名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で連載中の遠藤達哉さんのマンガが原作のアニメ「SPY×FAMILY」の劇場版「劇場版 SPY×FAMILY CODE:White」が12月22日に公開される。劇場版は、原作者の遠藤さんが監修する完全新作のオリジナルエピソードで、テレビアニメのシーズン1に助監督として参加した片桐崇さんが監督を務める。同作で初めて監督を務め、「全てが新たなチャレンジでした」と語る片桐監督に制作の裏側、人気キャラクターのアーニャ・フォージャーの“可愛さの秘密”を聞いた。
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「SPY×FAMILY」は、2019年3月に「少年ジャンプ+」で連載をスタート。すご腕スパイが、任務のために仮初めの家族を作り、新生活を始める……というストーリー。スパイの父、超能力者の娘、殺し屋の母が互いに正体を隠して生活することになる。テレビアニメのシーズン1の第1クールが2022年4~6月、第2クールが同10~12月に放送された。シーズン2が10月からテレビ東京ほかで放送中。
劇場版は、「コードギアス 反逆のルルーシュ」「機動戦士ガンダム 水星の魔女」などで知られる大河内一楼さんが脚本を手がけ、フォージャー家の家族旅行が描かれる。敏腕諜報員の<黄昏(たそがれ)>ことロイドの元に、オペレーション<梟(ストリクス)>の任務の担当変更の知らせが届く。娘・アーニャが通うイーデン校では<星(ステラ)>をかけた調理実習が開催されることになる。ロイドは、ステラをゲットし任務継続を交渉するため、世界の平和を守るため、調理実習の審査員長でもあるイーデン校の校長の好物であるフリジス地方の伝統菓子<<メレメレ>>を作ることをアーニャに提案。本場の味を確かめるため、フォージャー家は全員で家族旅行に出かけることになる。
片桐監督は、大人気作である「SPY×FAMILY」の「コンテンツの良さを崩してはいけない」というプレッシャーを抱えながら、劇場版の制作に挑んだ。制作で大きな軸となったのは、「原作のテイストから外れない、崩さないこと」、テレビアニメのシーズン1で監督を務めた古橋一浩さんが作り上げた「テレビシリーズのルックを壊さないこと」だった。
「ファンの皆さんになるべく原作の延長線上の一つとして見ていただけるように、テレビシリーズで期待されていたものを、なるべく同じ形でやりたいと考えました。もちろん、物語の展開に合わせて、処理やルックは多少変えてはいるのですが、基本はこの二つをコンセプトに制作を進めていきました」
テレビシリーズと違い、劇場版で最も苦労したのは「原作の絵がないこと」だった。
「テレビシリーズでは、遠藤先生の絵をそのまま再現することができました。しかし、劇場版では原作の絵がなく、合わせるものがありません。『こういう時はこういう絵ではどうだろうか?』という意見もたくさん出ましたね。『SPY×FAMILY』はみんなに愛されているコンテンツですし、スタッフも当然、原作を読み込んで理解しています。意見の集約は大変な作業でしたが、たくさんのアイデアには助けられることもありました」
アーニャをはじめ、表情が豊かなキャラクターも多いため、「この場面ではこの表情なのではないか」と議論を重ねたという。
「劇場版は尺が長いので、よりバラエティーに富んだ表情を作れるように意識しました。遠藤先生からはシナリオから一部抜粋したシーンのアーニャの表情を描いていただきました。それ以外にも原作とテレビシリーズの表情を一覧にして、皆さんに参考にして描いていただいたりしました」
劇場版では、原作の遠藤さんとやり取りをしながら、シナリオ、絵コンテの制作を進めていったという。
「大河内さんは、キャラクターのパーソナリティーも深く理解された上でシナリオを制作されて、とても面白い、骨太なドラマに仕上げていただきました。その上で、『SPY×FAMILY』としての厚みが出るように、この作品ならではの要素やキャラクターの言い回しなどを遠藤先生に手入れしていただき、完成しました。コンテに関しても、その都度『SPY×FAMILY』の世界観から外れないように遠藤先生に監修していただきました」
原作の良さ、テレビシリーズの良さを生かしながら、劇場版は形作られていった。片桐監督は、劇場版の魅力の一つとして、ドラマの面白さを挙げる。
「大河内さんに書いていただいたシナリオは、ギミックがすごく面白いんです。これが伏線になってここで落ちるという、あっと驚くような展開が、冒頭からかなり仕掛けられています。物語全体を通して雪だるま式に大きくなったものを最後にドーンとかますと言いますか。また、ラストに向けてのアクションシーンは、すごく見応えのあるものに仕上がっています。かなり骨太の映像になっているんじゃないかなと思います」
「SPY×FAMILY」は、フォージャー家の娘、アーニャの可愛さが作品の大きな魅力の一つとなっている。劇場版でも、アーニャがさまざまな活躍を見せてくれそうだ。テレビシリーズにも関わってきた片桐監督に、アーニャの可愛さの秘密を聞いてみた。
「アーニャの魅力は“やんちゃな振る舞い”だと思います。皆さんに受け入れられているのも、そういう打算がないところなのではないでしょうか。時折見せる素直で可愛い笑顔や仕草と、ニヤリと笑うしたり顔などの変顔、その相反する二つの側面が押し出されていることが大切なのではないかと思います」
アーニャを描く上では「メリハリが重要」と語る。
「ボケる時は、打算のない感じでボケさせて、思い切り変顔をさせますが、『ここはアーニャが魅力的な方向で立つ』というシーンでは、顔も崩さず、真っ向勝負で可愛い女の子っぽく描くということは意識しています」
アーニャの魅力を語る上では、声優を務める種崎敦美さんの表現も欠かせないものとなっている。劇場版では、シナリオに「ここは種崎さんにお任せ」というシーンがあり、アドリブに任せている部分も少なくないという。
「それは『SPY×FAMILY』だからこそ、種崎さんだからこそできることかもしれないです。テレビシリーズの時からそうですが、収録で『そうきたか!』と驚くような思ってもみないような表現をしてくださるんです。遠藤先生からも『種崎さんにお任せしたらどうでしょう』というお話をいただいていたので、現場サイドも種崎さんに信頼を置いてアドリブをお願いすることになりました」
収録現場では、このオーダーに種崎さんはかなり悩んでいたそうだが、思ってもみないような表現が飛び出したという。
アニメ「SPY×FAMILY」は、スタッフ、キャストともに作品愛が強く、より魅力を引き出そうと試行錯誤を重ねている。
「『SPY×FAMILY』の魅力は、スパイ、超能力、殺し屋、未来予知とそれぞれのキャラクターが持っている設定が、魅力的になるようなシチュエーションがかなり効いている原作だと思います。その魅力が、アニメで立体的に絵として動いた時に、より持ち上がるのではないかと。特にギャグシーンは声が入る、動くことでより面白くなると思いますし、ヨルのアクションなどもアニメで動くからこそ緊迫感が生まれる」
片桐監督は「劇場版は、クオリティーに注力することができたので、とても良いものをお届けできるのではないかと思います」と自信を見せる。フォージャー家がスクリーンでどんな活躍を見せてくれるのか、“わくわく”せずにはいられない。
※種崎敦美さんの「崎」は「たつさき」
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