下剋上球児:新井P&“脚本”奥寺佐渡子に聞く最終回 「人生は敗者復活戦」 “南雲”鈴木亮平の無免許設定の裏側も

ドラマ「下剋上球児」最終回の一場面(C)TBS/撮影:ENO
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ドラマ「下剋上球児」最終回の一場面(C)TBS/撮影:ENO

 「日曜劇場」枠(TBS系、日曜午後9時)で放送中の鈴木亮平さん主演の連続ドラマ「下剋上球児」。12月17日放送の最終回では、ついに決勝進出を決めた越山高校野球部の運命の試合の模様が描かれる。「野球のその先にあるものが何なのかを見てほしい」と話す新井順子プロデューサーと、脚本を手がけた奥寺佐渡子さんに、本作の制作について振り返ってもらった。

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 ドラマは、教師の夢を捨てきれず32歳で大学に再入学して高校教師になった南雲(鈴木さん)が、廃部寸前の野球部の顧問になり、甲子園を目指す物語。菊地高弘さんの同名ノンフィクション(カンゼン)にインスピレーションを受け企画。登場人物や学校、あらすじはすべてフィクションとして描いてきた。

 舞台となる越山高校野球部の球児キャスト12人は、半年間に及ぶオーディションを経て選ばれたが、奥寺さんは「(脚本の)イメージにぴったりの人たちが来て、すごく驚きました。オーディションで役者さんを選ぶってこういうことなんだろうなと思いました」と振り返る。

 試合のシーンは「想像以上」と感じたといい、「プレーのうまさ、フォームの美しさに目が奪われました」と話す。そんな球児キャストたちの撮影現場での様子は、制作スタッフから情報が届けられ、脚本に反映され、自然とあて書きになった部分もあるという。

 「“無駄話”を書くのが好きなので、意味のないシーンは書いていてすごく楽しかった。現場でアドリブも足してもらったりしているので、仕上がりがいつも楽しみでした」

 第3話では、南雲が「教員免許を持たずに高校教師をしていた」という衝撃の事実を山住(黒木華さん)に告白する展開で、SNSで話題になった。原案では、“免許がない”という設定はなかったというが、新井さんは「主人公は先生なので、球児だけではなく、先生も下剋上しないといけないのかなというのがあって。南雲をどうやって成長させていくのかを考えたときに、物語上必要な設定だった」と話す。

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 2021年放送の人気ドラマ「最愛」をはじめ、「Nのために」「わたし、定時で帰ります。」などでタッグを組んできた奥寺さんの脚本について、「セリフがすばらしい」と話した新井さん。「塚原(あゆ子)監督も言っていましたけど、“優しい”っていうのがぴったりで。何気ないひと言がぐっとくる」と印象を話す。

 話題作を生み出す二人に、テレビドラマを制作する上で大切にしていることを聞いてみると、新井さんは「やっぱりキャラクターの成長ですよね。最終回まで同じままでなくて、何かしら変わっていっている感じとか、そこが大切です」と話す。現実で起こらないような「劇的なこと」はやらないようにしているという。

 奥寺さんは、「毎週、この人(登場人物)たちに会いに来てもらいたい」と考えており、「今回、南雲先生も含めて、とくに成長を見届けてほしいなというのはありました」と話す。

 いよいよ最終回では、南雲と生徒たちの“日本一の下剋上”がかかった運命の試合がスタートする。奥寺さんは、「南雲自身も高校時代に決勝で負けているという苦い思い出もあって。もう一回ここで生徒たちにチャンスを与えてもらって、人生は敗者復活戦、というところ」と見どころを語る。

 新井さんは、「野球のその先にあるものが何なのかを見てほしいです。勝っても負けても大会は終わってしまうから、大会が終わった後に、南雲含めた彼ら彼女たちがどういう道を歩んでいくのかというところをぜひご覧ください」と呼びかけた。

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