アニソン年間ランキング:「ぼっち・ざ・ろっく!」結束バンドがワンツー VTuber星街すいせいのアルバム 「THE FIRST SLAM DUNK」サントラも

「ぼっち・ざ・ろっく!」の劇中バンド「結束バンド」のアルバム「結束バンド」(C)はまじあき/芳文社・アニプレックス
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「ぼっち・ざ・ろっく!」の劇中バンド「結束バンド」のアルバム「結束バンド」(C)はまじあき/芳文社・アニプレックス

 アニソンが充実していることで知られるタワーレコード新宿店(東京都新宿区)の2023年のアニソン年間ランキング(2023年1月1日~12月10日集計)が発表され、「まんがタイムきららMAX」(芳文社)で連載中のはまじあきさんの4コママンガが原作のテレビアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」の劇中バンド「結束バンド」のアルバム「結束バンド」が1位に輝きました。担当バイヤー・樋口翔さんに、本チャートを基に2023年のアニソンシーンを振り返ってもらいました。

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 ◇1年間売れ続けた「結束バンド」 配信だけでなくCDも買いたい“推し活”需要

 「ぼっち・ざ・ろっく!」は、極度の陰キャ女子高生の“ぼっちちゃん”こと後藤ひとりらによるバンド「結束バンド」の青春を描いており、テレビアニメが2022年10~12月に放送され、人気を集めました。年間チャートで1位を獲得したアルバム「結束バンド」は、テレビアニメの最終回が放送された4日後の2022年12月28日に発売。テレビアニメの盛り上がりが冷めやらぬ中で発売されたアルバムは、爆発的な初動を記録し、2022年の年末から2023年後半まで約1年間にわたるロングセラーとなりました。

 アルバムには、オープニングテーマ「青春コンプレックス」や各種エンディングテーマ、そして結束バンドが本編の演奏シーンにて披露した劇中歌など全14曲を収録。収録曲の中にはYouTubeなどで配信されている楽曲も多く、CDを買わずとも楽曲を聴くことができますが、バンドとして高みを目指す結束バンドへの思い入れや、「CDを買って応援したい」というファンの“推し活”需要により高い売り上げを記録したのではないかと考えています。劇中で描かれた結束バンドの成長物語の延長線上にリアルの世界でのアルバム発売があり、大ヒットにつながったのではないでしょうか。

 店頭では、20代の大学生から40代の会社員を中心に、アニメファンだけでなくロックファンからも人気を集めました。結束バンドの楽曲の大半は、ロックバンド「THE YOUTH」「LOST IN TIME」のギタリストとして活躍する三井律郎さんが編曲を手掛け、ギター演奏も担当しています。単なるアニメの劇中歌としてではなく、一つのバンドが音楽に打ち込んでいるリアリティーが表現された楽曲に、ジャンルを超えて多くのファンが魅了されました。年間チャートの2位には、結束バンドの新曲を収録した「光の中へ」がランクインしており、アルバムと同じくロングセラーを記録。新宿店でも、同じCDが1年間ずっと売れ続けるのは異例で、「ぼっち・ざ・ろっく!」、結束バンドの人気に驚かされました。

 ◇VTuberの枠を超えてブレークした星街すいせい

 さまざまなVTuberが活躍し、CDデビューが相次ぐ中、突出した人気を見せたのが、ホロライブプロダクションの星街すいせいです。年間チャートでは、2021年に発売された初のアルバム「Still Still Stellar」に続く2枚目のアルバム「Specter」が3位にランクインしました。

 星街すいせいの魅力は、音楽ファンをもうならす歌唱力の高さ。2023年1月には、アーティストが一発撮りのパフォーマンスを披露する人気のYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」にVTuberでは初めて出演し、話題を集めました。これまで星街すいせいには、「アイドルマスター」シリーズの楽曲を多く手掛けるTAKU INOUEさんや、ロックバンド「UNISON SQUARE GARDEN(ユニゾン・スクエア・ガーデン)」の田淵智也さん、シンガー・ソングライターのキタニタツヤさん、音楽ユニット「YOASOBI」のAyaseさんなど豪華クリエーターが楽曲提供しており、難易度の高い楽曲も歌いこなすシンガーとしてのカリスマ性も兼ね備えています。

 星街すいせいのほかにも、VTuberとしても活躍するイラストレーターのしぐれういさんや、宝鐘マリンのミュージックビデオが驚異的な再生数をたたき出すなど、VTuberのヒット曲がSNSをにぎわせた一年でもありました。

