石川界人×瀬戸麻沙美×久保ユリカ:「青春ブタ野郎」シリーズ 高校生編完結への思い 涙のアフレコ 卒業の思い出も

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 人気小説「青春ブタ野郎」シリーズ(電撃文庫)が原作の新作劇場アニメ「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」が12月1日に公開される。6月に公開された「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」に続く作品で、2018年10~12月に放送されたテレビアニメ「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」から続いてきた「高校生編」が完結する。梓川咲太役の石川界人さん、桜島麻衣役の瀬戸麻沙美さん、梓川花楓役の久保ユリカさんに新作や「高校生編」完結への想(おも)いを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇高校生編で印象的なエピソードは?

 --高校生編が完結することへの想いは?

 石川さん テレビアニメシリーズが始まったのが5年前くらいですし、現実で過ごしている僕らと作品の時間軸は違いますし、ついにここまできたんだな、という漠然とした想いがあります。原作は高校生の先も描かれていますし、今後の展開がどうなるかは分かりませんが、大学生編もできたらいいな……という想いもあります。

 瀬戸さん 高校生編完結ということで、アフレコはもう終わり、演じ切ったこともあって、自分の中では一区切りして、完成を楽しみにしています。見てくださる方がどういう感想を持ってくれるのか?というのも楽しみにしています。

 久保さん 「おでかけシスター」「ランドセルガール」は時間軸が近いところが描かれていて、演じる側として短いスパンで収録できたことが、気持ちを作る上ですごくありがたかったです。また、青ブタファンの皆さまにもこの良い流れで「ランドセルガール」を見ていただけることをうれしく思っております。時間がたって見てももちろんすてきな作品ですが、間をあけずに続けて見ることができるのは、すごく幸せなことです。

 --これまでの高校生編で印象に残っているエピソードは?

 石川さん 「ゆめみる少女の夢を見ない」です。人の生死も関わっていて、そういう意味でも印象に残るエピソードでした。「ゆめみる」があったから咲太がああいうふうに成長した……と物語の中核を担う話ですので。

 瀬戸さん 最近よく思い出すのが、麻衣が見えなくなって、咲太と電車で遠くに行く時のやり取りです。今でこそ咲太と麻衣の関係性が安定していて、助け合うことが当たり前になっているけれど、あの時の麻衣はうまく助けを求められないし、咲太はどう手を差し伸べるのか……という空気感があって、そのことをよく思い出します。

 久保さん 高校生編が終わるということは、花楓の中学生が終わるということですし、どうしても「おでかけシスター」になります。「おでかけシスター」で、花楓は新しい一歩を踏み出せるようになりましたし。

 --「おでかけシスター」を経て、花楓の演技に変化は?

 久保さん 「おでかけシスター」の時は、舞台あいさつを含めてずっと「青ブタ」のことばかりを考えていました。花楓はこの短い時間の中で確実に今までとは違うスピード感で成長していますし、変わりたいという思いもすごく強くなっていると感じていたので、花楓としてより芯を持ったお芝居をしようとしました。それから“咲太の妹”であることをとても意識しましたね。

 ◇“謎の少女”瀬戸麻沙美がレア!?

 --「ランドセルガール」では咲太にスポットが当たります。

 石川さん 「青春ブタ野郎」シリーズは基本的に、女の子がいろいろな悩みを持って、それに対して向き合っていく姿に心打たれるところがあると思うのですが、その中で主人公が主だって、ストーリーを展開するというのは、プレッシャーもありました。実際に演じてみると、男女問わず楽しんでいただけるし、胸を打つ内容になっていますし、演じてみて、ようやくそのプレッシャーから解放されたところもあります。今までのエピソードでは、思春期症候群を起こしているのが他人で、その悩みを解決するために奔走し、感情的になるところがたくさんありましたが、咲太が自分の感情に疎いところもあり、自分のことになると、取り乱すことがない。他人に対してはすごく感情的になるんですけど、今作はそういうこともなく、割と冷静に自分の置かれている状況について分析しているように感じました。

 --咲太役にどう取り組んだ?

 石川さん テレビアニメシリーズでは、家族じゃない他人に向き合うことが多くて、「おでかけシスター」では、花楓という家族、より近い関係性の他人と向き合うことになり、演じ方も変わってきました。「ランドセルガール」では、家族の中にも社会があって、お父さんとお母さんが出てきます。今まで見てこなかった息子という属性が加わるので、息子としての感情の発露もあり、改めて意識してやってみたところです。自分でもそうですけど、同性の親と話すことって、あれくらいの年頃だとちょっと気まずいところもありますよね。嫌いでもないし、好きでもないし、何か気まずい。自分と照らし合わせながら、こうなっちゃうな……みたいなところも鑑みながらやっていました。

 瀬戸さん 咲太の力にどうやったらなれるのか? どういうふうにそばにいてあげたらいいのか? 麻衣は表情にも出さないですし、モノローグもありません。自分だったらどう言うのか? 麻衣だったらどう言うのか? 自分のことに無頓着になってしまう咲太にどういうふうに寄り添ったらベストなのかな?と考えていました。

