光る君へ:「おのれ大石静」視聴者は脚本家の術中にハマった? 人の命が軽く感じられた平安バイオレンス描写

NHK大河ドラマ「光る君へ」第1回の一場面 (C)NHK
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NHK大河ドラマ「光る君へ」第1回の一場面 (C)NHK

 俳優の吉高由里子さん主演の2024年NHK大河ドラマ光る君へ」(総合、日曜午後8時ほか)。1月7日に放送された第1回「約束の月」では、玉置玲央さん演じる藤原道兼が、国仲涼子さん扮(ふん)するちやはを、なんのためらいもなく刺し殺す姿が描かれ、視聴者の注目を集めた。

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 「光る君へ」は63作目の大河ドラマ。平安時代中期の貴族社会が舞台で、のちに世界最古の女性文学といわれる「源氏物語」を書き上げた紫式部(まひろ)が主人公となる。脚本を、2006年の「功名が辻」以来、2度目の大河ドラマ執筆となる大石静さんが手掛け、きらびやかな平安貴族の世界と、懸命に生きて書いて愛した女性の一生を映し出す。

 第1回では、道兼の横暴さがいたるところで目につき、その行きついた先が、“ちやは刺殺”だった。

 京に生を受けた少女・まひろ(のちの紫式部、落井実結子ちゃん)はある日、三郎(のちの道長、木村皐誠さん)という少年と出会い、互いに素性を隠しながらも打ち解けあい、再び会う約束を交わす。一方、三郎の家では、長兄の道隆(井浦新さん)にすべてがかなわず、父・兼家(段田安則さん)の愛情に飢えていた次兄・道兼の苛立ちの矛先は、三郎や身分の低い者へと向かう。

 終盤、そんな道兼が、母・時姫(三石琴乃さん)の前で「身分の低き者を殴って私の心が治まれば、それでよろしいと思います。身分の低き者はそのためにいるのではないですか」と口にし、これには時姫も「お黙りなさい!」と声を荒らげる。

 その後、腹の虫がおさまらない道兼は、馬を駆りどこかへと向かうが、運悪くまひろが遭遇。落馬してしまった道兼は、当然のようにまひろを足蹴にするが、そこへまひろの母・ちやはが割って入る。

 一度は怒りを収めようとした道兼だったが、従者から「道兼様を黙らせるとは、肝の座ったおなごでございます」と言われたことで、再び導火線に火が付き、刀を手に取ると、後ろからちやはをブスリと一刺し。ちやはは帰らぬ人となってしまった。

 脚本の大石さんは2022年5月の制作発表会見で「平安時代の驚くようなセックス&バイオレンスを描きたい」と意気込みを語っていた。また昨年12月の初回試写会では、本作について「ラブストーリーだけではないです」と強調。「(道長ら)藤原3兄弟の骨肉の出世争いとか、そのお父さんの兼家のイチかバチかのクーデターとか……いろいろ生々しい権謀術数の男の政(まつりごと)の世界もたくさん出てきます」とアピールしていた。

 SNSでは、脚本家の大石さんの術中にハマった視聴者から「おのれ大石静」「やっぱり大石静脚本は面白いわー」「さすが大石静さんの脚本って感じで、すでに今後の展開が気になってしまった」「初回からこんなバイオレンス浴びせてくるとは思いもよりませんでした。この一年はとてつもなく楽しめる予感がします」などの声が寄せられた。

 さらには「先月までの戦国よりも人の命が軽く感じさせられる」「去年の戦国大河より命の軽さも政治のドロドロしさも強い平安大河とは思わなんだ」「戦国時代もだけど、平安時代も人の命が軽い時代だったんだなと思う。それは今もか」といった感想も書き込まれた。

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