 ◇「THE FIRST SLAM DUNK」「ミリアニ」 劇場版アニメのヒットでCDも人気に

 劇場版アニメのヒットにより、関連CDも高い売り上げを見せたのが、4位にランクインした「THE FIRST SLAM DUNK」のサウンドトラック「THE FIRST SLAM DUNK オリジナルサウンドトラック」、9位のアニメ「アイドルマスター ミリオンライブ!(ミニアニ)」のオープニングテーマを収録した「THE IDOLM@STER MILLION ANIMATION THE@TER 『Rat A Tat!!!』」です。

 「THE FIRST SLAM DUNK オリジナルサウンドトラック」は、昨年の大みそかに放送された「第74回NHK紅白歌合戦」に出場したことも話題のロックバンド「10-FEET」によるエンディングテーマ「第ゼロ感」、ロックバンド「The Birthday」によるオープニングテーマ「LOVE ROCKETS」のほか、劇中音楽を収録し、アニメファン、ロックファンから人気を集めました。

 アニメ「アイドルマスター ミリオンライブ!」は、2023年10月からのテレビ放送に先駆け、8月から劇場で先行上映されました。2013年に歴史が始まった「ミリオンライブ!」の待望のアニメ化ということもあり、オープニングテーマを収録した「THE IDOLM@STER MILLION ANIMATION THE@TER 『Rat A Tat!!!』」は劇場でいち早くアニメを見たファンからの人気を集め、新宿店では一部品切れが発生するなど高い売り上げを記録しました。「Rat A Tat!!!」は、本編の中でも重要なシーンに使用され、「ミリオンライブ!」の歴史を振り返る上でも重要な一曲となりました。

 ◇アニソンチャートにインバウンドの影響も

 「アイドルマスター」シリーズでは、スマートフォン向けブラウザーゲーム「アイドルマスター シャイニーカラーズ(シャニマス)」のCDシリーズから4作品が年間トップ10にランクインしました。ランクインした「CANVAS」シリーズは、ゲームに登場する各ユニットにフィーチャーしたシリーズで、シングルでありながら完全新曲3曲を収録するミニアルバム並のボリューミーな内容に。それぞれのユニットの音楽の幅を広げる挑戦的な3曲が収録され、ファンの注目度も高く、人気を集めました。

 アニメファン、声優ファンを満足させる高いクオリティーの楽曲を提供し、人気を集めている声優ユニット「DIALOGUE+」の2枚目のアルバム「DIALOGUE+2」も2023年を代表するヒット作で、年間チャート6位にランクインしました。

 2023年は、日本へのインバウンドの影響も大きく、特に1位の「結束バンド」、2位の「光の中へ」、3位の「Specter」、4位の「THE FIRST SLAM DUNK オリジナルサウンドトラック」に関しては、海外のアニメファンにも高い人気を集めていました。2023年の年間チャートは、楽曲を聴くのはもちろん、推しを応援するため、またはコレクションするために“CDを購入したい層”がより反映されたランキングとなりました。

 ◇タワーレコード新宿店 2023年アニソンランキング(敬称略)

 1位 「結束バンド」 結束バンド アルバム

 2位 「光の中へ」 結束バンド シングル

 3位 「Specter」 星街すいせい アルバム

 4位 「THE FIRST SLAM DUNK オリジナルサウンドトラック」 Various Artists アルバム

 5位 「THE IDOLM@STER SHINY COLORS “CANVAS” 03」 放課後クライマックスガールズ シングル

 6位 「DIALOGUE+2」 DIALOGUE+ アルバム

 7位 「THE IDOLM@STER SHINY COLORS “CANVAS” 06」 ノクチル シングル

 8位 「THE IDOLM@STER SHINY COLORS “CANVAS” 05」 ストレイライト シングル

 9位 「THE IDOLM@STER MILLION ANIMATION THE@TER 『Rat A Tat!!!』」 MILLIONSTARS シングル

 10位 「THE IDOLM@STER SHINY COLORS “CANVAS” 08」 コメティック

※左から順に、タイトル、アーティスト。ランキングはシングル、アルバムをまとめて集計。

 ◇プロフィル

 樋口翔 タワーレコード新宿店10階(邦楽・販売促進)アニメ担当バイヤー。2014年に町田店から異動。アニメにハマったきっかけは「新世紀エヴァンゲリオン」「BLUE SEED」「VS騎士ラムネ&40炎」など1990年代の作品で、アニソンの中でもキャラソン、特にアイドルアニメ関連の楽曲を愛聴。マイアンセムは「アイドルマスターミリオンライブ!」から「Up!10sion Pleeeeeeeeease!」。お気に入りのアニメ、ゲーム作品は「プリティーリズム」「アイドルマスター」「フォトカノ」「サクラ大戦」など。

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