 久保さん 花楓に対して、咲太はそんなに感情を見せないんですよね。基本的にひょうひょうとしていて、妹からするとお兄ちゃんは本当にふざけてばっかり!というテンション感なんです。声を上げたり、号泣したりというのは花楓の前では見せません。妹と兄だからこそ見せたくないし、見せる必要がないというのは、生々しい家族の距離感なのかもしれません。なので、花楓の目線は変わらないんです。ただ、久保ユリカとして見ると、ちゃんと人間しているな!といとおしくなりました。すごく感情移入しやすかったです。

 --瀬戸さんは、麻衣に似た謎の少女も演じられています。

 瀬戸さん 麻衣と関連付けないようにする意識がありました。小学生の頃、役者をやっている麻衣さんに姿が似ているという存在ですが、麻衣と同一人物ではないので、自分の解釈になっちゃうんですけど、咲太の前に現れた都合のいい存在なのかな?と思っています。その時、必要な言葉をコロッと落とす案内人みたいな存在なので、曖昧なままでいいのかな?と思いながら、演じました。大人になって言わないようなこともポッと言えてしまうような素直さ、無垢(むく)な感じを意識していました。

 石川さん 僕の認識も瀬戸さんと同じです。咲太は、思春期症候群に慣れてしまっているので小学生の姿をした麻衣さんのようなものが現れ、これって多分……と分かった上で会話しているんだと感じています。自分の深層意識が具現化され、それが思春期症候群によって姿として見えているっていう解釈だったので、麻衣さんと話すというよりは自分自身と話すような気持ちが強かったです。

 久保さん 私としては、瀬戸麻沙美のあの声を聞けてうれしかったです。レアだな!って(笑い)。

 瀬戸さん ああいう声も出せます

 石川さん 瀬戸さんのロリ声は一級品ですしね!

 ◇石川界人がボロ泣き

 --収録の様子は?

 瀬戸さん 久しぶりのほぼフルメンバーだったのが、新鮮でした。スタジオがそんなに広くなかったので、距離感が近くて、石川君は、すごく集中したいだろうな……と勝手に思っていたのですが、「なんかみちっとしているね」と言ったり(笑い)。麻衣の目線で、石川君の後ろ姿を見て、すごく心配になっちゃいました。背中をなでてあげたくなる感情に駆られました。

 石川さん 心配されていたみたいですね(笑い)。演じながらこのせりふは……と心配でした。テストでやりたいことをやって感情を爆発させることがあり、その後に微調整するのですが、テストの時にこんなにボロボロ泣いて大丈夫か?ともなっていました。お父さん、お母さん、麻衣さんとの掛け合いはすごく泣いてしまいました。収録が終わった瞬間に恥ずかしい!とティッシュを取りながら席に戻っていました。

 瀬戸さん 瀬戸を出さないように、余計なことを言わないように!となっていました。瀬戸だったら「大丈夫? ティッシュどう!」となるけどこらえようとしました。石川君も「泣いちゃったよ。どうしよう」と言っていたので、みんなが気遣わなくてもよかったのですが。

 久保さん 「おでかけシスター」の時は一人で収録していて、先に収録していた麻衣さんや咲太の声を聞きながらだったので、花楓が自分に向き合う状況にすごく近い状態で挑めたのがよかったのですが、「ランドセルガール」は、家族を描いていることもあって、一緒に収録できて本当によかったです。お父さん、お母さんと一緒に収録するのは久しぶりでしたし、本当に再会できたような気持ちでした。

 ◇卒業式が終わり即帰宅

 --高校生編が完結しますが、皆さんの卒業の思い出は?

 石川さん 僕は学年で一番早く家に帰った自信があります。卒業式の後、打ち上げとかやるじゃないですか。友達がいないから、参加しないで帰りました。卒業アルバムにしても、後ろの方に寄せ書きをするけど、僕は真っ白でした。大人になって、友達が家に来て、僕の卒アルを見て、本当に真っ白なので、ドン引きされました。

 瀬戸さん そんな儀式あったね! 私は場所として学校が好きでした、制服を着て学校に通うことが好きだったんです。制服も好きだったので、着られなくなってしまう寂しさがありました。毎日同じところに通っていたんだという寂しさがありつつ、環境の変化にワクワクする楽しみが入り乱れていました。

 久保さん 私も友達がいなかったので、中学の時は正直卒業がうれしくて仕方がなかったです。卒業式に歌う曲があって、興味が全くなくて、歌わずに真顔でずっと立っていました。みんなが泣きながら歌っているのを見て、なんだこれ?みたいになっていまして。卒業式の後、私も急いで家に帰りました。今思うと中二病みたいで、ただただ恥ずかしい思い出です。

 瀬戸さん 私も中二病に憧れていましたね。高校生になったら、一匹狼になるんだ!と静かに一人で孤高っぽい感じでいこうとしたのですが、声をかけられたらうれしくて、普通になりました(笑い)。

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