趣里さんがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説（朝ドラ）「ブギウギ」（月～土曜午前8時ほか）。「東京ブギウギ」や「買物ブギー」などの名曲を歌った戦後の大スター・笠置シヅ子さん（1914～85年）が主人公のモデルで、歌と踊りに向き合い続けた歌手の波瀾（はらん）万丈の物語をフィクションとして描いている。劇中に登場する梅丸少女歌劇団（USK）のモデルとなったのが、2022年に100周年を迎えた「OSK日本歌劇団」だ。ここでは、かつて笠置さんが在籍し、大阪の伝統文化として今も多くの舞台で活躍する同歌劇団の歴史を紹介する。

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　◇創立から終戦まで　「桃色争議」も

　OSK日本歌劇団の歴史は、1922（大正11）年に大阪の天下茶屋に「松竹楽劇部生徒養成所」が創立されたことから始まる。翌年には、道頓堀に大阪松竹座が開場し、「松竹楽劇部」の第一回公演「アルルの女」が上演された。

　1928（昭和3）年には、東京浅草に「松竹座」が開場し、大阪から松竹楽劇部生110人が上京。こけら落としに「虹のおどり」を上演し評判となる。これを受け、東京でも楽劇部を作ることになり、10月に発足。これが、のちの「松竹歌劇団（SKD）」となる。

　1933（昭和8）年、松竹楽劇部のオーケストラ楽団員と劇団員による、待遇改善を求めたストライキが決行される。公演は中止され、劇団員たちは高野山金剛峯寺にたてこもった。この状況を、当時の新聞は「レビューガールによる『桃色争議』」と書き立てた。

　1934（昭和9）年、大阪・千日前の東洋劇場を大阪劇場（大劇）と改称。松竹楽劇部も「大阪松竹少女歌劇団（OSSK）」と改称され、大阪劇場が本拠地となる。1943（昭和18）年には、「大阪松竹歌劇団（OSK）」に改称。1941（昭和16）年に始まった太平洋戦争の戦局も厳しくなり、公演にもさまざまな制限が加えられるようになる。

　1945（昭和20）年の大阪大空襲で、道頓堀や千日前をはじめ、大阪市内は焼け野原に。当時の本拠地・大劇も全焼したが、大阪松竹座は奇跡的に焼け残り、OSKは空襲後も松竹座で公演を続けた。

　◇創立50周年記念祭典に笠置シヅ子が登場　

　1957（昭和32）年に松竹から「株式会社大阪松竹歌劇団」として独立。1963年には、OSKを「日本歌劇団（NKD）」に、1970（昭和45）年には「OSK日本歌劇団」に改称。1971（昭和46）年には、近鉄グループ傘下に参入する。

　1973（昭和48）年、「創立50周年記念祭典」をフェスティバルホールで上演。OSKのOGである笠置シズ子さん（旧芸名）、京マチ子さん、勝浦千浪さんらをゲストを迎え、1万5000人の観客を動員する。

　1982（昭和57）年には、創立60周年記念公演「秋のおどり 楊貴妃」を、あやめ池円型大劇場で上演。1992（平成4）年、70周年記念公演「Dancing Wave ARABESQUE」を近鉄劇場、愛知文化講堂、東京ゆうぽうと簡易保険ホールで上演する。

　2002（平成14）年には、創立80周年記念あやめ池特別公演「Dance for Tomorrow～PLAY-BACKスペシャル」を上演。約40人による迫力あるラインダンスを披露した。

　◇一時解散も再結成　「ブギウギ」に男役スター・翼和希が出演

　2003（平成15）年、近鉄の支援打ち切りで解散が決定する。近鉄OSK最終公演「Endless Dream～終わりなき夢～」を近鉄劇場で上演。5月25日に千秋楽を迎え、5月31日にOSK日本歌劇団の解散式が行われた。同年8月には団員有志による「OSK日本歌劇団存続の会」として活動を継続し、立ち上げ公演「熱烈歌劇re-BIRTH」を近鉄劇場で上演。翌年6月には、OSK日本歌劇団存続の会が、OSK日本歌劇団の正当な継承団体として承認され、「New OSK日本歌劇団」として活動を開始した。

　2007（平成19）年には、ワンズ・カンパニーの傘下に入り、「OSK日本歌劇団」と改称。2009（平成21）年に同社から独立し、「株式会社OSK日本歌劇団」として運営を開始。2018（平成30）年にネクストウェア株式会社の子会社になる。2022年（令和4年）には、記念すべき創立100周年を迎え、現在に至る。

　2023（令和5）年には、朝ドラ「ブギウギ」に全面協力。レビューシーンでは、約30人の劇団員が出演しているほか、OSK日本歌劇団の男役スター・翼和希さんがヒロイン・スズ子（趣里さん）のUSKの先輩、橘アオイを演じ、注目を集めた。

　そんなOSK日本歌劇団は、10月31日放送の大阪発の音楽番組「第23回わが心の大阪メロディー」（NHK総合、午後7時半）に登場。本物の歌とダンスで番組を盛り上げるという。放送に注目だ。