解説:「スクール☆ウォーズ」から「下剋上球児」まで 脈々と受け継がれるTBSスポーツドラマの系譜

連続ドラマ「下剋上球児」第3話の一場面 (C)TBSスパークル/TBS 撮影:Len
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連続ドラマ「下剋上球児」第3話の一場面 (C)TBSスパークル/TBS 撮影:Len

 TBS系「日曜劇場」枠(日曜午後9時)で放送されている高校野球をテーマにした鈴木亮平さん主演の連続ドラマ「下剋上球児」。同枠でスポーツをテーマにしたドラマといえば、野球を題材にした「ルーズヴェルト・ゲーム」(2014年)、ラグビーを扱った「ノーサイド・ゲーム」(2019年)が思い当たる。どちらも社会人スポーツが舞台になっているが、同局のドラマで高校の運動部を扱ったドラマといえば、ラグビー部が舞台の伝説のドラマ「スクール☆ウォーズ」(1984年~)や野球部なら「ROOKIES」(2008年~)がある。TBSに受け継がれてきたスポーツドラマの系譜を紹介し、その魅力を解説する。

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 「下剋上球児」は、教師の夢を捨て切れず32歳で大学に再入学して高校教師になった南雲(鈴木さん)が、廃部寸前の野球部の顧問になり、甲子園を目指す物語。菊地高弘さんの同名ノンフィクション(カンゼン)にインスピレーションを受け企画。登場人物や学校、あらすじはすべてフィクションとして描く。「最愛」(2021年)など同局の人気ドラマで知られる新井順子プロデューサーと塚原あゆ子監督が手がける。

 ◇弱小高校が全国大会へ 実話を基にしたストーリーも共通「スクール☆ウォーズ」

 「スクール☆ウォーズ~泣き虫先生の7年戦争~」は、1984~1985年に放送され、社会現象を巻き起こした学園ドラマ。1990年には続編が作られた。京都市立伏見工業高校ラグビー部とその監督で元ラグビー日本代表の山口良治さんの実話をつづった馬場信浩さんのノンフィクション「落ちこぼれ軍団の奇跡」を基に、フィクションとして制作された。

 山下真司さんがラグビー部監督の滝沢賢治、松村雄基さんが元不良のラグビー部キャプテン・大木大助、小沢仁志さんが賢治を挑発する不良の水原亮、伊藤かずえさんが森田光男(宮田恭男さん)のガールフレンドの富田圭子など、その後、活躍した俳優たちが多数出演していた。

 荒廃した高校の弱小ラグビー部が全国大会で優勝するまでの軌跡という展開が、「下剋上球児」と重なる部分もあり。大映テレビ制作でTBSで放送されたが、TBSのスポーツドラマの源泉は39年前のここから始まったのかもしれない。

 ◇球児メンバーに現在活躍する俳優たちがそろい踏み「ROOKIES」

 「ROOKIES」(2008年)は、佐藤隆太さん演じる型破りの高校教師と、はみ出しものの野球部員たちが、訪れるさまざまな試練に立ち向かいながら、夢の甲子園を目指すストーリー。森田まさのりさんの人気マンガが原作で、ドラマは大ヒットし、2009年には映画化もされた。

 二子玉川学園高校(通称ニコガク)に赴任してきた新人教師の川藤幸一(佐藤さん)は、かつては甲子園出場を果たしたが不祥事で活動停止に追い込まれ、不良のたまり場となっている野球部の立て直しをはかる。

 球児役で現在活躍している俳優たちが数多く出演しているのも見どころだ。エース・安仁屋恵壹役の市原隼人さんをはじめ、佐藤健さん、城田優さん、中尾明慶さん、桐谷健太さんら人気俳優たちの15年前の初々しい姿を見ることができる。

 「下剋上球児」でも、半年間におよぶオーディションで選ばれた越山高校のメンバー12人には、注目の若手俳優や元甲子園球児などが顔をそろえた。今後、ここから活躍する俳優が育っていくかもしれない。

 ◇「ルーズヴェルト・ゲーム」では工藤阿須加に注目

 TBSの看板ともいえる「日曜劇場」枠に目を向けると、社会人野球を舞台にした、唐沢寿明さん主演の「ルーズヴェルト・ゲーム」(2014年)が真っ先に思い浮かぶ。

 同作は、「半沢直樹」の池井戸潤さんが手がけた企業小説が原作で、中堅精密機器メーカー「青島製作所」の存亡と同社の名門社会人野球部の廃部を懸けた攻防が描かれた。

 野球部のメンバーには、手塚とおるさん、高橋和也さん、和田正人さんのほか、プロ野球・福岡ソフトバンクホークス元監督の工藤公康さんの長男、工藤阿須加さんがエースピッチャー役で出演し注目された。阿須加さん自身は野球経験はなく、約100人の応募者からオーディションで役を射止めると、父に相談し、指導を仰いだという。

 ◇「ノーサイド・ゲーム」で元ラグビー日本代表の廣瀬俊朗が俳優デビュー

 競技は異なるが、ラグビーを扱った大泉洋さん主演の「ノーサイド・ゲーム」が2019年に「日曜劇場」枠で放送された。

 「ノーサイド・ゲーム」も池井戸さんが原作。大手自動車メーカー「トキワ自動車」本社で働いていたが工場に左遷され、低迷中のラグビーチーム「アストロズ」のゼネラルマネジャー(GM)を兼務することになった君嶋隼人(大泉さん)が、自身とチームの再起に挑む姿を描いた。

 ラグビーチーム「アストロズ」を引っ張る不動のエース・浜畑譲役で、ラグビー元日本代表の廣瀬俊朗(ひろせ・としあき)さんが俳優に初挑戦し、話題になった。

 ほかにも柴門琢磨監督で大谷亮平さん、キャプテン・岸和田徹役で高橋光臣さん、若手メンバーの七尾圭太役で眞栄田郷敦さんらが出演した。

 「日曜劇場」では他にも、ストレートなスポーツドラマではないが、陸上のランニングシューズの開発を巡る物語が展開した役所広司さん主演の「陸王」(2017年)、スポーツマネジメントの世界を描いた綾野剛さん主演の「オールドルーキー」(2022年)などもある。

 主演のみならず、チームのメンバーにもそれぞれ焦点が当てられる回があるなど、群像劇としても魅力があるTBSのスポーツドラマ。「下剋上球児」でも主人公の南雲(鈴木さん)だけでなく、球児メンバーにも注目して見て行きたい。第3話は10月29日午後9時から放送。

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