パリピ孔明:孔明の漢服は製作期間1カ月「難しくて悩んだ」 スタイリストが明かす衣装製作の裏側

連続ドラマ「パリピ孔明」の一場面(C)フジテレビ
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連続ドラマ「パリピ孔明」の一場面(C)フジテレビ

 俳優の向井理さんが主演を務める連続ドラマ「パリピ孔明」(フジテレビ系、水曜午後10時)。放送開始以降、個性豊かなキャラクターを彩る魅力的な衣装にも注目が集まっている。本作のプロデュースを務める八尾香澄さん、スタイリングを手がけるBabymix(ベイビーミックス)さんに、個性的な衣装のコンセプトやこだわりについて話を聞いた。

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 ◇一番身近なアートはファッション

 ドラマは「ヤングマガジン」(講談社)で連載中の人気同名マンガ(四葉夕トさん原作、小川亮さん作画)が原作。三国志の英雄で天才軍師、諸葛孔明(向井さん)が現代の日本に転生し、ハロウィーンでにぎわう夜の渋谷に降り立つ。歌手を目指す月見英子(上白石萌歌さん)の歌に心を打たれた孔明が、軍師(マネジャー)となって英子をサポートする“音楽青春コメディー”だ。

 衣装を作るにあたって、Babymixさんから「“一人一衣装”にしようと思う」と提案されたという八尾さん。「キャラクターの個性が強いので『このキャラクターと言えばこれ』というベストな1着を用意する形が合うんじゃないかと提案いただきました。ただ、英子の衣装だけは、毎回変えているんです。変化していくのはヒロインだけというコンセプトもBabyさんのアイデアです」と明かす。

 Babymixさんは「僕は一番身近なアートはファッションだと思っているんですよ。突き詰めると人そのものがアートだと。この作品は、いろいろなキャラクターがアーティスティックに登場するので『みんながアートを着ている』というイメージでスタイリングできたらいいなと思いました」と語る。

 ◇孔明の衣装作りは「まずは資料探しからスタート」

 そんな個性的なキャラクターの中でも、孔明の衣装はひときわ目を引くが、完成までに試行錯誤を重ねたという。

 Babymixさんは「まずは資料探しからスタートしました。八尾さんをはじめ、いろいろな方の知恵を拝借しながら試作を重ねていきました」と明かした。

 「良い生地がないと、良い衣装って作れないんです。生地を探していた時に、グリーン系で良いものを見つけることができたので、孔明の衣装はあのグリーン系の色になりました。最初に頭につける綸巾(かんきん)の試作品を何パターンか作ったのですが、孔明をはじめとする中国系のキャラクターの衣装は難しくて悩みました」

 撮影の半年前から中国時代劇の衣装のリサーチを始めたが、「中国の衣装を持っている会社があまりなくて」と八尾さん。

 Babymixさんは「中国時代劇を制作している海外の会社に聞いたら、(作った)衣装は残さないと言われて。衣装は再利用せず、作品ごとに作るそうなんです。漢服の生地やパーツってなかなか日本では購入できないので、制作する上での課題はありましたね」と振り返った。

 八尾さんは「最初の衣装合わせの日は、諸葛孔明のコスプレ衣装をネットで買って、どうやってアレンジしていけるかを考えたりしました。孔明の衣装は一から作ったのですが、完成まで1カ月くらいかかりました」と明かした。

 ◇一番苦労したのは劉備の鎧

 納得のいく衣装が完成するまで試行錯誤を重ねてきたが、一番苦労した衣装は劉備(ディーン・フジオカさん)の鎧(よろい)だという。

 八尾さんは「中国の鎧って、日本にほとんどないんです。孔明たちの漢服をかなり作り込んだので、そのクオリティーに見合う鎧がなかなか見つからなくて」と回顧。

 「鎧を一から作るのはすごく費用が掛かるけれど、着ているシーンはゼロにはできない。悩んでいたら、Babyさんが京劇の衣装を見つけてきて、『これを改造したら鎧になるんじゃない?』って。京劇の衣装は柔らかい素材なので、最初は『何を言ってるんだろう?』と思いましたが、フィルターを通して見ると鎧っぽく見えるんです」

 この衣装はもともと京劇で鎧として使っていたもので、これを工夫することで「劉備たちの鎧はこれでいいか」と考えたというBabymixさん。

 「京劇衣装の鎧には、肩周りなどにフリンジが使われているのですが、そんな装飾が許されるなら何でもありだなと思って、陸遜(市瀬秀和さん)の鎧にはスタッズをつけるなど、いろいろアレンジしました。『アートを着る』というコンセプトは、こういうところにも詰め込んでいます」

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