解説:小池栄子 同業者も認める“不世出”の実力

小池栄子さん
1 / 1
小池栄子さん

 日本テレビ系で放送中の連続ドラマ「コタツがない家」(日本テレビ系、水曜午後10時)で、主演を務めている俳優の小池栄子さん。朝ドラ、大河をはじめ数多くの作品で印象的な役を演じてきた小池さんだが、民放のゴールデン・プライムタイム(GP)帯の連ドラで主演するのは初めて。そんな小池さんの経歴を振り返りつつ、その魅力を解説したい。

ウナギノボリ

 ◇

 抜群のプロポーションでグラビアアイドルとして活躍しながら、数々のバラエティー番組でもタレントとして欠かせない存在になっていた小池さん。そんな小池さんが、女優として注目を集めたのは、2005年に放送された連続ドラマ「大奥~華の乱~」(フジテレビ系)で演じたお伝の方(瑞春院)だろう。大きな目から放たれる鋭い“眼力”で、視聴者に大きな印象を与えた。

 2008年に公開された映画「接吻」(万田邦敏監督)では、テレビで見た殺人事件の容疑者にひかれ、獄中結婚する遠藤京子を演じ、「第63回毎日映画コンクール」の女優主演賞など数多くの賞を受賞。さらに2011年公開の映画「八日目の蝉」(成島出監督)では、主人公に近づくルポライターの安藤千草役で、「第35回日本アカデミー賞」助演女優賞や「第85回キネマ旬報ベスト・テン」助演女優賞を受賞した。


 その後もドラマ「世界一難しい恋」(日本テレビ系、2016年)での敏腕社長秘書、「母になる」(同、2017年)では、誘拐された子供を“母”として育てる難役、「俺の話は長い」(同、2019年)では、娘との関係に悩むバリキャリとして軽妙な会話劇を繰り広げた。

 そして「美食探偵 明智五郎」(日本テレビ系、2020年)で平凡な主婦から殺人鬼へと変貌を遂げる“マグダラのマリア”、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022年)では、“日本三大悪女”にも数えられる北条政子を好演。強烈なインパクトを与えた。

 ◇

 小池さんの魅力として、高い演技力とともにしばしば挙げられるのが強い“目力”だ。きつめにも見える目力の強さは、悪役や強烈なキャラクターを演じる上で大きな武器になっているし、逆にあえてそれを封印することによって、視聴者にさまざまな期待を抱かせてくれる。

 「ダウンタウン」の松本人志さんや「爆笑問題」をはじめとした大物芸人たちと共演してきたバラエティースキルもまた俳優としての魅力に貢献しているだろう。現在も「クレイジージャーニー」(TBS系)のMCや経済情報番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)のインタビュアーを担当。ともすれば強い目力は冷たく近寄りがたい印象を与えてもおかしくないが、バラエティーでは役柄ではなく“小池栄子”としての姿を見ることができ、小池さんの魅力を深めている。さらに、現場での対応力が必要とされる舞台の世界でも小池さんは、「グッドバイ」で読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞。アドリブ力を問われるバラエティーでの経験も武器になったのではないか。

 「あの人を超える人はおれが生きてる間にはいない」。先日放送されたバラエティー番組「二軒目どうする?~ツマミのハナシ~」(テレビ東京系)で、人気グループ「TOKIO」の松岡昌宏さんが、芝居とバラエティーを高いレベルで両立している小池さんのことを称して口にした言葉だ。そんな“不世出の俳優”の民放GP帯初主演作となった「コタツがない家」は、吉岡秀隆さん、小林薫さんといった演技巧者たちとの笑って泣けるホームコメディーとして話題を呼んでいる。今後の展開にも注目だ。

芸能 最新記事