全領域異常解決室
第7話 すべてお話します 物語はここから始まった
11月20日(水)放送分
10月16日にスタートしたNHKの“夜ドラ”「ミワさんなりすます」(総合、月~木曜午後10時45分)で主演を務める松本穂香さん。ドラマは、他人になりすまし、“推し”の家に潜入した映画マニアの29歳フリーターが主人公の、“バレたら終わりの、サスペンスフル・コメディー”だ。すでに撮影を終え、「周りの皆さんに引っ張ってもらったというのが大きいです」と振り返り、「とても恵まれた環境で、監督だけでなく、スタッフさんも、私が演じやすいように気にかけてくださって。同じ方向に向かおうとしてくださる方が近くにいると、すごく力になるなと今作で感じました」とも明かす松本さんに話を聞いた。
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ドラマは、青木U平さんの同名マンガの実写化。映画の知識だけが取り柄の久保田ミワ(松本さん)は、まさかの出来事をきっかけに“推し”の国際的俳優・八海崇(堤真一さん)のもとで家政婦として働くことになる。「なりすまし」がいけないのはわかっている、でも“推し”の近くで働き続けたいミワは、襲い来るいくつもの身バレの危機を乗り切れるのか……というストーリー。
自己肯定感が低かったが、映画への純粋な愛と誠実さで、八海と唯一無二の関係性を築いていくミワさんだが、松本さんが演じる上で意識したのは「謙虚さ」だという。
「ミワさんがやっていることは犯罪でもあるのですが、それは(周りに)流されての結果でもあって、ミワさん自身はあまり主張をしない性格。『いやいや、私なんかが』という、その謙虚さは大事にしました」
映画に対しては人一倍の熱量と“こだわり”を持っているものの、それ以外に関しては、ふわふわと流されやすく、松本さんいわくミワさんは「演じる上ではつかみどころのない役」。必然、受け身の芝居が多くなった。
ドラマには、ミワがなりすましている「美羽(みわ)さくら」張本人役で恒松祐里さん、八海の敏腕マネジャーで、ミワに疑惑の目を向けることもある藤浦華純役で山口紗弥加さんらが出演。松本さんは「安心して委ねられる方たちばかりでした」と明かす。
「ミワさんは主人公だけど受け身で、自分からシーンをかき乱すことをしない。相手のお芝居あってのミワさんの面白さ、翻弄されている面白さが出るんだなと感じ、意識しながら演じました」
ドラマには、原作のシュールさがしっかりと反映され、純粋にコメディーとしても楽しめる。松本さんも「“推し”が目の前にいると、人ってどうなってしまうのだろう、とか。想像を掻(か)き立てられる面白さがあると思う」と話す。
「ミワさんと本物の美羽さんとの関係性をはじめ、異様な状況が多いのですが、その異様さの中に、なんだか可愛さもあって、それをひっくるめて、いい意味で変で面白いドラマになっていると思います」
劇中には「“推し”とファンの関係性を改めて考えさせられる場面」もあったりする。
「推し活というか、“推し”の存在を原動力にしている方もたくさんいると思うので、自分に当てはめながら、妄想しながら楽しんでもらえたらうれしいです」
松本さんで、NHKのドラマといえば、“メガネっ娘”の青天目澄子を演じた2017年放送の連続テレビ小説(朝ドラ)「ひよっこ」を思い起こす視聴者も多いことだろう。
「いろいろと任せてもらえて、自由に演じさせてもらった現場。周りも同世代の女の子たちだったので、仲間でありつつも、刺激を受けながら、なかなか経験できないことをたくさんさせてもらったなと振り返るたびに思います」
「ひよっこ」以降も、順調に作品を重ね、いまや主演を務めるようにもなった松本さんだが、「『面白かったです』とか、温かい言葉をもらって、やっと安心できる」とか。
「それは、作品を通して、みんなとつながることができたと充足感を得られる瞬間でもあって。学生の頃は、そんなに人と交流するタイプではなかったので、そんな私が、こんなにたくさんの人とつながっている、という不思議さもあります」