたのですが、タイミングが合わなくて壁をなぐってしまい……。恥ずかしいですね。本当に痛い時は声が出ないんだ……と思ったり(笑い)」

 ◇母は特別な存在

 ヒーローの活躍を描くアニメということもあり、「下地さんにとってヒーローは?」と聞いてみた。

 「母かな? と思っています。いつも相談に乗ってもらっているし、迷っている時に背中を押してくれる存在です。私は一人っ子なので、姉のようであったり、お友達みたいな存在だと勝手に思っていて、特別な存在ですね。上京してから特にその気持ちがより強くなりました。母も私のことが大好きで、沖縄でオンエアされていない作品もどうにかして見てくれています。私は『見たよ』と言われると恥ずかしいので、それをあえて言わないんですけど。イベントがあった時、終わってから控え室に戻ったら『お疲れ様』と連絡があるんです。いつイベントに出ているかも知ってくれているんです。母は、やっぱりヒーローですね。『SHY』には、親子の絆も描かれていて、原作を読んで、大泣きしました」

 「SHY」は、家族の絆など大切なことも描いた作品だ。

 「シャイのような感情は、少なからず誰もが持っているものだと思います。いろいろなキャラクターがいろいろなものを背負っていて、共感できますし、明日は誰かに優しくしよう、ちょっとだけ勇気を出してみよう、と思っていただける作品です。もしよかったら、自分にももう少し優しくしようって思っていただけると、すごくうれしいです。最初から衝撃的な展開もありますが、可愛らしいお話もあって、楽しんで優しい気持ちになれるはずです。ぜひ原作も合わせて楽しんでいただけると、うれしいです」

 熱い思いで臨んだ下地さんの演技にもぜひ注目してほしい。

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